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みんなでひとつ命を生きていく〜宮ぷーこころの架橋プロジェクトから〜

このページは、特別支援学校教諭で、作家でもある「かっこちゃん」こと山元加津子さんによるコラムページです。
かっこちゃんは障害を持った子どもたちと、かけがえのない一人の友達として触れ合い続けています。その様子は『1/4の奇跡』という映画にもなりました。このコラムでは、かっこちゃんの同僚で、2009年2月に突然脳幹出血で倒れ、奇跡的に命をつないだ宮田俊也さん(通称・宮ぷー)との触れ合いの様子を中心にお届けします。

2014.04.20(第41回)
風が吹いたみたいに思い出したんや

 春は別れと出会いの季節だとよく言われますね。私も3月のおしまいに教員という仕事をやめて、たくさんの別れと出会いをたくさん思い出しました。

 卒業する子どもたちにおくった詩です。

・・・・・・・・・・

私たちは明日へ向かおう

春の朝も、夏の朝も、
秋の朝も 冬の朝も
笑顔であふれた君たちが、
今日も「おはよう」と手をひろげて
飛び込むようにかけてくる

春の空は
桜の花を淡いピンクにそめていく

私たちは
花びらの散る中で
一緒にいようねと約束をする

夏の光が輝いて
プールの中に
キラキラと
きれいな模様を作り出す
君は光に手をかざして、
ああ、なんてうれしそうに笑うんだろう

枯れ葉がしきりに舞う中庭は
コートなしでは寒いけど
葉っぱも土もふかふかして、
大好きな君と今日も一緒にいられるから
なんだかとっても温かい

「明日も会える?」
「あさっても会える?」
君はバスに乗りかけたのに、
急に振り向いて
またまっすぐな目で尋ねるんだね

「明日も会おうね」
「あさっても会おうね」
うなずきながら また約束をする

明日もあさっても
きっといい日に決まっているね

夢を心に描きながら
歩んでいく
別々の糸の人生でも
同じ場所で、同じ時間をすごしたことは
とても大切な宝物だね

私たちの人生の
この結び目は
ずっと残ったままなんだと思う

結び目をそっと
心に描けば
きっとそこにはいつも
温かい笑顔が座っていて
大好きという気持ちを連れてくる

その結び目を
大切にしながら
私たちは明日へ向かおう

・・・・・・・・・・

 養護学校ですごした時間に、宝物のような出会いがいっぱいありました。原田大助くんは4冊も詩集をだしています。大ちゃんは、最初は目もあわなくて、ことばもちぐはぐで、少しもわかり合えないと思ったのです。

 ある日のこと、大ちゃんが「風が吹いたみたいに 思い出したんや、あのときのピンクのセーターは どうしたんや」と大ちゃんが遠いところを見る目をしながら言いました。

 「え、どの時? ピンクのセーターなんて私、着てたっけ?」「桜の花びらとおんなじ色やったね 」

 そんなセーターを持っていたかしらとアルバムをめくっていて驚きました。まだ大ちゃんと会ったばかりのころ、お散歩に出たときの写真の中に確かにピンクのセーターを着た私がいたのです。そのセーターは洗濯してちぢんでしまって、二度と着ることのなかったのです。
 会ったばかりのあのとき、大ちゃんは私がそばにいることがとても迷惑なようでした。目も合わず、心を閉ざして見える大ちゃんと歩きながら、私の気持ちはとても沈んでいました。
 大ちゃんは私のことが嫌いなのだろうか、ずっとこのまま分かり合える日はこないのかしらとうつむきながら考えていたのです。大ちゃんはずっと見つめていた私の視線をさけるようにしていたのに、でもあの時も私のことをしっかりと見ていてくれたんだと何年もたったそのときになってやっと気がつきました。
 白と間違えるくらいのあわいピンク色のセーターを、「桜の花びらと同じ色だ」と大ちゃんは見ていてくれたのです。そして6年もの長い間、しっかりと心のタンスにしまっていてくれたのです。
 私はあのとき、(私はこんなに仲良くしたいのに、大ちゃんはいつも逃げてばかり)と大ちゃんのことを責めていたのかもしれません。だからなお大ちゃんは私から逃げていってしまっていたのです。子供たちが心を閉ざしているように見えたとしても、それはたいていの場合自分の心が映っているだけなのかもしれません。もしかしたら相手の心は自分の心の鏡なのかもしれないですね。きっと大ちゃんは本当は私と仲良くしたいなと思っていてくれていたんだなと、しみじみとうれしく涙が出そうだったことを桜を見ると思い出します。



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著書『僕のうしろに道はできる 〜植物状態からの回復方法〜』
著書『僕のうしろに道はできる 〜植物状態からの回復方法〜』

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宮ぷーが倒れた

Profile:山元 加津子(やまもと かつこ 愛称:かっこちゃん) 

宮ぷー(右)と一緒に。

1957年 金沢市生まれ。エッセイスト。愛称かっこちゃん。石川県特別支援学校教諭。障害を持った子どもたちと、教師と生徒という関係ではなく、かけがえのない一人の友達としてふれあいを続けている。分け隔てなく、ありのままに受け入れる姿勢は、子どもたちの個性や長所を素晴らしく引き出している。そんな子どもたちの素敵さを多くの人に知ってもらおうと、教師をしながら国内外での講演・著作活動など多方面に活躍中。教師、主婦、作家、母親という4役を自然体でこなし、まわりの人に優しく慈しみをもって接する姿は、多くの人の感動を読んでいる。著書に『本当のことだから』『魔女・モナの物語』(両方とも三五館)、『きいちゃん』(アリス館)、『心の痛みを受けとめること』(PHPエディターズグループ)、『満月をきれいと僕は言えるぞ』(宮田俊也・山元加津子共著 三五館)などがある。2011年7月に新刊『ありがとうの花』(三五館)、2011年11月に『手をつなげば、あたたかい。』(サンマーク出版)を発売。

宮ぷーこころの架橋プロジェクト メルマガ登録:  http://www.mag2.com/m/0001012961.html
同プロジェクトから生まれたHP:http://ohanashi-daisuki.com/index.html
山元加津子さんHP「たんぽぽの仲間たち」:http://www005.upp.so-net.ne.jp/kakko/

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