“本物主義”時代の幸せな生き方
このページは、(株)本物研究所と(株)船井メディア 社長の
佐野浩一の義理の父でもある舩井幸雄は、1980年代のバブルの真っただ中の頃からすでに、「競争主体で矛盾のありすぎる資本主義はもうもたない」、そして「資本主義にとってかわるのは『本物主義』ではないか」と考えており、2003年に(株)本物研究所をつくりました。
その(株)本物研究所の設立当初から社長として、佐野は常に、“本物”や、人々の“本当の幸せ”について真剣に考えてきました。
そんな佐野が、いよいよ間近に迫ってきたと思われる「本物主義」時代に向け、私たちはどう生きていけばいいのか、また「幸せに生きる」とはどういうことだろう? ということを先駆けて模索し、皆さまと一緒に考えていきたいと思います。
最近、けっこう読書にハマっていて、いろんな書物に親しんでいます。
おもしろいもので、これまでも、何かにとりつかれたかのように、夏目漱石全集を片っ端から読んだり、佐藤愛子さんに凝って20冊くらい立て続けに読んだり、あるいはマーケティング系の本を何冊もまとめて買ってきて読み耽ったりと……、変な読書傾向があります。
最近ハマっているのは、メンタル関連の書物です。
大きくは、「禅」に関するものと「メンタルタフネス」に関するものに集中しています。
そして、いま読み進めているのは、ベストセラーになっている『北欧スウェーデン式自分を大切にする生き方』(文藝社刊、マッツ・ビルマーク、スーサン・ビルマーク著、齋藤慎子訳)です。
スウェーデンでも国民的ベストセラーになっているという触れ込みです。
著者のお二人はご夫婦で、頑張りすぎた結果、二人して心の病を患われたのですが、考え方をあらため、生き方を変えることによって、最高の幸せを手に入れることができたという実話です。
いま、うつをはじめとして精神疾患を患う人が劇的に増えてきています。日本政府は、それが「働き方」に起因するとして、「働き方改革」なるものを実行しようとしています。でも、そもそもは、少子高齢化で労働人口が激減してくることを前提とし、それを補うために、@働き手を増やし、A出生率を上昇させ、B労働生産性を向上させることが、その目的となっています。そのために解決すべき課題として、@長時間労働の解消、A非正規と正社員の格差是正、B高齢者の雇用促進の三本の柱を打ち立てています。
私が、一中小企業の経営者として考えるに、この三つの課題を克服するだけで、果たして人口減にともなう労働力が補充され、労働生産性が高まっていくのか、はなはだ疑問に感じています。しかも、これから迎える新しい世の中のあり方がまったく議論されておらず、いまなお労働生産性を上げることが課題としてとらえられていることにも、何らこれまでの経済政策と変化のない、深い思索や工夫がないものと感じざるを得ません。
一方、いま現在、もっとも大きな問題となっているメンタルに対する対策は、ほとんど議論されていないに等しい状況です。ただ単に、福利厚生を充実させ、労働時間を短縮し、別のスタイルの雇用を促進していくだけでは、真の「働き方改革」にはなり得ないと思うのです。
長々と「前提」について書かせていただきましたが、やはり、いまは、「未来への分水嶺」なんだと思います。
働き方だけでなく、生き方から変えていかなければならない……。
これが、いまの私の視点です。
一般的に、日本人は真面目だとよく言われます。
決して、外国の人々が不真面目だというわけではありませんが、海外で仕事をしていると痛感することがよくあります。
要するに、「完璧主義」なんです。
マッツとスーサンは、ずばり言います。
「問題は、すべてが完璧で問題のない人生を求め、そういう人生があると思い込み、頑張りすぎてしまうことです」と。
普通に生きるだけでもたいへんなのに、そこに完璧を求めようとして、しんどい思いをしている人たちが、想像以上にいる世の中なんだということを、もっとたくさんの人に感じていただく必要があると思い立ち、いまこの文章を書いています。
私たちは、何のために生まれてきたのか?
それは、間違いなく、「幸せになるため」ですよね!!
ということは、もっと目指すべきは、安らぎ、幸せ、落ち着きを感じている時間が増えている……と感じられるようになることが大事です。
舩井幸雄は、「あるがまま、なるがまま」と口ぐせのように伝えていました。舩井は、まさに「時代を先取り」していたという証明でもあります。
完璧なものは存在しない……。というか、いまのありのままの状態こそ、完璧と言えるのかもしれない……。マッツとスーサンは、こう伝えてくれます。
小さな子どもは、クレヨンを手に持つと、いきなりぐるぐると画用紙に自由に絵を描こうとします。これこそが「ありのまま」といえます。しかし、小さな子どもであっても、上手に描けないことを心配して、クレヨンを画用紙に近づけようとさえできない姿を目にしたとき、とても痛々しい……。どんな絵を描けば大人を喜ばせることができるのか……、幼い子どもにそのようなことを考えさせてしまうのは、まさに「大人のせい」です。
完璧を求めない。
ここに、大人が明確に気づき、真摯に向き合っていかない限り、本来的な幸せに満ちた世界は訪れないような気がしてならないのです。
まずは、私たち大人が、「足るを知る」必要があります。
経済だって、いつまでも成長を求めてはいけないですね。
「成長」は、数やボリュームが大きくなることばかりを意味するものではありません。ほかに、質的に求めていける「成長」だってあるはずです。指標を変えることも考えなければなりません。
そもそも、資源だって有限です。使い切ったら終わってしまいます。
減らす、スピードを落とす、循環させる、やめる、代替する、使いまわす、無理をしない……など、こうした指標が、新しい時代のキーワードになるだろうことは、いまの地球環境や人口問題などを俯瞰すれば、だれもがその答えに行きつくように思えてならないのです。
そのことに気付き、世の中もその方向にシフトしたとき、人の心のなかにも、自分自身を受け入れ、認め、長所を伸ばし、人と比べず、競わず、争わず、枠にはめず、自由に、豊かに、愛を軸にして生きようとするエネルギーが沸き上がってくるように思います。
でも、どうやら、まだいまの世の中は……、というか、日本の政治や政策は、そのような方向を向いていっていないように思えます。
だから、まずは、そのことに気付いた人から、先に新しい時代の先取りをはじめていったほうがいいように思います。
ゆっくり、ゆっくり、豊かに、丁寧に、大事にして、幸せを感じながら生きる。
新しい時代の「百匹目の猿現象」は、これがテーマだと確信します。
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1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。
2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。
講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。