みんなでひとつ命を生きていく〜宮ぷーこころの架橋プロジェクトから〜
このページは、特別支援学校教諭で、作家でもある「かっこちゃん」こと山元加津子さんによるコラムページです。
かっこちゃんは障害を持った子どもたちと、かけがえのない一人の友達として触れ合い続けています。その様子は『1/4の奇跡』という映画にもなりました。このコラムでは、かっこちゃんの同僚で、2009年2月に突然脳幹出血で倒れ、奇跡的に命をつないだ宮田俊也さん(通称・宮ぷー)との触れ合いの様子を中心にお届けします。
毎日寒い日が続いています。生きていると、いろんなことがあって、時に元気がなくなってしまうようなこともあります。でもそんなときは、今まで出会った大好きな子どもたちのことを思い出します。今日は昔の自分の日記を読み返しました。日記を読み返すと、子どもたちと一緒にいることで、なんてたくさんの元気をもらっていることだろうと思うのです。何年も前のちょうど今くらいの季節の日記です。
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2月2日 まさるちゃんとおしゃべりをしていると本当に楽しいです。「明日は節分だね。豆まき」まさるちゃんはそれを聞いて「はみがき?」と言いました。語感が似ているからかな? そうじゃなくて明日は豆まき……
「風邪が流行ってるね。予防にはマスクだね」「マスク…エプロンやねえ」とまさるちゃん。うーんちょっと違うなあ。お友達が「まさるちゃんわかってないなあ」と言いました。「風邪だよ風邪!!エプロンはお料理のとき」
いいえ、まさるちゃんはわかってないのじゃないのです。ただ、一緒に言葉で遊んでくれているのです。それが証拠に、まさるちゃんがマスクをしていたとき、「まさるちゃんマスクしてるね」と私が聞くと、まさるちゃんが「まさる風邪ひいたね」といいました。
2月7日 まさるちゃんは掃除機が大好きです。「まさる掃除機するね」と言って、休み時間になるたびに、掃除機をコンセントにつないで、掃除をしてくれます。そして、ときどき、吸い込み口のところに手を置いて「わあ、わあ、まさる吸い込まれるね」と笑うのが可愛いのです。
2月9日 作業で一緒のりゅうちゃんはしょっちゅう「おめでとう」って言います。お誕生日だとか、そういう特別な日じゃなくても、たとえば顔を見ると「かっこちゃんおめでとー」って、少し作業をして、それからまた顔をあげて「おめでとー」って言います。
最初は「りゅうちゃん、お誕生日じゃないよ」とか「何のおめでとー?」なんて聞いていて、そうすると、りゅうちゃんは、首をちょっとかしげて、だまっていました。そして、しばらくして、また「おめでとー」と言います。気がつくと、りゅうちゃんに「おめでとー」って言ってもらうとすごくうれしい気持ちになっていることに気がつくのです。
そうだ、くまのプーさんの本の中にも、「お誕生日おめでとう」「お散歩に行って楽しい日おめでとう」とか「何でもない日、おめでとう」っていうふうに、毎日の中に、うれしいことを見つけて、相手の幸せをお祝いして「おめでとう」というおはなしが出てきます。
りゅうちゃんはきっと、いろんなことに感謝していて、そして、毎日はつらいことだってあるけれど、でも、たくさんのうれしいことで彩られていることを知っていて、そして相手の幸せも「ああ、本当によかったね」って思って、「おめでとう」って言ってくれてるのかもしれないって思いました。りゅうちゃんは素敵。素敵なりゅうちゃん、おめでとう……。今日もみなさんおめでとう。
今日はあっちゃんが、「かっこちゃん、幸せってどんなもの? 何かもらったら幸せ?」と聞いてくれました。私はすぐには思いつかなかったのです。あっちゃんは朝、テレビに出ていた何億円もする宝石の話をしてくれました。「かっこちゃんはあんな宝石もらったら、どうする。幸せか?」とあっちゃんが聞きました。私は、たとえ、宝石がとってもきれいでも、それが何億円もするのなら、持っていてももらっても、あんまり幸せとは関係ないなあと思って、あっちゃんにそう話しました。「そんなに高い宝石を持っていたら、なくすのじゃないかと心配になったり、盗られちゃったらどうしようと誰かを疑ったり、幸せとは逆みたいな気がするなあ。私はそれよりも、誰かが、たとえば、私のために、木を彫って首飾りを作ったり、海で拾った石を磨いて、指輪を作ってくれたら、その方が百万倍うれしくて幸せだと思うな」と言いました。あっちゃんは、「かっこちゃんはそういうけど、女は、高い宝石が好きなんやぞ」って言いました。「そっかあ」とこたえたけれど、きっと本当にもらってうれしいものは、お金じゃ買えないんだろうなあと思ったし、いつかあっちゃんもそんなふうに思うようになるかなあと思ったのでした。
ああ、私の毎日はいつも幸せがいっぱいだなあと思います。やっぱりつらかったり、悲しかったり、元気がなくなってしまいそうなこともあるけど、でもそんなときにはいつも、必ずうれしくて幸せなことも起きるよ。そして、最後はやっぱりうれしいです。毎日毎日うれしいです。
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『手をつなげば、あたたかい。』(サンマーク出版 山元加津子著 1,470円)
★ 山元加津子と仲間たちとのおかしな毎日を綴る
いちじくりんHP:http://itijikurin.blog65.fc2.com/
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宮ぷー(右)と一緒に。
1957年 金沢市生まれ。エッセイスト。愛称かっこちゃん。石川県特別支援学校教諭。障害を持った子どもたちと、教師と生徒という関係ではなく、かけがえのない一人の友達としてふれあいを続けている。分け隔てなく、ありのままに受け入れる姿勢は、子どもたちの個性や長所を素晴らしく引き出している。そんな子どもたちの素敵さを多くの人に知ってもらおうと、教師をしながら国内外での講演・著作活動など多方面に活躍中。教師、主婦、作家、母親という4役を自然体でこなし、まわりの人に優しく慈しみをもって接する姿は、多くの人の感動を読んでいる。著書に『本当のことだから』、『魔女・モナの物語』(両方とも三五館)、『きいちゃん』(アリス館)、『心の痛みを受けとめること』(PHPエディターズグループ)、『満月をきれいと僕は言えるぞ』(宮田俊也・山元加津子共著 三五館)などがある。2011年7月に新刊『ありがとうの花』(三五館)、2011年11月に『手をつなげば、あたたかい。』(サンマーク出版)を発売。
宮ぷーこころの架橋プロジェクト メルマガ登録:
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同プロジェクトから生まれたHP:http://ohanashi-daisuki.com/index.html
山元加津子さんHP「たんぽぽの仲間たち」:http://www005.upp.so-net.ne.jp/kakko/