みんなでひとつ命を生きていく〜宮ぷーこころの架橋プロジェクトから〜
このページは、特別支援学校教諭で、作家でもある「かっこちゃん」こと山元加津子さんによるコラムページです。
かっこちゃんは障害を持った子どもたちと、かけがえのない一人の友達として触れ合い続けています。その様子は『1/4の奇跡』という映画にもなりました。このコラムでは、かっこちゃんの同僚で、2009年2月に突然脳幹出血で倒れ、奇跡的に命をつないだ宮田俊也さん(通称・宮ぷー)との触れ合いの様子を中心にお届けします。
私はずっと不思議な気持ちの中ですごしています。突拍子もないことを言うようですが、私の文章を読んでくださっているみなさんや、心を寄せてくださっているみなさんと一緒に、私は冒険の旅に出ているような気持ちでいます。
宮ぷーの回復のためのリハビリの前にも、大きく立ちはだかった「こんなに大きな脳の損傷の患者はなおらないんだ」とか「もう何もわからないんだ、何も感じていないし、見えないし聞こえないし、わからないんだ」という大きな常識の壁は、私が教員になったころも、子どもたちとすごす上で、立ちはだかった大きな壁でした。その壁は今も少しも変わらずに、あるのです。
このごろ、少し白雪姫プロジェクトを知ってくださったマスコミの方や,医療関係者の方から、「長い間広まっていかないのは、医学的な根拠がないからではないのですか?」「どこどこの国の学会で、すでに否定されたことじゃないのですか?」というお尋ねもあります。
私は驚いて、いろいろと説明をします。けれど、簡単にわかっていただけるものではないなあと実感します。たくさんいただくメールでも、「脳はなおらない、今後何も、変化は見込めませんと担当医に言われました」「危険だからと、座ることはだめと言われました」「父はわかっています。まばたきで伝えていますと言っても、妄想だと言われます」と書かれてあったりもします。本当に、その壁は大きくて今は大きな力を持っています。
どんなことを言われたりしても、決して誰かが悪いわけではないのです。なにもかもが、治らない、思いを伝える方法は存在しないし、わかっていないんだという、ものすごく大きな常識の壁のせいなのです。そして、その常識は、回復していく方法をとっていない症例をもとにしてつくられたもので、(その方法を)とっていけば、変わって行くのです。
その常識の壁という魔物は、簡単にはやっつけることのできない強敵です。その強敵はたくさんの人の心を傷つけたり、その人らしい生き方を奪ったりもします。
でも、あきらめてはならないと思うのです。みんなでその魔物を変えて行く。常識はきっと変わっていけるのだと思います。みんなの力があればだいじょうぶです。ひとりひとり、誰もが、ドラゴンの剣や魔法の指輪を持っている。それは、相手を思う心、大好きは、うれしいという魔法の力のように私は思うのです。その魔物は本当に大きくて、強くて、恐ろしくて、なかなか倒せるものではありません。心をひとつにして、みんなで、立ち向かわなければならないし、今がそのときだと思っているのです。みなさんはその冒険の旅の仲間のようだと私は思えてならないのです。
そんなふうなことをメルマガにも書いたら、冒険の旅のことを、みなさんがとても喜んでくださいました。今おつらい中におられたり、苦しみを抱えられた方がとってもうれしいと言ってくださることが、私はとてもうれしいです。
ハートちゃんから
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かっこちゃん、ハートです。中学校の途中からずっと不登校になり、今もひきこもったままです。そんな私ですが、母が熱心に読んでいるかっこちゃんの本を知り、母がかっこちゃんのメルマガをとりたいから、登録してあげたのが縁で、私もかっこちゃんのメルマガを読むようになりました。先日ははじめて母と6年ぶりに外出して、母とかっこちゃんの講演会に出かけました。母もとても喜んでくれて、かっこちゃんにメールをしたようで、以前メルマガにも載せていただきましたね。かっこちゃん、私はそれから、少しずつは外出できるようになってきたけれど、それでも、ひと月に一度か、ふた月に一度くらいです。
それでも、母は喜んでくれます。やはり、以前よりはずっといいけれど、毎日がつらくて、外へでるのが怖いのです。かっこちゃんの勇者のメダルのメルマガを読み、こんなにわくわくした気持ちになったのは久しぶりです。かっこちゃんやみなさんと一緒に、勇者のメダルを胸につけて、歩き続けていることを想像すると、怖さも薄れ、勇気が出そうな気がしてきます。かっこちゃん私も冒険に連れて行ってください。宮ぷーも、私の想像の中では歩いています。お話しもしています。とても強い勇者です。かっこちゃん、明日は私、久しぶりに一人で外出してみようかな、ネットで調べたら魔法のグッズが売っているお店があるのを見つけました。電車で3駅のところです。近いけれど、私に取っては冒険の一歩。想像のように、胸を張って。
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ハートちゃんが、講演会にもきてくださって、そして、冒険の旅に一緒に出てくださることがとてもうれしいです。冒険の旅には、宮ぷーも、立って歩いて、野原をかけて、大声で仲間と呼びあったりもするのだなあと思って、うれしくなります。私は魔法が大好きだし、冒険のことも大好き。魔法の本も作ったり、魔法のつえもいっぱい作ったことがあります。勇者のメダルもつくってみたいなあ。自分で作ったものなのに、持っているとすごく勇気が出ます。それから、ハリーポッターの杖も持っているし、指輪物語の指輪も持っています。持っているだけで、すごくすごくうれしくなるのです。ハートさんにも、「もし素敵な魔法のものを見つけたら写真を送ってくださいね」とメールをしました。
とろきちさんという方や、やぶとさんからもメールをいただきました。
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(とろきちさん)かっこちゃんの冒険の旅。僕も一緒に旅していますよ。息子が寝たきりになって4年。白雪姫プロジェクトに出会ってから、希望が出て来ました。息子のまわりの無理解は、その人達が、魔物の魔法にかけられているせいだったのですね。それならば、魔物を倒す旅に父親としても参加しなくてはなりません。魔法にかけられているドクターや教員も、魔物の魔法から解放させてあげなければならないのですね。どんなことも楽しむかっこさんを僕たち家族も心から応援しています。
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(やぶとさん)こんにちは。やぶとと申します。やぶとの息子も、そしてやぶとも勇者の一人です。10歳まで元気で過ごしましたが、10歳のときに、頭が痛いと言いだし、病院へ連れて行きましたが、その後、まさか、元気な姿で家に帰れないようになるなんて、思いもしないことでした。ドクターからは、一生、立つことも座ることも出来ないし、意思を伝えることもできないと言われて、脳死に近い状態と言われました。必死の思いでネットを探し、白雪姫プロジェクトに辿り着き、光がさした思いがしました。1000人集会にも参加し、息子も、回復の兆しがあります。目を僕たちの呼びかけに対して動かしたり、手もわずかながら動き出しています。しかし、かっこちゃんの言われる常識の壁が僕たちの前に立ちはだかります。学校のこと、医療のこと。悔しい涙も流します。けれど、かっこちゃんの冒険の旅の途中というメールを読み、さらに再び光がぱっとさしたのを感じました。僕たちは冒険の旅の途中。そのフレーズがずっと頭から離れません。冒険だからいろいろなことがあって、当たり前。いろいろなことがあって、乗り越えるから、未来へつながるんだと納得できました。そして、気持ちを奮い起こすことができました。そうだ、息子もそして僕も勇者のひとり。かっこちゃんの白雪隊の仲間の一人ですね。かっこちゃんいつも夢をありがとう。本当にありがとう。この感謝の気持ち、伝えずにはいられません。勇気凛々。息子のことは、あきらめません。そして、周りに伝えることもしていきます。勇者ですからね。
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そうなんですね。誰かが悪いのじゃない。常識という魔物すら、違う「真実なる」ものに生まれ変われば、すべてが変わって行くのですね。この冒険は誰かを傷つけるためのものではない。でも、だからこそ、もっともっと大きな勇気を持って進まなければならないものだと思います。そして、誰もが一生懸命生きていること。それはもう冒険の旅なんだという気もしています。
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宮ぷー(右)と一緒に。
1957年 金沢市生まれ。エッセイスト。愛称かっこちゃん。石川県特別支援学校教諭。障害を持った子どもたちと、教師と生徒という関係ではなく、かけがえのない一人の友達としてふれあいを続けている。分け隔てなく、ありのままに受け入れる姿勢は、子どもたちの個性や長所を素晴らしく引き出している。そんな子どもたちの素敵さを多くの人に知ってもらおうと、教師をしながら国内外での講演・著作活動など多方面に活躍中。教師、主婦、作家、母親という4役を自然体でこなし、まわりの人に優しく慈しみをもって接する姿は、多くの人の感動を読んでいる。著書に『本当のことだから』、『魔女・モナの物語』(両方とも三五館)、『きいちゃん』(アリス館)、『心の痛みを受けとめること』(PHPエディターズグループ)、『満月をきれいと僕は言えるぞ』(宮田俊也・山元加津子共著 三五館)などがある。2011年7月に新刊『ありがとうの花』(三五館)、2011年11月に『手をつなげば、あたたかい。』(サンマーク出版)を発売。
宮ぷーこころの架橋プロジェクト メルマガ登録:
http://www.mag2.com/m/0001012961.html
同プロジェクトから生まれたHP:http://ohanashi-daisuki.com/index.html
山元加津子さんHP「たんぽぽの仲間たち」:http://www005.upp.so-net.ne.jp/kakko/