リレーでつなぐ"ハート"の話

このページは、リレー形式でそれぞれの人に“愛”をテーマに、恋愛や家族愛、人間愛、パートナーシップ、コミュニケーション、大切な人への想い…などを自由に語っていただくページです。 それぞれの方に半月に１回、計３回ずつご執筆いただき、その方から次にご執筆いただける方を紹介していただく形をとっています。順々に人と人とのつながりの輪が広がっていきます。

　このたび、【リレーでつなぐ“ハート”の話】のトップバッターとして執筆させていただけますことを、とても光栄に思います。船井幸雄先生、そしてスタッフのみなさまに心から感謝をしています。

　私が、船井幸雄先生に初めてお目にかかることができたのは、２０１０年５月のことでした。本の読者の方が、ご縁をつないでくださったのです。本当にありがたいことです。
　私にとって船井幸雄先生は、尊敬してやまない、まさに雲の上の存在。
　お会いできるだなんて夢にも想像していませんでしたから、お会いした時にはどんな話をさせていただこうか、お洋服は何を着ていこうかなど、数日前からあれこれ考えを巡らせていたものでした。
　そんな風にして迎えた当日、目の前にたたずまれた船井先生は、想像していたよりも、はるかに大きな存在感を放っておられました。まるで後光がさしているかのようです。その日は、大きな手術をされた翌日とのことでしたから、お体は本調子ではなさそうでしたが、そんな状態でもあれほどのオーラを発するのですから、やはり船井先生ほどの偉業を成し遂げる方は、常人とは違うのだなぁ、と痛感したのが第一印象です。
　ところが、いざお話をさせていただくと、その気さくなお人柄に、さらに驚いてしまいました。
　私は、誕生日による統計心理学「バースデイサイエンス」を提唱しています。「バースデイサイエンス」は、いわゆる「占い」とは違うのですが、誕生日を基にしているだけに、混同されることが少なくありません。そのため、初対面の方からは「どれだけ当たるのだろう？」という、まるで値踏みをするかのような対応を取られることが少なくないのですが、船井先生にはそんな様子は一切ありませんでした。実に気さくに、フレンドリーに応対してくださるのです。特に、バースデイサイエンスのコンテンツのひとつである「感情周期説」については「うん、うん」とうなずきながら、熱心に耳を傾けてくださいました。
　これには、本当に驚いてしまいました。
　きっと、船井先生からみれば私など、ほんの“ひよっこ”だと思うのです。にもかかわらず、気さくに接してくださるのですから、なんて寛容な方なのでしょう。

　精神論でも成功哲学でも、「器の大きい人になりなさい」とよく言われています。いったい「器の大きさ」とはどういうものなのでしょうか。
　それはきっと、船井先生のような「在り方」だと思うのです。偏見を持たずに人を受け入れる心、相手を尊重する心、そういった心の広さや深さが人間の「器」というもの。「器」が大きいと、その分いろんな意味で満たされますから、心が潤います。滅多なことでは乾いたり、かさついたりしませんから、たいていのことは受け入れて咀嚼（そしゃく）することができますし、少々のことで怒ったりもしない。
　そこから自然と、人間としての余裕が生まれるのだと思います。

　では、その「器」を大きくするにはどうすれば良いのかというと、偏見を持たずに相手を尊重すれば良い、ということになるわけですが、それが簡単にはいきません。
　なぜなら、「器」が小さいうちは、人の心は、どうしても渇きやすいからです。心が渇くと、八つ当たり的に他人に厳しい評価をしがちになります。特に自分とは違う意見の持ち主に対しては、「自分の方が正しい」とか、「相手がおかしい」、「ヘンなヤツだ」、「それでは何をやってもうまく行かない」などとネガティブに思うものなのです。中には、人の短所ばかり探して文句しか言わない人もいるでしょう。心に余裕がないと、そんな風に他人を批判することしか出来なくなってしまうのです。
　さらには、人の不幸を心ひそかに喜んだり、困っている人をみても知らん振りをしたり…。混雑した電車で、目の前に妊婦さんや御老人がいても、平気で席を譲らない人がいかに多いことか。「愛が足りないのだなぁ」と悲しくなります。そんな人を目にするたびに、彼らの心が少しでも潤うことを祈らずにはいられません。

　私は、世の中の全ての人が、お互いに尊重しあい、助けあいながら生きていける世の中の実現を夢見て、バースデイサイエンスを伝えています。
　バースデイサイエンスは、誕生日ごとに人をいくつかのタイプに分類し、それぞれの活かし方を示しています。
　バースデイサイエンスを上級コースまで学んだ多くの方は、「人にダメだしすることが無くなった」とおっしゃいます。相手の特性をムリなく自然に尊重できるので、批判心が生まれなくなったというのです。それはとりもなおさず、「器」が広がったということに他なりません。バースデイサイエンスを通して、人々が器を広げ、心に余裕を持って過ごすことができたら、日本はもっと元気になる、私はそう信じて活動をしているのです。
　そうした中で、究極的に器の大きい人の姿というものを船井先生に見せていただけたことは、今後の活動に大きな指針となりました。心から感謝をしています。

　実際に船井先生にお会いして以来、私は「器を広げよう」とさらに強く思うようになりました。私が講師を務めるセミナーでは、「愛をもって、人と接しましょう」、「愛をもって、人の心（ハート）を尊重しましょう」と繰り返し伝えるのが、すっかり定着しています。
　そんな折に「リレーでつなぐ“ハート”の話」トップバッターとしての執筆のお話をいただきましたことに、身震いするほど、並々ならぬ大きな縁を感じている今日この頃です。

Profile:佐奈　由紀子（さな　ゆきこ）

佐奈　由紀子さん

株式会社バースデイサイエンス研究所代表取締役。大学卒業後、大手上場企業、外資系ＩＴ企業で秘書を経験し、華々しく活躍する人ほどコミュニケーションが巧みで、人心掌握術に長けていることに驚愕する。以来「人」の研究に興味をもち、性格学、態度類型学に深く傾倒。２０００年より、バースデイサイエンスを活用した講座を開催。「何度受けても毎回新たな発見がある」と評判で、７割以上がリピーターとなっている。毎月通う熱心な受講者も多く、個人の人間関係相談には、１０００人以上継続的に支援。企業研修、人材コンサルタントとしても活躍中。著書に『生年月日の暗号』（ＰＨＰ）『生年月日の真実』（青春出版社）『誕生日だけで相手の心理が９割読める』（ＰＨＰ）『誕生日を知れば、恋は９割うまくいく』（幻冬舎）などがある。

（株）バースデイサイエンス研究所ＨＰ：http://www.birthdayscience.com/

著書『誕生日だけで相手の心理が９割読める』