リレーでつなぐ"ハート"の話

このページは、リレー形式でそれぞれの人に“愛”をテーマに、恋愛や家族愛、人間愛、パートナーシップ、コミュニケーション、大切な人への想い…などを自由に語っていただくページです。それぞれの方に半月に１回、計３回ずつご執筆いただき、その方から次にご執筆いただける方を紹介していただく形をとっています。順々に人と人とのつながりの輪が広がっていきます。

2015.09.01（第99回）

♪今回の執筆者♪
Naomi（なおみ）さん（３回目・最終回）
（Naomiさんの詳しいプロフィールはページ下にあります。）

愛されている子は、とても強い

　３回連続で書かせて頂くこのコラムも、今回で最後です。今回は、私が出会った子供たちの愛を書かせて頂こうと想います。

【愛されている子は、とても強い】
子供「お母さんなんて、大っ嫌い！（拗ね顔や怒り顔）」
母親「あら！そうなの？　お母さんは、◯◯ちゃんのこと、大好きよ！（笑顔）」

　子供がいたずらや誰かに迷惑を掛けるようなことをしたとき、親は子供に注意をしたり叱ったりしますが、そのとき、子供は自分の想うようにならないことに腹を立てたり、親に自分の心情を分かってもらえないことにいら立ったりして、いわゆる逆ギレを起こすことがあります。でも、それは子供の本心ではありません。まだ自分で上手くコントロールできない感情を持て余したり、強がっていたり、寂しい感情を別の形でアピールしているだけなのです。そこで親も同じように逆ギレしていたら、子供との信頼関係は築けません。子供は、そんな自分でもまるまるすべて受け止めてほしいだけなのです。親や大人は、「子供たち（大人たち）の、良い所もへなちょこな所もすべてまるごと受け止められますか？」と、ただ試されているだけなのです。

　私は学生時代、幼稚園と小学校の教職課程をとっていたのですが、幼稚園に教育実習に行ったとき、とても感動し私自身も学ばせてもらうある事件が起こりました。
　動物園に遠足に行ったときのことです。とても体の大きなＡ君ととても体の小さなＢ君は、みんなが歩く列の最後尾からもまだ遅れて、一緒に手を繋いで歩いていました。一緒に歩いているというよりも、体の小さなＢ君が自分の２倍以上もあるＡ君の手を引っ張って歩いている感じです。
　「ほら！Ａ君、早く歩いて！」Ｂ君はもみじのような手でＡ君のグローブのような手を引っ張っています。「遅くなっちゃうよ！」Ｂ君は必死です。でも、Ａ君はにこにこ周りの景色を楽しみながらゆ～っくり歩いています。Ｂ君は、「ほら、Ａ君！」と両手でＢ君の手を引っぱりました。そのとき、事件は起きました。Ａ君はＢ君の手を振りほどこうとしてＢ君の体を強く叩いたのです。

　「痛い！」飛ばされそうになったＢ君は、叩かれた部分を手で抑え、顔をしかめて一瞬うずくまりました。でも、泣くこともなくすぐに「Ａ君、痛いじゃない！ちゃんと謝ってよ！」と顔を真っ赤にしてＡ君に詰め寄ったのです。「Ａ君、何するの！？痛いじゃない！謝って！ちゃんと謝ってよ！」あまりのＢ君の真剣さに、Ａ君もたじろいで真顔で「ごめん」と小さな声で一言謝りました。ずっとそばで様子を見守っていた私は、Ａ君が謝ったことにももちろん、声を出したことにも驚きました。なぜなら、Ａ君は知的障害を抱えていて、ほとんど声を聴くことがなかったからです。そして、もっと驚いたのはその後でした。素直に謝ったＡ君にＢ君は「いいよ！大丈夫。これからは叩かないでね！ほら、早く一緒に行こ！」と笑顔でＡ君と手を繋いでまた歩こうとしたのです。ちゃんと真剣に謝ってくれたＡ君に、Ｂ君はさっと気持ちを切り替えて何事もなかったかのように笑顔で接し、Ａ君もその後一切脇目を振ることもなく、素直にＢ君の手に引かれて笑顔で歩いて行ったのです。　
　Ｂ君は、ちゃんとＡ君のことが分かっていました。Ｂ君がみんなと一緒に行動することが苦手なことも、自分の感情が優先されてそのときそのとき気になっていることにすぐに反応してしまうことも。みんなの列に追いついた二人は、また仲良く一緒に座っていました。Ａ君は言葉では何も言わないけれど、自分のまるごとをそのままＢ君に受け止めてもらえたと想ったのでしょう、とても安心していたし、今までに見たことのある笑顔の中でも最高にキラキラした笑顔でＢ君の隣に座っていました。
　もちろん、Ｂ君みたいに対応できる子供ばかりではありません。怒って泣いて、もう一緒に遊びたくないという子もいます。でも、一つ言えるのは、Ｂ君のような子は、お家で自分をまるごと受け止めてもらっているということです。それは、ただただ甘やかされているというのではなく、きちんと叱ってきちんと受け止めてくれる大人がいるので、少々のことが起こっても冷静な判断ができて慌てることがないし、心に余裕があるので何でも独り占めしようとすることがないのです。教師にとってもとても頼りになるＢ君のような子たちが、私が実習最終日に挨拶をしたとき目を潤ませて真剣に聴いてくれたことは、私の心にもずっと残っています。

　「愛されている子は、とても強い」
　何かができるから可愛い、何かに秀でているから可愛い、自分の言うことを聴くから可愛い、そんな条件付きの愛は本当の愛ではありません。短所も長所も、まるごとそのまま愛されている子は、とても強いのです。

　あなたは、すべてをまるごと愛していますか？

Profile:Naomi（なおみ）

Naomiさん

画道師範
兵庫県出身。ヒューマン＆アートラボ代表。
色・アート・香り・言葉などを活用し、目には見えない潜在意識を分かりやすく具体的に顕在化（視覚化）する専門家。現状の潜在意識の人間関係を具体的に視覚化できる「ご縁ＭＡＰ」考案者。
学生時代のスーパーのレジのアルバイト経験から、「買い物カゴの中から、人の心模様（心理）も空模様（天気）も世の中の動き（世界情勢も）見える！」と、カゴの中から社会の流れや人の心理などを読み取ることに目覚め、就職先に大手小売業を選び分析力に磨きをかける。その後、トップアスリートのメンタルトレーニングや代替医療の現場で使用される東洋医学の発想に基づいた瞑想用の香りを販売する直営店にオープニングスタッフとして携わり、オーラ・チャクラ測定器・脳波測定器などを活用し香りの効果を視覚化しながら、経営者・起業家・ビジネスマン・スポーツ選手・医者・学生・心の病を抱える方などのべ１０００人以上のカウンセリングを行う。現在は、色霊アート（いろだまあーと）・言霊・香りなど五感刺激によるヒーリングと潜在意識活用方法、潜在意識の人間関係を具体的に視覚化する「ご縁ＭＡＰ」など自己開発メソッドを提唱しながら幅広い活動を展開している。

＜講師実績＞
明石医療センター付属看護専門学校（兵庫）、医療法人社団順孝会・あだち眼科（埼玉）、毎日放送アナウンサー部（大阪）、関西大学商学部（大阪）、松山大学商学部（愛媛）、一般社団法人・日本人材開発研究所（大阪）など

画道師範Naomiブログ： http://ameblo.jp/naocchi2004/