“本物主義”時代の幸せな生き方

このページは、(株)本物研究所と(株)船井メディア 社長の佐野浩一によるコラムページです。
佐野浩一の義理の父でもある舩井幸雄は、1980年代のバブルの真っただ中の頃からすでに、「競争主体で矛盾のありすぎる資本主義はもうもたない」、そして「資本主義にとってかわるのは『本物主義』ではないか」と考えており、2003年に(株)本物研究所をつくりました。
その(株)本物研究所の設立当初から社長として、佐野は常に、“本物”や、人々の“本当の幸せ”について真剣に考えてきました。
そんな佐野が、いよいよ間近に迫ってきたと思われる「本物主義」時代に向け、私たちはどう生きていけばいいのか、また「幸せに生きる」とはどういうことだろう? ということを先駆けて模索し、皆さまと一緒に考えていきたいと思います。

2017.12.01(第46回)
自分のためではなく、だれかのために!

 舩井幸雄が伝えてきた「みろくの世」が、もし現実になるなら……。
 いや……、現実にしたいなら……。
 きっと、私たちは、いまの考え方や生き方を結構変えていかないといけないんだろうなって思います。
 「あたりまえじゃないか!」っていうご意見もあるでしょうし、「それは時代の流れとともに変わっていくものだ!」という見解も生まれるでしょう。
 ただ、一つ言えることは、「いまとは違うものになる」ということです。
 福井県の永平寺で僧侶として20年間過ごされ、いまは、青森県にある霊場、恐山の院代(住職代理)として10年以上過ごしてこられた僧侶、南直哉(みなみじきさい)氏は、「人生をどう生きるか」という命題に対し、つぎのようにお答えになります。
 「人生を棒に振るつもりで生きたらいい」と。
 「棒に振る」とはどういうことか?
 極端に言えば、「何もしないこと」。
 でも、それでは取りつく島がないということで、つぎのように言い換えてくださいます。

 「自分のためではなくて、特定のだれかのために何かをすることですね。」
 なんだか、これこそ“禅問答”のようです。
 人は、人生になんらかの意味を見つけられないと生きられません。
 その人の最大の欲求こそが、「だれかから認められたい」ということです。
 そこで、南氏は言うのです。
 人から認められたいなら、「自分のなすべきこと」をなすことだと……。
 自分の「やりたいこと」ではなく、「やるべきだと信じること」をなすということです。
 おおよそ、人は、自分の損得や感情をベースに生きてしまいます。「得したい」「ラクしたい」と感じたり、考えたりするのは、ある種、人の性(さが)でもあります。
 ただ、何をやるべきなのかを考えることは、すなわち、「何を大切にして生きたいか」を考えることだと諭されると、「なるほど、そうだな」って思えてくるのです。
 だれを大切にしたいのか?
 何を大切に生きたいのか?
 この2つについて考えると、自分のためではなく、「だれかのために」「何かのために」なすべきことに目が行くと教わりました。
 これこそが、「自分のテーマを決めて生きる」ことだというのです。

 ひとつの手本として、職人の生き方をあげられます。
 大工さん、農家や庭師、豆腐屋さんやお寿司屋さん、事務職あるいは技術職の人……。いわゆる「職人」や「職人技」と認められる腕を持っている方たちは、その“腕”をもってして、「やるべきこと」が決まっていて、それを最優先に生きていらっしゃいます。
 こういう方たちは、自分自身が評価されなくても、「自分の仕事」が評価されればいいと考えるので、人に対して見栄やてらいがほとんどないということです。
 つまり、「仕事が認められること」=「自分が認められること」なので、「自分自身」への執着を手離せるということだそうです。いいものができるかどうか、満足のいく仕事ができるかどうか……。ここにだけ意識が向けられているということですね。
 かつて、舩井幸雄も、よい人生を生きたいなら、世のため、人のために、プロとして、仕事を趣味のように実践することを説いてきましたが、なんだかこのあたりでつながってきたように思えたのです。
 プロ化するということは、そこにだけ集中することですから、きっと自身の邪念から外れられるのではないか? だから、趣味や娯楽をとおしてではなく、仕事で人生を満喫するべきだと述べたのではないだろうか……と。
 自分の「〜すべき」を明確に認識し、認められるようになると、「〜したい」に振り回されないでいい。他人の顔色をうかがったりすることもいらなくなるというのです。いずれ、必ずその仕事を認める人が出てくるというわけです。
 「なすべきこと」は欲望ではなく、価値。
 自分の乏しい能力と限られた時間のなかで、なにをすべきかをシビアに選択し、集中する。それこそが、世のため、人のためになる生き方につながっていくので、「あれも、これも」は無理だということなんですね。
 しかしながら、禅的考え方によると、その「なすべきこと」すら幻想だと考える……。
 その「べき」が所詮、幻想であることをわかっていると、結果を期待したり、見返りを求めたりすることも、そして思い通りにいかないことも、「仕方ない……」ととらえることができる……。
 所詮は、幻想。
 だから、冒頭に書いた「人生を棒に振るつもりで生きたらいい」というメッセージにつながっていくんだと、ここで腑に落ちたのです。
 本気で、自分を活かし、だれかのためになることを考えると、これだけシンプルなとらえ方になるんだということを、南氏のメッセージから学ばせていただきました。
 詳しくは、『禅僧が教える 心がラクになる生き方』(2017年アスコム刊)をご参照ください。

 舩井幸雄は、「1%の人が変われば、世の中が変わる」と断言しました。
 これが、「みろくの世」に変わるための条件であるとすれば、まだ、世のため、人のための発想を持つ人が足りていないということなんだと思います。
 地球環境も大きく疲弊してきている現在、一日も早くこの条件を満たす状況をつくっていかねばなりませんね。もはや、政治的、国際関係論的観点から考えたら答えはまったく見つかりません。私たち一人ひとりが、やはり決意をもって意識を変えなけれなならないことだけは自明だと考えます。

感謝



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Profile:佐野 浩一(さの こういち)
佐野 浩一(さの こういち)

1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。

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