リレーでつなぐ"ハート"の話

このページは、リレー形式でそれぞれの人に“愛”をテーマに、恋愛や家族愛、人間愛、パートナーシップ、コミュニケーション、大切な人への想い…などを自由に語っていただくページです。それぞれの方に半月に１回、計３回ずつご執筆いただき、その方から次にご執筆いただける方を紹介していただく形をとっています。順々に人と人とのつながりの輪が広がっていきます。

2012.2.01（第24回）

♪今回の執筆者♪
片岡由季さん（３回目・最終回）
（片岡さんの詳しいプロフィールはページ下にあります。）

父からの「愛のバトン」

　「それじゃあ、またあとでね！」
　「うん、またね！」

　これが、私と父との最後の会話でした。
　２０１０年２月１日。
　父は突然、大好きな月へと旅立ちました。急性心筋梗塞でした。

　父は、とても不思議な人でした。
　男性だけれど、女性のような・・・
　人間だけれど、そうでないような・・・（笑）
　そして何より、とても愛に溢れた人でした。
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　私の母は私を生んですぐに重度のリウマチになりました。一時期はほぼ寝たきり。
　家事は伯母が助けてくれましたが、妻としても母としても、自分が役目を果たせていないと悩んだ時期がありました。

　父のように音楽関係の仕事をしていれば、華やかで素敵な女性がたくさんいるし、
たまには誰かとお茶やお食事をしたいと思わないのかと父に尋ねたことがあるそうです。
　父の答えは・・・

「え？　何で？　僕にはママがいるじゃない。」

　身体は動かない、いつもパジャマ、化粧もできない。
　それでも父は母のことを、心から愛していました。

　今日はどこで誰と打ち合わせをして、何時に帰ってくるか、父は母に全て話していました。
　家を出て現地に着くと、「現地に着きましたコール」。
　打ち合わせが終わると「打ち合わせ終わりましたコール」
　そして、少しでも時間があると「何かおやつを買っていきましょうかコール」など
一日に何回も母に電話をしてきます。
　そして、「パパが好きなものを買ってきていいですよ」と母が言うと、父は・・・

　「僕の好きなものは、ママの好きなもの。だから、ママの食べたいものを言って。」

　そしておやつを買って帰ると、嬉しそうにその日あったことを母に報告しながら一緒にお茶を飲むのが大好きでした。
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　人は、あちらの世界に旅立つ前には、何かを感じるものなのでしょうか。

　旅立ちから半年前、父は母と頻繁に出かけるようになりました。
　母の車いすを押して、買い物へ行っては母へプレゼントを買ったり、綺麗なイルミネーションを見に行き、母が喜ぶと何往復も同じ場所を歩いたそうです。
　そして、寝る前には必ず母を抱きしめて「愛してるよ。」と伝えていたと言います。

　さらに、私が社会人になってからは一度も行く機会がなかった家族旅行を実現させ、しばらく会っていない方に電話をしたり、会いにいったりを繰り返していました。
　父はギリギリまで家族やお世話になった方との思い出を作り、愛を伝え続けていたように思います。

　そして、その家族旅行から２ヵ月後、大好きな月へと旅立ちました。
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　会社を継いで２年。
　私は今でも、父の愛を感じ続けています。
　「お父さんには本当に優しくしてもらったから」と、皆さんが私を助けてくれています。

　父がいなくなって、初めて気づいたこと・・・
　父がどれだけ家族を愛していたか。
　周りの人を愛していたか。
　音楽を愛していたか。
　仕事を愛していたか。

　私は父から、会社だけでなく、この愛のバトンも引き継いだのです。
　「片岡慎介」という文字が刻まれた横に「片岡由季」という文字を刻んで、しっかり握りしめているのです。

　この愛のバトンに恥じないよう、私も愛を伝え続けようと思います。
　いつか、この愛のバトンを誰かに渡す、その日まで・・・
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パパへ

元気ですか？
そちらでも忙しくしていますか？

私は、周りの皆さんに助けていただきながら
楽しくやっています。

たまにね、「パパがいてくれたら・・」って思うこともあるけど、
パパがくれたバトンをしっかり握りしめて、前を向いていこうと決めたから。

私がこのバトンを誰かに渡すその日まで、私らしく頑張るから応援していてね。
いつかまた会えたら、前みたいに「よく頑張ったね。」って褒めてくれるかな。

胸を張ってまた会えるその日まで・・・
「またね！」
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　最後に・・・
　今回、この「リレーでつなぐ“ハート”の話」を担当させて頂けたことに心から感謝いたします。
　また、父の命日である２月１日にこの記事がアップされることを知り、本当に深いご縁を感じています。
　ありがとうございます。

　このコラムをお読み下さったあなたの幸せを心よりお祈りしております。
　愛をこめて。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　片岡由季

Profile:片岡　由季（かたおか　ゆき）

片岡由季さん

武蔵野短期大学にて国際教養学科および秘書コースに在籍。
卒業とともに秘書士資格を取得。
その後、玉川大学英米文学科に編入。
前職はＮＰＯ法人日本ケアフィットサービス協会にて「おもてなしの心と正しい介助技術」を身に付けた「サービス介助士」の育成にインストラクターとして携わり、全国の企業研修を担当。
２０１０年４月より父である片岡慎介の後を継ぎ、
有限会社ビュージックの代表取締役となる。
現在は、断食道場やサロンなどで「月のお話会」を行い、「なりたい自分」「輝く自分」になるための月のテンポ活用法をお伝えしている。

※（有）ビュージックのＣＤ「絶対テンポ１１６」は、船井幸雄も応援しています。
→ http://www.funaiyukio.com/funai/arakaruto_1010.asp