“本物主義”時代の幸せな生き方

このページは、(株)本物研究所と(株)船井メディア 社長の佐野浩一によるコラムページです。
佐野浩一の義理の父でもある舩井幸雄は、1980年代のバブルの真っただ中の頃からすでに、「競争主体で矛盾のありすぎる資本主義はもうもたない」、そして「資本主義にとってかわるのは『本物主義』ではないか」と考えており、2003年に(株)本物研究所をつくりました。
その(株)本物研究所の設立当初から社長として、佐野は常に、“本物”や、人々の“本当の幸せ”について真剣に考えてきました。
そんな佐野が、いよいよ間近に迫ってきたと思われる「本物主義」時代に向け、私たちはどう生きていけばいいのか、また「幸せに生きる」とはどういうことだろう? ということを先駆けて模索し、皆さまと一緒に考えていきたいと思います。

2018.03.01(第49回)
LIFE SHIFT(ライフシフト)⇒学び直し

 昨年の11月に、本稿で「人生100年時代」について書かせていただきました。ここしばらく、さらに有名雑誌などでも特集されるようになり、より認知されてきたように感じています。
 今回は、その振り返りも含め、LIFE SHIFTについて、さらに考えてみたいと思います。
 まずは、ベストセラーとなっている『未来の年表』(河合雅司著、講談社現代新書刊)から。今後、どのように社会全体が変化していく可能性があるかということを、「年表」によって示してみます。
 2017年 「65〜74歳」人口が減り始める。
 2018年 75歳以上人口が「65〜74歳」人口を上回る。
     18歳人口大きく減り始める。
 2020年 女性の過半数が50歳以上となり、出産可能な女性の数が大きく減り始める。
 2024年 団塊世代がすべて75歳以上となり、社会保障費が大きく膨らみ始める。
 2035年 男性の3人に1人、女性の5人に1人が生涯未婚。未婚大国に。
 2040年 全国の自治体の半数近くが「消滅」の危機をむかえる。
 2045年 東京都民の3人に1人が高齢者となる。
 2055年 4人に1人が75歳以上になる。
 2115年 総人口が5,055万5000人まで減る。

 出生率はどんどん減り、高齢化比率が急上昇。しかも、少子化と高齢化が並行して進んでいくので、人口自体もどんどん減ってくるというのが、同書の予測です。

 さらに、いま超話題となっている『LIFE SHIFT―100年時代の人生戦略』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著、東洋経済新報社刊)には、先進の人口学者がはじき出した2007年生まれの子どもたちの平均寿命の予測があります。
 2007年に、アメリカ、カナダ、イタリア、フランスで生まれた子どもの50%は、少なくとも104歳まで生きる見通し。日本の子どもにいたっては、なんと107歳まで生きる確率が50%あるというのです。
 約100年前の1914年に生まれた人が100歳まで生きている確率は1%にすぎません。私たちの周りに100歳以上の人がほとんどいないのは、このためです。それに対し、2107年の世界では、100歳以上の人が珍しくないのです。いま10歳の子どもたちの半分がまだ生きているからです。
 100歳を生きるのが当たり前の社会の「移行期」を私たちが過ごしていることになります。しかし、いまを生きる私たちの人生は、70〜80年時代。でも、このままいくと、確実に寿命は伸びていきます。
 いま、私たちは、「3ステージの人生」を生きています。つまり、「教育」「仕事」「引退」の3つのステージです。しかし、これから定年がさらに伸びて、70歳まで働く時代はもうすぐそこに来ていると言ってまちがいないようです。
 私たちが経験している3ステージの生き方を経済面で機能させ続けるためには、「仕事」ステージを非常に長くとるしかありません。しかし、それでは健康面を含め、悪影響が及びます。一方、仮に80代まで働く時代に変わっていくとしても、20代前半で受けた「教育」を、その後、50〜60年間も継ぎ足しをしながら通用させていくのは、これからのテクノロジーの劇的な進化を考えると、不可能です。
 AIの革新的な進歩は、もう私たちの身の回りに、いろんな形で押し寄せてきています。自動車の自動運転システムやお掃除ロボット、対話型ロボット、スマートスピーカーの登場などは、その一例です。ところが、私たちは、AIと共存して働き、生きていくことなど、ただの「夢」くらいにしかとらえていませんでした。しかも、教育において、そういう新しい時代の働き方、生き方などを教わる機会は与えられてきていません。
 だからこそ、私たち個々が、タイミングを見て、「学び直し」の機会が必要なのだと感じています。いや……、感じる……ではなく、確信と言ったほうが正しいと思います。そもそも、80歳を超えるまで、知識とスキルの劣化に対応し、休みもなく、柔軟な働き方もせずにやっていける人などほとんどいないのではないでしょうか。こうしたさまざまな危惧が、同書には示されています。
ここで提案されているのが、「マルチステージ」の人生設計。
 これまでの「3ステージ」の人生は、すでに「3.5ステージ」でとらえ、実践していく必要がありますし、新しい時代には、それが「5ステージ」と変化していく可能性が高まってきます。つまり、これまでの「教育」⇒「仕事」⇒「引退」の「3ステージ」から、まずは、「教育」⇒「仕事⇒学び直し⇒仕事」⇒「引退」という「3.5ステージ」と呼ぶべき時代を迎えているということです。
 私が経営する「株式会社本物研究所」も、創業15周年を迎えますが、会社としての継続性を考え、市場を国内オンリーから、国内+海外(中国)へとシフトしました。その際に、やはり「充電期間」や「学び直し」の機会が必要でした。
 一つは、中国市場の研究のため、中国にたびたび出張し、現地を歩き、多くの中国人経営者たちと出会いました。結果として、日本で培ったビジネス感覚や流儀は、まったく通用しないことに心底気づかされました。結局、“形”になるまで、約4年という時間を必要としたからです。
 そして、もう一つは、さらにグローバルに展開していくための準備として、そして自身のブレイクスルーの鍵として、「英会話の学び直し」がありました。これまで、私が決して乗り越えられなかった大きな“壁”です。英語自体のブラッシュアップもそうですが、真の目的は、最大の苦手意識を持つ対象を乗り越えたあとの自分を体験することでした。
 幸運にも、私は、松永ケンという専門のコーチとの運命の出会いがありました。コーチとは、「近くにいて」「目標へ向けて並走し」「応援して」「技術を教えて」「目標まで引き上げて」くれる存在。スポーツの世界ではあたりまえです。自信のかけらもなかった英会話でしたが、3カ月で私の英語は見事によみがえりました。
 次のステージにいくためには、話せないとあきらめている自分を手離す必要があったのです。 ご参考までに、ぜひチェックしてみてください。英語とコーチングが、あなたの人生を変えるかもしれません。
【人生を変える魔法の英語レッスン 〜奇跡を起こす150分〜】

 おかげで、私は、チャレンジをするのがあたりまえ……という感性を育むことができました。
 さて、これから人生は「5.0シナリオ」と呼ばれるスタイルになっていくと言われています。簡単に言うと、キャリアを中断してリフレッシュし、変身を遂げるための期間を、人生で2度設けるという設計です。この時期に、人的ネットワークを広げ、自分のアイデンティティについてじっくり考え、無形の資産形成をします。
 私たちが、その本格的な“移行”の前に、まずは「+0.5」のステージを用意し、実行していくことが、次世代に生きる子どもたちに大いなる示唆を与えるのではないかと、私は確信しています。
 「ライフシフト」のためには、私たちそれぞれが自分を「リ・クリエイト」(再創造)することが必須になってくるようです。
 ぜひ、いまの人生を豊かに、丁寧に楽しむためにも、ご自分なりのアクションを起こされたらと思います。
 それが、次なる「本物時代」へのバトンとなると信じます。

感謝



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Profile:佐野 浩一(さの こういち)
佐野 浩一(さの こういち)

1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。

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