みんなでひとつ命を生きていく〜宮ぷーこころの架橋プロジェクトから〜
このページは、特別支援学校教諭で、作家でもある「かっこちゃん」こと山元加津子さんによるコラムページです。
かっこちゃんは障害を持った子どもたちと、かけがえのない一人の友達として触れ合い続けています。その様子は『1/4の奇跡』という映画にもなりました。このコラムでは、かっこちゃんの同僚で、2009年2月に突然脳幹出血で倒れ、奇跡的に命をつないだ宮田俊也さん(通称・宮ぷー)との触れ合いの様子を中心にお届けします。
学校にクリスマスツリーを飾りました。少し早いけれど、でも、もう11月の半ばです。
街にもクリスマスがあふれています。クリスマスの歌を聞くだけで、すごく楽しい気持ちになりますもの。それから、国語の授業では、「今年の漢字」は何だろうと、みんなで考えたそうです。子どもたちが考えたのは「絆」「優」「勇」大きな災害が起きて、でも、みんなの優しい心や勇気があつまって、絆が深まった年だったのかもしれません。
昔、クリスマス会をしたことを思い出しました。その時の文章です。
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学校でクリスマス会がありました。午前中はホットケーキを焼いたり、歌を歌ったり、それからお昼からきてくれる近くの高校生の友達に渡すクリスマスカードを作ったりしました。その友達とは、今日、初めて会うことになっていました。近くの高校の生徒会の人たちが6人きてくれるのです。洋ちゃんは少し震える字で、一所懸命ていねいに、「メリー・クリスマス ようじ」と書いていました。
給食を食べたあと、高校生の友達がきてくれたので、養護学校の子供たちと高校生が二人一組のペアになって、ボーリングとトランプをしました。ボーリングはボーリング場でいただいてきた、本物のピンとボールを、小さなスロープの上にのせて、ねらいをつけてたおします。高校生の友達は、養護学校の子供たちがどうしたら、ボールをころがせるか、考えたり、子供たちに聞いたり、私たちに聞いたりして、ゲームをすすめてくれました。
一人投げたら、ペアのもう一人……、接戦で、白熱した試合でした。それから、大きなトランプを使って神経衰弱をしました。子供たちも私たちも、そして高校生の友達もとても楽しそうでした。また歌を一緒にうたって、養護学校からは、洋ちゃんがあいさつをしました。「たのしかった。ありがとう。またきてね」と言いました。
高校の会長さんが「最初考えていたのと違って、すごく楽しかったです。これからも友達でいましょう」って言ってくれました。きっと会う前には、どんなふうな時間をすごすのだろう、養護学校の子供たちはどんなふうだろうと思ったのだと思います。でも出会ったら、きっとほっと安心して、遊んだらきっともっと安心して、楽しかったのだと思います。それこそが、交流の素敵なところですものね。
それから、一緒のペアの友達とクリスマスカードの交換をしました。洋ちゃんは友達にムーミンの絵が描いてあるカードをもらいました。ちゃんと洋ちゃんの名前が書いてある素敵なカードでした。洋ちゃんも、午前中に作ったカードを渡しました。友達は、洋ちゃんのカードをありがとうと受け取ってくれて、中をそっとあけました。洋ちゃんの少しふるえる「メリー・クリスマス ようじ」の字が目に飛び込んできました。
そのときです。
高校生の男の子が、ふいに目から涙をぽろぽろっとこぼしました。恥ずかしそうに、でも洋ちゃんの目をじっとみつめて「ありがとう」と手を握りました。私はそばにいて、やっぱり急にあついものがこみあげてきて、涙がぽっかり浮かんできました。私は子供たちと一緒にいて、ときどき、空気中か、心の中か、たくさんたくさん天使がいて、ときどき、光の棒で、私たちに魔法をかけてくれるのではないかと思うことがあります。そんなとき、ふいに涙が出てきたり、うれしくてたまらなくなったり、仲良くなったり、優しい気持ちでいっぱいになったりするのじゃないかと思うことがあります。今日だってクリスマス会だもの。きっと天使はいるのです。サンタさんがいるように……。
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ところで、私、今度新しい本を出していただきました。ようじくんと会長さんの握手のようにあたたかな題名になりました。『手をつなげば、あたたかい。』(サンマーク出版)
出版社さんが書いてくださった内容説明はこんなでした。
「 〜〜内容紹介〜〜
どうして、自然は何もかもうまくいくようにできているんだろう。
どうして、うれしいことと悲しいことがあるのだろう。
どうして、誰かの痛みを自分の痛みのように感じてしまうのだろう……。「どうして? どうして?」と聞いて回るので、小さい頃のあだ名は「どうしてちゃん」だったという著者。
25年に渡る教師生活で、学校の子どもたちから教えられたこと。歴史に学んだ人間の悲しさと強さ。また、脳出血で倒れた友人、宮田俊也さんの奇跡的な回復を通して知った、人間の持つ無限の可能性。こうした日々の出来事から著者が感じ取った「宇宙の理」を、優しい言葉で綴るエッセイです。」
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よろしくおねがいします。
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・今度新しい本を出しました。こころがあたたまる本です。
『手をつなげば、あたたかい。』(サンマーク出版 山元加津子著 1,470円)
★ 山元加津子と仲間たちとのおかしな毎日を綴る
いちじくりんHP:http://itijikurin.blog65.fc2.com/
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宮ぷー(右)と一緒に。
1957年 金沢市生まれ。エッセイスト。愛称かっこちゃん。石川県特別支援学校教諭。障害を持った子どもたちと、教師と生徒という関係ではなく、かけがえのない一人の友達としてふれあいを続けている。分け隔てなく、ありのままに受け入れる姿勢は、子どもたちの個性や長所を素晴らしく引き出している。そんな子どもたちの素敵さを多くの人に知ってもらおうと、教師をしながら国内外での講演・著作活動など多方面に活躍中。教師、主婦、作家、母親という4役を自然体でこなし、まわりの人に優しく慈しみをもって接する姿は、多くの人の感動を読んでいる。著書に『本当のことだから』、『魔女・モナの物語』(両方とも三五館)、『きいちゃん』(アリス館)、『心の痛みを受けとめること』(PHPエディターズグループ)、『満月をきれいと僕は言えるぞ』(宮田俊也・山元加津子共著 三五館)などがある。2011年7月に新刊『ありがとうの花』(三五館)を発売。
宮ぷーこころの架橋プロジェクト メルマガ登録:
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同プロジェクトから生まれたHP:http://ohanashi-daisuki.com/index.html
山元加津子さんHP「たんぽぽの仲間たち」:http://www005.upp.so-net.ne.jp/kakko/