みんなでひとつ命を生きていく〜宮ぷーこころの架橋プロジェクトから〜
このページは、特別支援学校教諭で、作家でもある「かっこちゃん」こと山元加津子さんによるコラムページです。
かっこちゃんは障害を持った子どもたちと、かけがえのない一人の友達として触れ合い続けています。その様子は『1/4の奇跡』という映画にもなりました。このコラムでは、かっこちゃんの同僚で、2009年2月に突然脳幹出血で倒れ、奇跡的に命をつないだ宮田俊也さん(通称・宮ぷー)との触れ合いの様子を中心にお届けします。
こんにちは、山元加津子と言います。私は特別支援学校(以前は養護学校といわれていました)に勤めています。そして、作家もしています。連載をさせていただけることになって、とてもうれしいです。前任校で一緒だった親友が脳幹出血で倒れてから、毎日日記を書きつづけています。メルマガとして、ありがたいことに、4000人以上の方が登録して、毎日読んでくださっています。「生きるって素敵」と言うこと「気持ちを伝え合えることの大切さ」など、宮ぷー(親友のニックネームです)はいろんなことを教えてくれます。
ここでは、その日記を通して、感じたことなどを書かせていただきたいです。どうぞよろしくお願いします。
初めは宮ぷーが倒れたばかりのころのお話です。
私は、実は、ひどく方向音痴でおっちょこちょいです。それで、講演会などへ一人で出かけることが難しくて、いろいろな方がサポートをしてくださっています、そのおひとりが、私が前に務めていた学校で一緒だった、宮田俊也さん(子供たちからは宮ぷーと呼ばれていて、私たちもそう呼んでいます)という方でした。その宮ぷーが、平成21年の2月20日に、脳幹出血で突然倒れたのです。当初は、3時間の命、それが過ぎたときは3日の命だというお話でした。宮ぷーに付き添っていられる家族は、赤ちゃんを産んだばかりの妹さん、ただ一人でした。それで、妹さんは昼間、赤ちゃんを連れながら付き添われることになり、私は、学校が終わってから、病院へ通うという毎日が始まりました。
夜に集中治療室にいると、お医者さんが来て、声をかけてくださいました。「妹さんに聞かれたと思うけれど、今夜が山です。もし、山を越すことができたとしても、一生植物状態だし、一生体のどこも動きません」と言われました。実は、宮ぷーは驚くほど大きな出血で、非常に重篤な状態でした。ですから、お医者さんが言われたことは、無理のないことだったのです。けれども、知らないということは本当に怖いものなしだなあと思います。私はなぜかそのとき、「だいじょうぶ。宮ぷーはだいじょうぶだ」という思いがして仕方がなかったのです。それで、「だいじょうぶです」と言いました。お医者さんは不思議そうな顔をされました。そして、そばにいる私のショックを少しでも少なくしようと思われたのでしょう。とてもやさしくゆっくりと私の顔を覗き込んで「僕の言っていることがわかる?」と言われました。私は逆に、こんなにも心配してくださっているお医者さんを安心させたくて「はい、わかります。先生、大丈夫。大丈夫だから先生安心して」と言いました。そんな状態ですから、お医者さんは次の日に、妹さんに「一緒にいた女の人はショックで頭がおかしくなっていたようでした」と私を心配して言ってくださったほどでした。
けれども、宮ぷーは決して大丈夫なんかではありませんでした。脳幹という場所は、人の生きるということを司る場所なのですね。宮ぷーの瞳孔は開きっぱなしで、舌が口から出て中へ入りませんでした。息もしていなくて、人工呼吸器がつけられていました。私はそれまで、熱ければ人はだれでも汗をかくのだと思い込んでいました。けれど、宮ぷーは汗をかくこともできずに、体温がどんどん上がっていきました。また、おしっこも出なかったのです。なぜなら、宮ぷーの内臓はどこも機能していなかったのです。けれど、お医者さん、看護師さん、介護士さんといったみなさんが、本当に心を尽くしてくださって、宮ぷーは生きることができました。このあと宮ぷーが少しずつ生きることを取り戻していきます。次の回では、宮ぷーが生きること、そして意識を取り戻すことについてお話させてくださいね。
【お知らせ】
・「おはなしだいすき」http://ohanashi-daisuki.com/
意思を伝える方法をたくさんあります。イラストで伝えるためのおはなしノートの無料ダウンロード、意思伝達装置の紹介など、意思を伝える方法をたくさん紹介しています。
・「宮ぷーこころの架橋ぷろじぇくと」http://www.mag2.com/m/0001012961.html
宮ぷーの様子や、気持ちを伝えること、宮ぷーをとりまくこと、私の日常などを毎日日記で無料配信しています。
『満月をきれいだと僕は言えるぞ・・GO!GO!意思伝達大作戦』三五館(税別1500円)宮田俊也・山元加津子著
脳幹出血で倒れた宮ぷーが、意思伝達装置のレッツ・チャットを使って気持ちを伝えられるようになりました。講演会で宮ぷーのお話をさせていただいたり、メルマガを書かせていただいているうちに、意思伝達の方法がほとんど広まっていないために、気持ちを伝えられない方がとても多くおられることがわかってきました。もっと気持ちを伝えあうために、GO!GO!意思伝達大作戦を展開します。この本には、「ノーティス!カード」がついています。手にとっていただけたらうれしいです。ノーティス!カードについては次回お話させてください。
09/20 | |
08/20 | |
07/20 | |
06/20 | |
05/20 | |
04/20 | |
03/20 | |
02/20 | |
01/20 | |
12/20 | |
11/20 | |
10/20 | |
09/20 | |
08/20 | |
07/20 | |
06/20 | |
05/20 | |
04/20 | |
03/20 | |
02/20 | |
01/20 | |
12/20 | |
11/20 | |
10/20 | |
09/20 | |
08/20 | |
07/20 | |
06/20 | |
05/20 | |
04/20 | |
03/20 | |
02/20 | |
01/20 | |
12/20 | |
11/20 | |
10/20 | |
09/20 | |
08/20 | |
07/20 | |
06/20 | |
05/20 | |
04/20 | |
03/20 | |
02/20 | |
01/20 | |
01/01 |
宮ぷー(右)と一緒に。
1957年 金沢市生まれ。エッセイスト。愛称かっこちゃん。石川県特別支援学校教諭。障害を持った子どもたちと、教師と生徒という関係ではなく、かけがえのない一人の友達としてふれあいを続けている。分け隔てなく、ありのままに受け入れる姿勢は、子どもたちの個性や長所を素晴らしく引き出している。そんな子どもたちの素敵さを多くの人に知ってもらおうと、教師をしながら国内外での講演・著作活動など多方面に活躍中。教師、主婦、作家、母親という4役を自然体でこなし、まわりの人に優しく慈しみをもって接する姿は、多くの人の感動を読んでいる。著書に『本当のことだから』、『魔女・モナの物語』(両方とも三五館)、『きいちゃん』(アリス館)、『心の痛みを受けとめること』(PHPエディターズグループ)などがある。
宮ぷーこころの架橋プロジェクト メルマガ登録:
http://www.mag2.com/m/0001012961.html
同プロジェクトから生まれたHP:http://ohanashi-daisuki.com/index.html
山元加津子さんHP「たんぽぽの仲間たち」:http://www005.upp.so-net.ne.jp/kakko/