リレーでつなぐ"ハート"の話

このページは、リレー形式でそれぞれの人に“愛”をテーマに、恋愛や家族愛、人間愛、パートナーシップ、コミュニケーション、大切な人への想い…などを自由に語っていただくページです。 それぞれの方に半月に１回、計３回ずつご執筆いただき、その方から次にご執筆いただける方を紹介していただく形をとっています。順々に人と人とのつながりの輪が広がっていきます。

　１、２回目と、かなり悩みながらパソコンに向かい、私自身が捉える「愛」について、漠然と綴りましたが、最終回にあたり、もう少し踏み込んで「愛」を考えてみたいと思います。
　「愛」という言葉は、様々な使い方があり、「愛」という漢字がつく二字熟語をあげてみると、たくさんの熟語が思いつきます。
　「愛情」「愛憎 」「愛欲」「 愛着」「溺愛」「渇愛」「親愛」「敬愛」「慈愛」「愛嬌」「愛想」「愛妻」「愛人」・・熟語を並べてみて、「愛」という言葉は、大変、裏腹な言葉だと気が付きました。
　例えば、愛情があるがゆえ、愛着がわき、その反面、その心が行き過ぎると、渇愛になり、愛憎に変わる、また、「愛妻家」と呼ばれているにも関わらず、「愛人」がいるなど。
　自己中心的な言葉で「愛」を捉えれば、その裏には、憎しみや、執着や、苦悩があります。

　利他的に「愛」を大きく捉えた時は、「慈愛」という言葉が、一番に思いつきますが、自己中心的な心と大きくかけ離れた崇高な言葉であり、なかなか日常的に表現できない言葉です。現実、「慈愛に溢れ、仏様のような人」と表現される人は、なかなか　存在しませんね。
　「純粋に見返りを求めない愛」を一切の生きとし生けるものに注ぐ心をもつことは、私たち人間にとって、とても難しい事なのでしょうね。

　しかし、難しいながらも、その心をもつ努力は常に必要で、その努力は誰にでもできる事だと考えます。努力することで、苦悩が和らぎ、心が楽になりますから・・
　努力するイメージとして、「初めから、仏様のような慈愛の心は持てないが、近づくようになろう」そう思えばよいと思います。私自身も実践している心です。

　人間だから、仏さまのような心を常に持つことは難しいですが、「少しでも近づきたい」「多少でも慈愛の心を持ちたい」と願うことが、大切。愛あふれる豊かな自分をイメージした時、あまりにもハードルが高すぎると「私にはできないこと」とあきらめてしまうので、まずは、慈愛の心を持って、だれにでも接する事ができる自分に近づく・・そう思う事から始めてみましょう。始めることにより、ずいぶん、心が楽になるのだと思います。

　仏教の教えでは・・、「愛」は、苦しみの源泉であると考えられています。「愛」から苦悩が生まれると・・
　しかし、苦悩を知った人でしか、他人の苦悩は理解できません。愛で苦しみ、傷ついた経験は、だれでもあり、そして、その苦しみを乗り越えてこそ、今があります。
　その苦悩を経験し乗り越えた人だけが、同じ苦しみを持つ人と共感でき、救いの手を差し伸べることが出来るのではないでしょうか？
　「愛」で苦しんでいる人がまわりにいて、少しでも苦しみを軽減できるようなアドバイスを与え、苦しみを乗り越えるサポートをすることも、小さい事ではありますが、慈愛だと思います。

　「誰かを愛する」事は、とても幸せで、とても充実し楽しく、人生がばら色になりますね。
　しかし、何かのきっかけで、苦しみの心となる場合もある・・・まるで、幸せと不幸せが背中合わせになっているようです。そう考えると、私たちの身近にある「愛」は、はかないものでもあるような気がしてなりません。

　最後に・・
私は「愛している」と思える人がいます。その反面、もしかして「愛していないのではないか？」という裏腹もあり、これが真実の「愛」であるか？？　いつも、自問自答しています。
　３回、コラムを担当させていただき、さも「愛」を理解したような内容で掲載させていただきましたが、私自身、愛する人に「愛する心」を十分に伝えられていないと感じていて、愛する人からも、「私は愛されている」と感じる喜びを与えられていないような気がしています。いつも、不完全燃焼な心が、空しい気持ちを生み、心が渇いていくような感覚があります。気持は持ちようなのですよね、愛されていると素直に思えば幸せなんですが、そう感じていない心が、私自身にあるのです。さみしい心ですね・・

　ですから、「愛」について、深く考え、文章としてまとめた事は、大変に貴重な経験であり、心が楽になったような気がしています。
　恥ずかしながら、自己中心的な愛の話なので、まだまだ、「慈愛の心を持つ」など、足元にも及びません。現実、私ですらこんな状態ですから、どれほど、愛に悩んでいる人が多い事か・・！！幸い私は、プラス思考で、仕事という生きがいを持っていますので、「愛する人」への思いが叶わなくても、深い悲しみの底に落ち込んで、何もできなくなる・・そして、苦しみのスパイラルに完全に落ち込んでしまう・・等、そんな大事にはなりにくいと思いますが、そうであっても、人を愛することの苦しさは実感しています。実感しているからこそ、「愛」についてコラムを綴れたのだと思います。

　心が育つことは年輪のよう・・
　人生を前向きに生き抜く事で、年輪の「和」が一つずつ増えていき、その和は、苦しみや楽しみ、幸せや不幸・・そういった心の経験が象（かたど）っていくもの。その経験が、心を育て、慈愛の心を育てる・・人を愛して、私自身が気づいたことです。
　「慈愛の心」を持てるような自分に少しでも近づきたい・・これからも、変わらず、そんな思いで年輪の和を増やしていきたいと思います。


（※編集部からのお知らせ）　この「リレーでつなぐ“ハート”の話」ページのリレーは、今年は堀内康代さんをアンカー（ラスト走者）とさせていただきます。
来年（２０１２年）からは、新しいリレーが始まります。お楽しみに！

Profile:堀内　康代（ほりうち　やすよ）

堀内康代さん

・柔道整復師　
・ライフスタイル研究家　
・株式会社トゥー・アー・ティー代表取締役　
・株式会社ヒューレックス代表取締役
・日本ホリステックビューティ＆ウエルネス協会専務理事
「ヘルス＆ビューティー」をテーマに、人々の健康なライフスタイルの提案を行っている。
「女性の元気は社会の元気！」をキャッチフレーズに女性のためのコミュニティー「LIVE station」、生涯体育学習カルチャースクール　[まなびサイト]を運営し、全国に展開している。
また、ヘルス＆ビューティーイノベーションセミナー　http://www.hb-innovation.com/の企画運営を行い、女性の健康を啓蒙する活動を行う。