みんなでひとつ命を生きていく〜宮ぷーこころの架橋プロジェクトから〜
このページは、特別支援学校教諭で、作家でもある「かっこちゃん」こと山元加津子さんによるコラムページです。
かっこちゃんは障害を持った子どもたちと、かけがえのない一人の友達として触れ合い続けています。その様子は『1/4の奇跡』という映画にもなりました。このコラムでは、かっこちゃんの同僚で、2009年2月に突然脳幹出血で倒れ、奇跡的に命をつないだ宮田俊也さん(通称・宮ぷー)との触れ合いの様子を中心にお届けします。
今日、教材を求めにお店屋さんへ行ったら、七夕の折り紙がたくさん売られていました。
もうすぐ七夕の季節なのですね。二年前の七夕の頃でした。前の学校でわたしはみさきちゃんという女の子とおしゃべりをしていました。みさきちゃんが言いました。
「かっこちゃん、七夕ですね。何お願いします?」
みさきちゃんはなぜかとても改まったお話の仕方をします。
「私? 私は友達のこと。」みさきちゃんが、うーんと行って黙ったのです。そして「たった一つしか祈れないんですよ。友達のことに使っていいのですか?」と言いました。
「うん、いいの、だって、私もそれが一番の願いだもの」と私。
そしたらみさきちゃんが言ったのです。「じゃあ、私もかっこちゃんと同じことにします。」
「どうして? みさきちゃんの思っていることをお願いしたらいいのに。」
「だって、かっこちゃんもお友達のことをお願いする。だから、すごく重要なお願いに決まってる。だから、私もかっこちゃんと同じことがうまくいくようにお願いします。絶対にそうします。」
いいはるように、私の腕をぎゅっとつかんでみさきちゃんが言いました。胸がいっぱいになりました。たったひとつしか願うことができないとみさきちゃんは言っていたのに、自分のお願いを私と同じお願いにしてくれる。ああ、優しいなあと、すごく幸せな気持ちになりました。
みさきちゃんは今、クリーニングのお仕事をしています。すごく大きなアイロンの機械に、旅館のシーツや枕カバーなどをぴーんと張って入れていくと、アイロンがかかって機械から出てくるのです。毎日一生懸命そのお仕事をしています。
次は去年の七夕近くの日記です。
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今日は病院へ行くと、エレベータの横で、介護士さんが七夕に飾り付けをしておられました。「短冊いくつでもいいですよ。願い事書いてもってきてください。宮田さんのも。かつこさんのも。ピカピカのありますよ」と金色の短冊をくださいました。
「僕もこれにしたんですよ。ほら」とつるしてあるのをみせてくださいました。ほら、これ、ぴかぴかだからかないますよ。そこには「ロト6 二等当選しますように」って書いてあったよ。かなうといいね。
去年、宮ぷーはまだ、まばたきだけで気持ちを伝えていたのです。まばたきも、無意識な感じならできても、意識して、今というときにはできないので、「あかさたな」と私が口で言っても、自分の思うところでは目がつぶれなかったころ、宮ぷーに、「短冊に何を書く?」と聞いたら「気持ちが伝えられるようになりたい」という願いを選びました。
そして、その願いは一年たった今、かなっていました。やったー。うれしいね。
それで、今年は何にする? と聞いたのです。少し前に聞いたときに、「なおる」と言ったけど、それは、ちょっとあまりに一年では大きな願いだよって私は、言ってしまいました。今日、もう一回、「宮ぷー、書くからおねがいをレッツチャットで教えて」と言ったら、「きせつをとりたい」と言いました。宮ぷーは本当にそれをしたいんだよね。きっとできるよ。一年は長いよ。だからきっとできるよ。だって、前は「気持ちを伝えられるようになる」なんて、ものすごいかけ離れた夢のように思えたのにちゃんとかなったもの。私は「宮ぷーが毎日笑っていられますように」って書いたよ。
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一昨年の「気持ちが伝えられるようになりたい」という願い、うれしいことにかないました。
それから、去年の「きせつをとりたい」という願い。気切(きせつ)を取ることはできなかったけど、「どうして気切を取りたいの?」と聞いたときに、「食べたい」し「しゃべりたい」と宮ぷーが言いました。その願い、ちゃんとかないつつあるよ。すごーい。本当にすごいです。みさきちゃんのように、たくさんの方が願ってくださって宮ぷーの今がある。
宮ぷーもこうなりたいという思いをずっと持ち続けて今がある。だから、きっと願いがかなっていくのですね。今年はどんなお願いをするのかなあ。
私は今、新しい本を作っていただくので、文章をまとめたりイラストを描くことをがんばっています。今度の本は、メルマガ「宮ぷーこころの架橋ぷろじぇくと」を通して知ったエピソードなどをいくつか紹介させていただいているのですが、そのエピソードが素敵で、まとめたり校正しながら何度も泣いてしまいます。宮ぷーも毎日リハビリをしながら、おしゃべりの練習、食べる練習もがんばっています。
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『ありがとうの花』(三五館刊 山元加津子著 1,155円(税込))
★ 山元加津子と仲間たちとのおかしな毎日を綴る
いちじくりんHP:http://itijikurin.blog65.fc2.com/
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宮ぷー(右)と一緒に。
1957年 金沢市生まれ。エッセイスト。愛称かっこちゃん。石川県特別支援学校教諭。障害を持った子どもたちと、教師と生徒という関係ではなく、かけがえのない一人の友達としてふれあいを続けている。分け隔てなく、ありのままに受け入れる姿勢は、子どもたちの個性や長所を素晴らしく引き出している。そんな子どもたちの素敵さを多くの人に知ってもらおうと、教師をしながら国内外での講演・著作活動など多方面に活躍中。教師、主婦、作家、母親という4役を自然体でこなし、まわりの人に優しく慈しみをもって接する姿は、多くの人の感動を読んでいる。著書に『本当のことだから』、『魔女・モナの物語』(両方とも三五館)、『きいちゃん』(アリス館)、『心の痛みを受けとめること』(PHPエディターズグループ)、『満月をきれいと僕は言えるぞ』(宮田俊也・山元加津子共著 三五館)などがある。2011年7月に新刊『ありがとうの花』(三五館)を発売。
宮ぷーこころの架橋プロジェクト メルマガ登録:
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同プロジェクトから生まれたHP:http://ohanashi-daisuki.com/index.html
山元加津子さんHP「たんぽぽの仲間たち」:http://www005.upp.so-net.ne.jp/kakko/