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みんなでひとつ命を生きていく〜宮ぷーこころの架橋プロジェクトから〜

このページは、特別支援学校教諭で、作家でもある「かっこちゃん」こと山元加津子さんによるコラムページです。
かっこちゃんは障害を持った子どもたちと、かけがえのない一人の友達として触れ合い続けています。その様子は『1/4の奇跡』という映画にもなりました。このコラムでは、かっこちゃんの同僚で、2009年2月に突然脳幹出血で倒れ、奇跡的に命をつないだ宮田俊也さん(通称・宮ぷー)との触れ合いの様子を中心にお届けします。

2012.10.20(第23回)
お二人からのメールを紹介したいです。

 私は、植物状態からの回復の情報の白雪姫プロジェクトというホームページを仲間とつくっています。そこに関していただいたお二人の方からのメールをご紹介したいです。

 一人目は、お父さんが倒れて、脳波はほぼフラットで脳死に近いという状態のときに、白雪姫プロジェクト(植物状態と言われる方が回復されるための情報のホームページ→ http://shirayukihime-project.net/index.html)をさがしてくださって、とにかく起こすことなどを一生懸命してくださったお嬢さんからのメールです。お嬢さんは最初に、白雪姫プロジェクトを見てくださって、すぐにメールをくださって、とにかく話しかけること、体を起こすこと、歯をみがくことなどをまずお願いしました。二度目のメールです。

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 先日は、メールをありがとうございました。あれから1ヶ月になります。父は私の問いかけにYESだったら指を動かすことで返事を返してくれるようになりました。とっても、嬉しいです。最初は誰も信じてくれなかったけど、今は、妹が信じて話しかけてくれるようになりました。ただ、残念なことには、私と妹以外の人には信じてもらえないのです。
 看護師さんに見てもらったこともあるし、父とのやりとりを文書にして先生にお渡ししたりもしましたが、家族の勝手な思いこみと思われているようです。私を傷つけないようにと、看護師さん達は「そうねえ」と聞いてはくださいますが、信じてはくださらなかったようで、レッツチャットをレンタルできるところがあるので試したいという話をしたら、目が点になっていました。やっぱり、脳波がフラットだと、そういうことになるんでしょうか……。父は右手の親指か人差し指でYESを伝えてくれます。痰をとってほしいとか、動かしてほしいとか、寒いとかが聞けるようになって本当に良かったです。
 また、今、味覚の刺激でジュースを綿棒で舌に塗ってあげているので、色んなジュースの名前をあげて、持ってきてほしいもので指を動かしてもらってます。お父さんはりんごが好きみたいです。ためしに「すっぱいよー」と言いながらレモンをぬったら、3秒後にみけんに皺ができ、すっぱい口になりました。次の日「みかん持ってきたよ」と言ったら、それだけで酸っぱい口になり、覚えてるんだと思いました。
 父がいろいろ分かっていることを、看護師さんやお医者さんにも分かってもらいたいなあと思うんですが、何か方法はあるでしょうか? 宮田先生(※宮ぷーさん)のときは、すぐに信じてもらえましたか? 次に脳波検査するまでは無理なのかもしれません。私は、前回の検査で脳波がフラットだったのは、父が寝ていたのでは? と思ったりしています。でも、先生は父のような患者には昼も夜もないと言われていて、次に検査してまた寝ているときだったら、また脳波フラットっていうことになるんだろうなあと思ったりします。
 困ったときばかりメールしてすみません。何か良い方法がありましたら教えて下さい。

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 私はうれしくてうれしくて、本当によかったよかったとお返事をかきました。

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 私も嬉しくて涙が出ます。まず大前提で、お父さんに気持ちがあって、ただ表現できないだけなんだ。でも、必ず表現できるようになるんだという視点で、お父さんとおられたときに、お父さんの細かな変化がわかるようになり、そして、お父さんにも勇気が出てこられて、いっそうどんどん回復がすすんでいかれるに違いないと思います。本当によかったです。味もとても大切。目から耳から皮膚から、そして味覚から、刺激を送ることが大切ですもの。
 今、看護師さんに信じていただけなくても、お父さんの変化がもっと大きくなれば、必ず信じていただけます。だから大丈夫。きっとお顔もどんどん変わってこられるはずです。
 合図が送れるようになっても、すぐにレッツチャットがためせるかというと、そうではありません。まず、今と思ったときに、合図が送れないといけません。
 それで、1,2,3と数を数えるので、3のときに合図を送ってほしいとお父さんにお願いしてみてほしいです。1,2,3。3のときだよ、いまだよと言ってください。すぐに合図が送れないでも大丈夫です。練習なのです。宮ぷーは長く、何ヵ月もそれをすることができなかったけれど、できるようになるためには必要な時間だったのだと思います。応援しています。
 上のようなことを書いてお返事を送ったら、またお返事をいただきました。

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 かっこさんがアドバイスしてくださったおかげです。ありがとうございます。今日から「3で合図」の練習をやってみます。きっと、父も言葉で伝えたいと思っているはずですから。父の所へは昼間は妹が2時間ほど、夜は私が2時間ほど行っています。父にはモニターがついているので大丈夫と看護婦さんは言われますが、数字上で大丈夫でも苦しいときもあるだろうにと思うと辛いです。苦しいときに苦しいと伝えられるようになったらどんなにいいだろうと思います。メルマガの方も、是非お願いします。かっこさんにメールするまでの2ヵ月間、本当に辛かったです。お父さんに少しでも良いことをと思って、足つぼマッサージや口腔ケアを頑張っていましたが、お医者さんはずっと「意識が戻るのは難しい。この状態から良くなった人はいない」と言われていて、全く希望がもてない状況でした。「脳波はほぼフラットで脳死に近い」と言われた日は、泣けて泣けて、インターネットを探し回って白雪姫プロジェクトのページをみつけたんです。私のような人は、きっと、たくさんいます。一つでも希望があれば、頑張れます。どうか、父のことを伝えてください。かっこさん、本当にありがとうございます。うまくいくようになったら、一番にお知らせしますね。

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 白雪姫プロジェクトというホームページをみなさんのご協力でつくってあってよかったと思ったメールでした。本当にうれしいです。けれど、私はやはり、思います。偶然ホームページを観たから、偶然、メルマガをみつけたから、偶然私の本を読んだからというのでは嫌なのです。偶然ではなくて、それが常識になっていかなくては、知らないというだけで、回復をあきらめてしまう人は家族がいなくならない。偶然は嫌なのです。もうお一人の方は、お母様とあかさたなスキャンをされて思いを通わされた方からのメールです。

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 かっこちゃん、私のようなものがいるとぜひ、お伝えしたくてメールをしました。
 こんにちは、進藤と言います。
 かっこちゃんとは講演会で初めてお会いして、それからメルマガをとらせていただいています。いつも拝見しているばかりですが、今回はお礼を書きたくてメールを送らせていただきました。私の母が8月17日に癌で亡くなりました。
 癌がわかってからたった3ヵ月で、あまりの急激な変化でしたが、おかげさまで、ひと月あまりは痛みも軽く、動くこともできました。母はとても我慢強い人でしたので、そのために、癌の発見も遅れてしまい、わかったときには取り返しのつかない状態だったわけですが、3ヵ月は、家族力をあわせて幸せな最期だったと思います。
 私がお礼を言いたいのは、最期には呼吸器もつけられて、話すことができなくなっていましたが、かっこちゃんが講演会で教えてくれた「あいうえお」を言う方法で、母は瞬きで合図をすることができたのです。母は痛みもあって、呼吸なども苦しいはずでしたが、あいうえおで教えてくれた言葉は感謝の言葉ばかりだったし、一人一人の名前を呼び、元気でいてほしい。頑張りなさいと、家族を思いやる言葉ばかりでした。母はかかあ天下という言葉がありますが、それを地で行った人で、私たちきょうだいにも恐れられる(笑)ほどのワンマンな人でしたが、根は優しく、困った人がいればほっとけない情のある人でした。もし、最期の十日間、あいうえおで言葉が伝えられなかったならば、母の生きる気力というものはもっと早く失われていただろうと思いますし、私たちも、母の本当の思いを知ることができなかったかもしれません。かっこちゃんの講演会であいうえおで言葉を知るという方法を知れたのも、偶然ではないように思っています。こんなに簡単な方法でも、もし、あのとき知ることができなければと思うと、本当に不思議で怖い気持ちもしています。かっこちゃん、白雪姫プロジェクト、私は私なりの方法で広めて行きますね。どうぞ、がんばってくださいね。

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 「あいうえお」で思いをくみ取る方法を私たちは「あかさたなスキャン」とよんでいます。もし、意識障害と思われる方がおられたときに、まず体のどこか自分で動かせる場所がないか探すことをします。なぜなら、体の一部が動けば、そこで、相手とお話しすることができるからです。たとえば、瞬きができれば、一回でイエス、二回瞬きすればノーとか、目の玉が右に動けはイエス、二回動けばノーと決めて、お話しをすればいいのです。
 でも、私たちの思いは、イエス、ノーだけでは全部語ることができません。たとえば、自分の名前、好きなもの。それをイエスとノーだけでお話しをするのは簡単ではありません。でも方法があるのです。それが「あかさたなスキャン」です。
 単語の文字ひとつひとつを、あかさたなと、読みあげて合図を送ってもらうことで、最初の文字がどの行にあるか、そして、その行のどの文字なのかを確定していく方法です。
 動画を見てください。方法がわかるでしょうか?
http://youtu.be/e7zUrc_Lwqw

 宮ぷーはレッツチャットを使う前にこの方法でお話しをしていました。
 知っていることで、伝えられる思いがあり、回復できる方法があります。ぜひぜひ、知っていただきたいと思って頑張っています。
 私は宮ぷーやみなさんとのメールなどを通して、生きるってどういうことなのか、どんなふうに人は生きていくべきなのだろうということを考えるようになりました。そして、植物状態を経験されたみなさんやご家族のみなさんは、そういったことを私たちに教えてくださっているんだとも思います。



★12月8日に総社市で、白雪姫プロジェクトで大きな大会を行ないます。
皆さまのお越しをお待ちしています。

http://shirayukihime-project.net/20121208_okayama1000.html

【お知らせ】
・「宮ぷーこころの架橋ぷろじぇくと」(宮ぷー日記のメルマガです)
(こちらでメルマガ登録=プロジェクト参加できます)

http://www.mag2.com/m/0001012961.html
携帯からは空メールを送れば登録できます。a0001012961@mobile.mag2.com

・メルマガの生い立ちをこちらのページに書いていますので、ご参照ください。
http://ohanashi-daisuki.com/info/story.html

手をつなげば、あたたかい。
著書『手をつなげば、あたたかい。』

・今度新しい本を出しました。こころがあたたまる本です。
『手をつなげば、あたたかい。』(サンマーク出版 山元加津子著 1,470円)



★ 山元加津子と仲間たちとのおかしな毎日を綴る
いちじくりんHP:http://itijikurin.blog65.fc2.com/


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Profile:山元 加津子(やまもと かつこ 愛称:かっこちゃん) 

宮ぷー(右)と一緒に。

1957年 金沢市生まれ。エッセイスト。愛称かっこちゃん。石川県特別支援学校教諭。障害を持った子どもたちと、教師と生徒という関係ではなく、かけがえのない一人の友達としてふれあいを続けている。分け隔てなく、ありのままに受け入れる姿勢は、子どもたちの個性や長所を素晴らしく引き出している。そんな子どもたちの素敵さを多くの人に知ってもらおうと、教師をしながら国内外での講演・著作活動など多方面に活躍中。教師、主婦、作家、母親という4役を自然体でこなし、まわりの人に優しく慈しみをもって接する姿は、多くの人の感動を読んでいる。著書に『本当のことだから』『魔女・モナの物語』(両方とも三五館)、『きいちゃん』(アリス館)、『心の痛みを受けとめること』(PHPエディターズグループ)、『満月をきれいと僕は言えるぞ』(宮田俊也・山元加津子共著 三五館)などがある。2011年7月に新刊『ありがとうの花』(三五館)、2011年11月に『手をつなげば、あたたかい。』(サンマーク出版)を発売。

宮ぷーこころの架橋プロジェクト メルマガ登録:  http://www.mag2.com/m/0001012961.html
同プロジェクトから生まれたHP:http://ohanashi-daisuki.com/index.html
山元加津子さんHP「たんぽぽの仲間たち」:http://www005.upp.so-net.ne.jp/kakko/

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