リレーでつなぐ"ハート"の話

このページは、リレー形式でそれぞれの人に“愛”をテーマに、恋愛や家族愛、人間愛、パートナーシップ、コミュニケーション、大切な人への想い…などを自由に語っていただくページです。 それぞれの方に半月に１回、計３回ずつご執筆いただき、その方から次にご執筆いただける方を紹介していただく形をとっています。順々に人と人とのつながりの輪が広がっていきます。

　私の身体は、月に１回高熱を出します。

　原因は不明。
　前日まで風邪らしい症状もなく、予兆ゼロ。
　突然３８度以上の熱が出て、決まって１日でさがってしまう。

　この不思議な現象は、私が会社を継いで1年が過ぎた頃から突然始まりました。
　初めは、「インフルエンザ！？」とか、「風邪！？」とか色々な物のせいにしていましたが、本当に１日で何もなかったかのように元に戻るので、特に気にせず過ごしていました。

　そんなある日、とても感覚が鋭く、出会った人の色々なことをズバリ言い当ててしまうという女性に出会いました。
　その人はとても親しみやすく、チャーミングな女性でした。
　お互いに話しを進めていくうちに、私自身の話しになりました。
　その時、今までニコニコしながら話していたその女性が、急に真剣な顔をして私にこう言ったのです。

「由季ちゃんは何で自分を愛さないの？」

　私、絶句・・・
　え？　何？　自分を愛する？？？
　混乱している私に、彼女は更に・・・

「自分が女性だってこと、分かってないよね？」
「自分が片岡由季だってこと、分かってないよね？」

　私、更に「？？？？？」・・・
　そしてこう思いました。

　いや、そんな事ない！
　私、結構自分のこと好きなはず。
　色々あるけど、それなりに頑張ってきたし、女性として恥ずかしくないように言葉づかいや立ち居振る舞いも気をつけてきたもん。自分の名前だってちゃんと分かってるよ。だって３０年の付き合いだし・・・

　正直、動揺を隠しきれませんでした。
　でも、その言葉、最近人からよく言われていたのです。
「なぜ自分をもっと褒めてあげないの？　大切にしないの？愛してあげないの？」

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　私は高校生の時、色々な偶然が重なり、生徒会へ入ることになりました。
　ゆくゆくは生徒会長という貴重な経験をさせていただくことになるのですが、その頃の自分が考えていたことは「模範生でないといけない。だって生徒会長だから」でした。

　そして社会へ出て、研修の講師になりました。
　講師として前へ出るからには、その道のプロフェッショナルでなければいけません。
　当然ながら、正しい日本語を使い、立ち居振る舞いには細心の注意を。
　３６０度常に見られているという意識で生活をし、人並み以上の配慮ができて当たり前。
　「わからない」「できない」は禁句。
　こんなことを自分に言い聞かせていました。

　そして２年前、父が他界し、父の後を継いで代表取締役となりました。
　代表取締役として、とにかくしっかりしないと。
　聞かれて分からないことがあるのは恥ずかしい。家族のために売上も上げなくちゃ。
　いつも楽しそうにしていないといけない。問題なんて何もないように見せないと。
　スケジュールもとにかく詰め込んで、私、とにかく頑張らないと！！！！！
　こんな１年間でした。

　そして、心身ともに自分を奮い立たせ続けたある日から、身体的な疲れや、気持ちの動揺を精神力でカバーしようとすると高熱が出て、起きていられなくなりました。
　「強制ストップ」をかけられる状態です。

　生徒会の時も、研修の講師をしていた時も、自分でその道を選び、より成長するために自ら進んで自分に課したことです。
　そのお陰で、色々なものを得ることができたし、すごく楽しかったし、それで良かったのだと思っています。

　でも、私は今、変化？　進化？の時なのだと思います。
　今まで私が見てきたのは自分の周り。
　周りの人がどう思うか、どう感じるかということばかりに集中し、自分のことをあまりよく見ていなかったと思います。

　父が生前、こんなことを言っていました。

「自分の身体は、自分の身体であって、自分の身体でない。神様が貸してくださっている地球服なんだよ。そして、この地球服は６０兆個の細胞さんが集まってできている。借り物だから、大切にしないとね。そして、６０兆個の細胞さんに感謝しないとね。私たちはこの地球服がないと、この地球では生きていけないのだから。」

　片岡由季という姿、名前でこの世に生まれてきたことに感謝し、大切にする気持ちが、私には少し足りなかったかなと思います。
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　生きていれば、多少の厳しさは必要です。周りの人のことを考えるのも大切。
　でも、それと同じくらい自分のことを見て、考え、愛していくことも大切なのだと気づきました。

　完璧でなくても、女性らしい穏やかさや可愛げがあっていいし、片岡由季という妹気質で甘えん坊な部分を人に見せたっていい。

　そう思えた頃、あの女性と再会しました。
　私はその女性に飛びつき、「この前はありがとう」と言うと・・・

　「自分も愛せるようになったのね。あなたは女性で、片岡由季ということも分かったみたい。それでいい。それでいいよ。」と優しく微笑んでくれました。

　あなたは自分を愛していますか？
　あなたの身体、人の目を気にしてしまうところ、頑張り過ぎてしまうところや、厳しすぎるところ、不器用なところ、言葉が足りないところ、すぐに怠けてしまうところも・・・

　すべて愛すべきあなたです。
　普段なかなか自分を愛せなかったとしても、この文章を読んでくださっている今だけでも、そして時々思い出したら、自分の声に耳を傾け、自分を愛してあげてくださいね。私もそうします。

　この文章を読んでくださったあなたと、この文章を届けられた私に、心から感謝します。

Profile:片岡　由季（かたおか　ゆき）

片岡由季さん

武蔵野短期大学にて国際教養学科および秘書コースに在籍。
卒業とともに秘書士資格を取得。
その後、玉川大学英米文学科に編入。
前職はＮＰＯ法人日本ケアフィットサービス協会にて「おもてなしの心と正しい介助技術」を身に付けた「サービス介助士」の育成にインストラクターとして携わり、全国の企業研修を担当。
２０１０年４月より父である片岡慎介の後を継ぎ、
有限会社ビュージックの代表取締役となる。
現在は、断食道場やサロンなどで「月のお話会」を行い、「なりたい自分」「輝く自分」になるための月のテンポ活用法をお伝えしている。

※（有）ビュージックのＣＤ「絶対テンポ１１６」は、船井幸雄も応援しています。
→ http://www.funaiyukio.com/funai/arakaruto_1010.asp