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みんなでひとつ命を生きていく〜宮ぷーこころの架橋プロジェクトから〜

このページは、特別支援学校教諭で、作家でもある「かっこちゃん」こと山元加津子さんによるコラムページです。
かっこちゃんは障害を持った子どもたちと、かけがえのない一人の友達として触れ合い続けています。その様子は『1/4の奇跡』という映画にもなりました。このコラムでは、かっこちゃんの同僚で、2009年2月に突然脳幹出血で倒れ、奇跡的に命をつないだ宮田俊也さん(通称・宮ぷー)との触れ合いの様子を中心にお届けします。

2011.12.20(第13回)
明音ちゃん

 「宮ぷーこころの架橋ぷろじぇくと」という名前で、毎日日記を書いています。今は5200人くらいの方が毎朝届く日記を読んでくださっています。
 私はこのメルマガは自分で書いているメルマガなのに、すごいメルマガなんだよといつもいいます。それは私がすごいのじゃなくて、とってくださっている仲間がすごいのです。
 本当にみなさんが温かくてとても素敵で、感想のメールをいただくと、また、そのメールにたくさんのお返事をいただいて、つながりながら、みんなでひとつの命を生きているんだなあと実感できるのです。
 メルマガをとってくださっているお友達に「こんともちゃん」という方がいます。お子さんの明音ちゃんは生まれてすぐに、脳に酸素がいかない状態になり、何度も危篤になりました。こんともちゃんはけれど、決してあきらめることなく、ずっとそばにいて、そして、話しかけ抱っこして、時間をすごされました。一生植物状態だというようなお医者さまからのお話もあったけれど、明音ちゃんはお父さんとお母さんであるこんともちゃんと、周りの方のたくさんの愛を受けながら、泣いて思いを伝えたり、笑顔で応えるようにもなっていきました。胃にチューブをいれて、そこからの食事をされていましたが、それだけでなく、おいしいものも口からとれるようにと、少しずつ味見もできるようになってきていました。そんな明音ちゃんが11月に体調を崩し、そして、12月に入って、入院をされることになりました。

 12月4日にメールがこんともちゃんから私に届きました。ちょうど講演会中だったので、そのことを気づかってくれながら、「講演会が終わったら読んでね」と前置きをしながら、「明音は久しぶりに辛い状態です。熱は41度を超えてしまって、咳と吐き気で昨日は強い座薬で40時間ぶりにちょっとだけ寝かせました。口や喉や食堂が切れて出血、胃ろうチューブからは赤い血と黄色胃液がどんどん出ていて、脈拍は180を超えて、しんどすぎて、うなされながら歯ぎしりをしています。ああいつも思うけど、どうして変わってやれないんだろう。でもきっと大丈夫。明音はいつも何日も何日も苦しんで、何日も何日も眠って、そして必ずまた元気になって笑ってくれるよ。また、メールをさせてね。かっこちゃんがいてくれると思うとがんばれるから」

 私はすぐにメールの配信の手続きをしてくださっている星野ひとつさんに特別号をだしていただくようにお願いをしました。祈りはとても力があるから、5000人の人が祈ったらきっときっと、その祈りは届くから。「どうぞみなさん、明音ちゃんのこと、お祈りしてください」と。すぐにたくさんのメールが届きました。心から祈っています。私たちがついているよ。温かい力強いメールが届きました。
 けれど、そのとき、明音ちゃんは、自分で今亡くなろうと決めていたようだとこんともちゃんは言いました。明音ちゃんが亡くなられた知らせが電話とメールで届いたのです。
 その日のメルマガにこんともちゃんからいただいたメールを載せました。

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 昨日12月4日15時9分 明音は6歳でお空に旅立ちました。私の腕の中で、最期は苦しまず、眠るようでした。急な別れでしたが、本当にたくさんの方に愛され、本当に幸せな人生でした。背負う苦しみも痛みも、いつも自分で決めてきた子です。自分で決めたことをちゃんと見送ってあげようと思っています。夕べは家族3人、おうちで休みました。メルマガの皆さんに、お力を送ってくださったおかげで、苦しまずにお空にかえれたこと、本当に本当にありがとうとお伝えください。

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 明音ちゃんのお通夜は今日、5日の夜。6日にお葬式です。最初は、メールをいただいたときに実感がなくて、ただ信じられないような気持ちがしていたけれど、夜、運転しながら帰るときに、涙が止まらなくなって、そして昨日の夜、がばって起きては何度も声をあげて泣きました。私でさえそうなのです。こんともちゃんやパパさんやご家族の方の想いはどんなにおつらくさびしいことでしょう。みなさんに提案があります。今日の夜の8時に、『満天の星』を明音ちゃんやみなさんを想いながら、歌いませんか? もしよかったら、世界中の声が、明音ちゃんやこんともちゃんに届きますように。心からお願い致します。

  *

 満天の星は、私が作った曲で、「宇宙の約束」という映画の挿入歌にもなっています。メルマガを読んでくださっている方は本当にうれしいのですが、世界中におられます。日本中から、世界のあちこちから、一緒に歌いますとメールが今度は届きました。本当に本当にたくさんのメールでした。東京の仲間の彩ちゃんというお嬢さんが、「いてもたってもいられなくなって」新幹線に飛び乗られて、4時間以上かけて明音ちゃんのお通夜の会場にかけつけてくださいました。そして、5000人が今、歌いますと、アカペラで明音ちゃんの前で「満天の星」を歌ってくださったのだそうです。
 ほんの一部だけ紹介させてください。

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(シドニーのゆりやさん)かっこちゃん・ひとつさん今晩8時(シドニーは22:00です。)に、「満天の星」私も歌います。      ゆりや

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 (はるちゃん、なるちゃんのお母さん、おみさんから)いつもメルマガを読ませていただきありがとうございます。昨日、号外を頂き、今、この瞬間に明音ちゃんがとても大変な状態で苦しんでおられると思うといてもたってもいられない気持ちになり、なんとか良い方向に向かわれますようにと祈らせていただきました。はるちゃんと、なるちゃんも、何度、こんともさんと同じ様な気持ちで祈ってきたかわかりません。明音ちゃんがまるで自分の子どものような気持ちになり、苦しくなりました。でも今朝のお知らせを見てとても残念でした。悲しかったです。こんともさんや御家族のお気持ちを思うと本当に悲しく思いました。でも、こんともさんがおっしゃるように、明音ちゃんはきっとご自分でちゃんと決められたことなんだと思います。たくさんの愛情をいっぱい受けられたこともちゃんをわかっておられると思います。そうは言っても悲しいです。「満天の星」を歌うこと、思いを馳せること、私も参加させていただきます。はるちゃんが亡くなって、しばらくは何を見ても聴いても 悲しくて、なんでもないときに急に涙が溢れてきて仕方ない時期がしばらく続きました。さすが二年半ほど経つと、今はそんなことはなくなりました。それでも悲しい思いに襲われることはあります。救われるのは、色んな方々に今もはるちゃんの事を思いだしていただけることです。養護学校時代の先生だったり、お友だちだったり、ヘルパーさんだったり、通所施設の職員さんだったり……色んな方々が、お手紙を下さったり、お仏壇をお参りしてくださったり、お墓をお参りしてくださったり、お花を下さったり……。とにかく、はるちゃんを偲んでくださることが本当にうれしいことなのです。はるちゃんがいつまでもみなさんのお心の中に居る、生きている、と思えます。それが親としてほんとうにうれしいです。だから。今夜、たくさんのみなさんが明音ちゃんの事を思いながら「満天の星」を歌うことは、きっとこんともさんのお心が少しでもやすらかになってくださることだと思います。そしてもちろん、明音ちゃんもやすらかに旅立たれるお手伝いができるのではないでしょうか。「満天の星」を歌うことで、明音ちゃん、こんともさん、そしてみなさんのお心がきっとやすらかになれるでしょう。すばらしいお声掛けをありがとうございます。明音ちゃん、もう苦しくないですね、心配しなくていいですよ、みなさんが明音ちゃんのことを大好きって思っていますよ。安心して休んでくださいね。

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 (NOBさん)かならず歌います。涙を抑えながらになると思います。

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 (なおちゃん)かっこちゃん。わかりました。明音ちゃん。天にかえっていったんだね。肉体はなくなってもこころやタマシイはつながってる!って思うけどそりゃさみしいです。ほんと、わたしでさえ、こうして、書いていても涙が止まらないのだから。明音ちゃんもきっと、聞いてくれますね。届きますように、うたいます。ありがとうございます。
 なおちゃん

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 (しほこちゃん)満天の星、歌いながらみんなと繋がっているような気がして、明音ちゃんがそばにいてくれているような気がして、私たちみんなひとつだと感じて、涙が溢れました。明音ちゃん、こんともさん。本当にありがとうございます。明音ちゃんにみんなの祈りが届いていますように。ありがとうございます。 しほこ

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 お通夜の夜にこんともちゃんから電話がありました。たくさんたくさんの方が参列をされたそうです。こんともちゃんは、本当にけなげに、明るい声を出して、「あかねはうれしそうやった。本当に幸せそうで、あかねは全部自分で生まれてくることも、障害を持って生まれてくることも、亡くなる日も全部自分で決めていたから」と言いました。「すごくたくさんの方が来てくださって、あかねちゃんは笑っているねって。それで、唇が白くなったから、まだお化粧は6歳で早いけど、はじめてお化粧して、みんなで可愛いねって笑っていたんよ」って。それでも、私が「こんともちゃん、今は気が張っていても、きっと声をあげて泣きたくなるようなこともあるから」とお話しすると、「かっこちゃん、本当は私、明日がこわいの、熱くないかなあ、朝がこないといいのになあ。でも、おかあちゃんがこわがっていたら、あかねがこわがるから、私がしゃんとしないといけないからね」と……私もほろぼろ泣きました。
 そしてお葬式のあと、いただいたメールです。

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 かっこちゃん。明音は無事、夕べおうちに帰ってきたよ。昨日の告別式には、子ども園のお友達がクラス全員で来て、最後に一緒に歌った『たきび』を歌ってくれたよ。そして明音が大好きだった、帰りのごあいさつをして、「ほな、さいなら」って言ってくれて、明音は声を出して笑っていたよ。「明音ちゃんはお星様になってみんなを見てるし、いつもそばにいるからね、明音ちゃんの分も生きてね。」って言うと、みんなうなづいてくれたよ。式場の方も明音のコーナーをすごく素敵に作ってくださって、明音は誰にどこでお世話になるのかも、生まれてから最後まで自分で選んで決めてきた、あっぱれな子だとつくづく思いました。
 明音を火葬場に連れて行って、本当はすごくすごくこわかったけど、かっこちゃんが電話で、「熱くないよ。大丈夫だよ。」って言ってくれたように、明音はふわふわの光に包まれていて、なんにも痛くも熱くもなかった。もうほっぺや頭をなでることはできないけど、明音を想うだけですぐそばに来てくれて、夫も私も本当に温かい気持ちでいます。
 6歳の明音にまだお経はちょっと難しいから、夫と二人で絵本を読んであげています。最近は絵本を読むと、私の顔をじーっと見てにこにこにこにこ笑ってくれて、私にとっても幸せなひとときでした。だからちょっと思い出して泣きそうになったけど、私が泣いたら明音は寝られないから、ぐっとこらえたよ。6年前の私だったら、泣き続けていたと思う。
 私たちが辛さを受け止め乗り越えられる強さをもつまで、きっと明音が6年かけて、命がけで育ててくれたんだって、今頃気づいたよ。なんて親孝行な子なんだろう……。
 メルマガの仲間や、ブログを読んでくださった方から、この3日間本当にたくさんメールをいただき、お一人お一人にお返事ができないけど、かっこちゃんから、くれぐれもよろしくお伝えください。満天の星を歌ってくださった皆さん、泣きながら祈ってくださった皆さん、おかげで私たちは本当に穏やかにこの3日を過ごせました。本当にありがとうございます。かっこちゃんが送ってくれた皆さんからのお花も、ちゃんと明音が持っていきました。
 そして、この数日、たくさんのメールを転送してくださった星野ひとつさん、本当にお世話になり、ありがとうございました。東京から飛んできて歌ってくださったあやちゃんにも、心から感謝しています。お母さんの優さんにも…
 かっこちゃん。言葉に表せないほどにかっこちゃんには感謝しかありません。ありがとう。ありがとう。そしてこれからも、よろしくね。   こんとも

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 私は心が弱いので、どうしても何日も泣いてばかりいました。こんともちゃんどうしてるかなあって思いながら、運転しても何をしても泣けました。ここ何日も眠れなくて、でも、日記を書いたあとは、体をまるくして、ベッドにいたり、また絵を描いたりもしていて、ところが、今日などは4時半くらいになって、急に眠くなって、起きたら7時40分でびっくりして飛び起きて、そのまま学校に来ました。学校が8時15分から始まるのであわてて、お弁当箱にごはんとその上に前に作った冷凍のハンバーグだけを載せて飛び出したのでした。そして、雪絵ちゃんが亡くなったときも、子どもたちが亡くなったときも、父が亡くなったときも、宮ぷーが倒れたときも、私はやっぱり食べれなくなって眠れなくなっていたけれど、眠れない日が続けば、また眠れるんだなあと思って、こんともちゃんも眠れているといいなあとそんなことを思いました。明音ちゃんは、これからはいっそう、お二人のいいえ、私たちみんなのそばにしっかりといてくださって、きっと大きなお力をくださることでしょう。本当に明音ちゃんはあっぱれな生き方をされました。

 ときどき、いったい乗り越えることができるだろうかと思うような悲しいことも起きます。けれど、私はやっぱり思うのです。亡くなっても命は決して終わりではないし、どんなこともいつかのいい日のためにあると。そして、生きている人も亡くなられた人もみんなでひとつの命を生きているんだと。そしてこれからも、メルマガのみなさんの心の中にも明音ちゃんは生き続けて、大切なことを教えてくれるに違いないと思います。そして、こんなに素敵な大切なメルマガの友達と出会えたことも、やはり、大きなかけがえのない宝物だと思っています。
 新しい年がすばらしい年でありますようにと心よりお祈りしています。  


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http://ohanashi-daisuki.com/info/story.html

手をつなげば、あたたかい。
著書『手をつなげば、あたたかい。』

・今度新しい本を出しました。こころがあたたまる本です。
『手をつなげば、あたたかい。』(サンマーク出版 山元加津子著 1,470円)



★ 山元加津子と仲間たちとのおかしな毎日を綴る
いちじくりんHP:http://itijikurin.blog65.fc2.com/


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Profile:山元 加津子(やまもと かつこ 愛称:かっこちゃん) 

宮ぷー(右)と一緒に。

1957年 金沢市生まれ。エッセイスト。愛称かっこちゃん。石川県特別支援学校教諭。障害を持った子どもたちと、教師と生徒という関係ではなく、かけがえのない一人の友達としてふれあいを続けている。分け隔てなく、ありのままに受け入れる姿勢は、子どもたちの個性や長所を素晴らしく引き出している。そんな子どもたちの素敵さを多くの人に知ってもらおうと、教師をしながら国内外での講演・著作活動など多方面に活躍中。教師、主婦、作家、母親という4役を自然体でこなし、まわりの人に優しく慈しみをもって接する姿は、多くの人の感動を読んでいる。著書に『本当のことだから』『魔女・モナの物語』(両方とも三五館)、『きいちゃん』(アリス館)、『心の痛みを受けとめること』(PHPエディターズグループ)、『満月をきれいと僕は言えるぞ』(宮田俊也・山元加津子共著 三五館)などがある。2011年7月に新刊『ありがとうの花』(三五館)、2011年11月に『手をつなげば、あたたかい。』(サンマーク出版)を発売。

宮ぷーこころの架橋プロジェクト メルマガ登録:  http://www.mag2.com/m/0001012961.html
同プロジェクトから生まれたHP:http://ohanashi-daisuki.com/index.html
山元加津子さんHP「たんぽぽの仲間たち」:http://www005.upp.so-net.ne.jp/kakko/

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