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みんなでひとつ命を生きていく〜宮ぷーこころの架橋プロジェクトから〜

このページは、特別支援学校教諭で、作家でもある「かっこちゃん」こと山元加津子さんによるコラムページです。
かっこちゃんは障害を持った子どもたちと、かけがえのない一人の友達として触れ合い続けています。その様子は『1/4の奇跡』という映画にもなりました。このコラムでは、かっこちゃんの同僚で、2009年2月に突然脳幹出血で倒れ、奇跡的に命をつないだ宮田俊也さん(通称・宮ぷー)との触れ合いの様子を中心にお届けします。

2011.9.20(第10回)
光ちゃんとララちゃん

 『ありがとうの花』(三五館)の一節です。そこにりささんからのメールを載せさせていただきました。

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〈赤ちゃんがほしいと思いつづけて、ようやく15年の年月のあと、4月に生まれた赤ちゃんはダウン症の女の子でした。私がほしかったのはダウン症の子どもじゃない。誰もがうらやむようなかわいらしくて、利発で、スポーツができて、いっしょに連れて歩いても誰もが振り返るようなかわいい、きれいな赤ちゃん。子どもがお腹にいる間には、赤ちゃん雑誌を何冊も購読し、洋服を準備し、早期教育教室を探すことにも余念がありませんでした。
 私がどんな悪いことをしたというのでしょう? なぜこの私がダウン症の子どもを育てなければならないのか? 私が思い描いてきた未来はどうなるの? どれだけ泣いても受け止めることができませんでした。
 けれど主人は、すごく光(ひかり)をかわいがっています。かわいい、かわいいといつも抱きあげて、ほら笑った、ああ泣いた、おむつが濡れた、と世話をやいてくれます。そして、光や主人につらく当たる私のことを、主人はただの一度も責めないのです。そんな主人を見ることすらつらくて、たまりませんでした。
 かっこちゃんは今朝、書きました。「この愛でいっぱいの本を見られた方が、ああ、なんてかわいい。なんて素敵な愛でいっぱいの子どもたちだろう、と感じるに違いないと思うのです」と。そして、光は私たちを選んで生まれてきてくれたんだと。
 かっこちゃん、馬鹿げたことと思うかもしれませんが、言います。「かっこちゃんは私のために、光のために、これを書いてくれたに違いない」と、そう思いました。まだメルマガを読んで5時間です。それなのに、私の体の細胞の中の何かが変わりました。恐ろしい勢いで変わりました。
 光を見たら、私を見て、にっこり笑いました。この笑顔を、私はちゃんと見ていただろうか? はじめて光をかわいいと思いました。そう思って見たら、本当にかわいい顔をしているのです。抱きあげると頼りなげで、こんな私を見てニコニコ笑うのです。抱きしめると柔らかくて涙があふれました。白い肌、長いまつげ。よく見れば私にも主人にもよく似ています。この子は私と主人に会いたくて、私たちのところに来てくれたんだ。
 赤ちゃんが生まれたら着せようと用意したピンクの服を着せる気持ちにもなれなかったのに、出してきて着せたらとてもよく似合いました。主人に写メを送りました。「光はピンクがよく似合うよ。ほら、かわいいでしょう」という文章をつけて写メを送りました。
 かっこちゃん、主人がね、仕事中なのに帰ってきてくれてね、私を抱きしめてくれたんです。「光としあわせになろうな」と。主人は私の気持ちが必ず落ち着いてくれると知っていたそうです。私を信じていてくれたそうです。
 かっこちゃん、私の遺伝子の中にある「大好きはうれしい」をONにしてくれてありがとう。いまも自分の中の変化に戸惑うけれど、そばには私を見て、笑う、私たちの娘・光がいます。
 昨日の講演会に来てかっこちゃんに「ダウン症の子どもが生まれた」と話をしてくれたご夫婦の方に心から感謝します。すべて必要で起こったといまわかります。
 光の写メ、かっこちゃんに送ります。私の大切なかわいい光を見てもらいたいです。信じられません。いまはなりたての親バカです。〉


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 『ありがとうの花』を読んでくださった未来さんがメールをくださいました。

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〈未来と申します。初めてメールをさせていただきます。私には、生後1ヶ月になる娘がいます。娘はダウン症で生まれました。内臓にもいくつかの奇形がありますが、おかげさまでそちらの方は軽いようです。出産のときに、すぐに子どもを抱かせてもらえずに、娘が別室へ連れて行かれたことなど、いろいろ胸騒ぎがありましたが、ダウン症という聞いたこともない言葉を聞いたのは、二日後のことでした。これからの娘の将来、ダウン症の子どもを産んでしまったという悲しみや、あともどりできないという思いに、ただ泣きました。主人は私に何も言わずに抱きしめてくれました。私は主人に申し訳ないという思いから抜け出せなかったのです。
 ところが、その次の日に、主人が持ってきてくれたのが、『ありがとうの花』の本でした。主人が、信頼している養護学校の教員をしている友達に、ダウン症について知り合いに尋ねたときに、ちょうど、読んでほしいものが手元にあるよと渡された本が、この本だったそうです。本などなかなか読む気にはなれなかったのに、主人はしおりをはさんだ場所を示して「未来、ここを読んでほしい。ただ読んでほしい。そして、がんばっていこう」と言ってくれました。それから、毎日メルマガを読ませていただいています。おかげさまで、ララ(娘の名前です。楽しい名前をと二人で考えて決めました)も一月の間に退院ができて、家で三人で暮らしています。主人の友達が、ダウン症はどんな障害があるとか、そういう説明ではなくて、何も言わずにかっこちゃんの本を渡してくれたことにも感謝しています。かっこちゃんありがとう。りささんありがとう。〉


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 ララちゃん、なんて素敵なお名前でしょう。うれしくてなりません。りささんがメールをくださった二日前には「ダウン症の子どもが家に生まれました」と講演会でお話をしてくださったご夫婦があって、そのお話をメルマガに書かせていただいたところでした。そして、りささんがメールをくださって、今度は未来さんが、本を読んでくださってメールをくださいました。きっと、これは、起きるように、つながるようになっていたのかなあ。それが神様の計らいかなあって、そんなふうに思って、涙が出ます。私たちはいつも、本当に守られてここにあるんだなあと思います。私こそ、未来さん、りささん、光ちゃん、ララちゃんみなさんにお礼を言います。ありがとうございます。
 脳幹出血で倒れて2年半になる宮ぷーは、今日もいろんなことをがんばってくれています。先日、宮ぷーははじめて、歌を歌ってくれました。宮ぷーは本当にずっと自分の声でおしゃべりがしたかったのです。でも、脳幹に大きな穴があいている宮ぷーにはとても難しいこと。これまでも、何度も、「あのCT画像では難しいですね」と言われたことがありました。でも、宮ぷーはあきらめていないのです。七夕のお願いも、「おはなしがしたい」でした。なかなか声が出なくて、でも、歌だったら声を自然と出せるのじゃないか。そんなふうに練習したけれど、なかなかそれもうまくいきませんでした。
 きっと一人で何度も何度も練習してくれたのです。声を自分で出すのも大変な宮ぷーが、2フレーズほどではあったけど、巨人の星をしっかり歌ってくれました。感激しました。いちじくりん(http://itijikurin.blog65.fc2.com/blog-entry-1901.html)にその様子をアップしました。曲は「巨人の星」「思いこんだら試練の道を 行くが男のど根性・・・」本当にそれはどんなに大変なことだろうと思うと涙が出ます。かならずいつか、宮ぷーが望むようにおしゃべりができるようになるよ。必ずなる。だって、宮ぷーにはど根性があるもの。ぜひぜひ宮ぷーのど根性の歌、見てくださいね。


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ありがとうの花
著書『ありがとうの花』

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『ありがとうの花』(三五館刊 山元加津子著 1,155円(税込))



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Profile:山元 加津子(やまもと かつこ 愛称:かっこちゃん) 

宮ぷー(右)と一緒に。

1957年 金沢市生まれ。エッセイスト。愛称かっこちゃん。石川県特別支援学校教諭。障害を持った子どもたちと、教師と生徒という関係ではなく、かけがえのない一人の友達としてふれあいを続けている。分け隔てなく、ありのままに受け入れる姿勢は、子どもたちの個性や長所を素晴らしく引き出している。そんな子どもたちの素敵さを多くの人に知ってもらおうと、教師をしながら国内外での講演・著作活動など多方面に活躍中。教師、主婦、作家、母親という4役を自然体でこなし、まわりの人に優しく慈しみをもって接する姿は、多くの人の感動を読んでいる。著書に『本当のことだから』『魔女・モナの物語』(両方とも三五館)、『きいちゃん』(アリス館)、『心の痛みを受けとめること』(PHPエディターズグループ)、『満月をきれいと僕は言えるぞ』(宮田俊也・山元加津子共著 三五館)などがある。2011年7月に新刊『ありがとうの花』(三五館)を発売。

宮ぷーこころの架橋プロジェクト メルマガ登録:  http://www.mag2.com/m/0001012961.html
同プロジェクトから生まれたHP:http://ohanashi-daisuki.com/index.html
山元加津子さんHP「たんぽぽの仲間たち」:http://www005.upp.so-net.ne.jp/kakko/

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