リレーでつなぐ"ハート"の話

このページは、リレー形式でそれぞれの人に“愛”をテーマに、恋愛や家族愛、人間愛、パートナーシップ、コミュニケーション、大切な人への想い…などを自由に語っていただくページです。それぞれの方に半月に１回、計３回ずつご執筆いただき、その方から次にご執筆いただける方を紹介していただく形をとっています。順々に人と人とのつながりの輪が広がっていきます。

2015.03.15（第94回）

♪今回の執筆者♪
神藤　智康さん（１回目）
（神藤さんの詳しいプロフィールはページ下にあります。）

前回の執筆者宇田川真由美さんから神藤智康さんに対するメッセージ

私、宇田川真由美がリレーのバトンをお渡しするのは神藤智康さんです。お仕事ではボーリング関係から土木・建築・不動産関係と様々な分野で活動をされている方で、時間をとても有効に活用し、また人の繋がりをとても大切にされる方です。
全国に沢山のご友人がいて、その中には有名な方もおりますが、面倒見が良く、相談に乗って適格なアドバイスをする方だと尊敬しています
常に前向きで、冷静で、情熱的であるのに、ユーモアがある穏やかな神藤さん！
お忙しいのは承知の上で、是非コラムの依頼をさせて頂きましたところ二言返事でした（笑）。
いつもお世話になり、ありがとうございます。
どんなコラムを書くのでしょうか(^^)
神藤さんのコラム楽しみにしています。

じゃ、神ちゃんよろしくねっ！
宇田川真由美

仕事で感じる「愛」

　はじめまして。あおばの宇田川真由美さんからコラムのバトンを渡されました。
　私は神藤智康（じんどうともやす）と申します。愛知県豊橋市を本拠地としています。

　仕事は地質調査、地盤改良、土木・建築、不動産をしている（株）テイビー（平成２６年７月から（株）髙須ボーリングより社名を変更）に所属しております。今回より３回にわたり「愛」について語りたいと思います。

　１回目は、仕事で感じる「愛」。２回目は、個人活動で感じる「愛」。３回目は、私が思う「愛」とは？　と考えています。
　かなり主観的な考えを述べます。皆様の見識から賛否あろうと思いますが、ご容赦願えると思っています。よろしくお願い申し上げます。

●地質調査でも愛を認識しました。
　地質調査という仕事の多くは、住宅やビル等の一般建築物や道路、橋梁などを設計する際の地耐力、支持力を評価します。
　しかし、震災や噴火など自然災害が発生した時にも復興計画の先陣として入って行きます。ちょうど４年前の今月の震災も先の御嶽山の噴火もそうでした。また、災害予防として地盤の液状化の評価および改善工事、地すべりの危険度の評価および改善工事もしています。

　すべてに共通することは「人命への危険を減らす」ことなのです。このコラムで「愛」を考えたときに、日々の仕事で妥協もミスも許されないことで他人の命や資産を守ろうと思うこともそれなのだと思いました。
　会ったこともなく、これからも会うことがないであろう人のために神経を使い、様々な災害を予測、想像して悩む毎日です。会ったことのないと書きましたが、震災直後の東北での調査の現地視察では会っています。胸が押し潰される感覚は今でも残っています。
　私は強い人間ではありませが、仕事が過度に忙しくなってもそこに住む人や影響を受けるだろう人達を思うと、自分に「ビジネスライクな仕事をしてはダメだ」とよく言い聞かせています。そういった“強い思いやり”も「愛」なのだろうなと感じます。

●沈下修正でも愛を認識しました。
　不同沈下、不等沈下とは、住宅の一部ないし全体が沈む状態のことを指します。
　床が斜めに傾いたところで生活をしていると足（足首）からの無意識な違和感を脳が感じ取り、日々のイライラや不快感が発生します。それに加えて地震への恐怖感も高まるようです。過去に直した住宅の居住者、特に普段家にいることの多い主婦のほとんどがノイローゼ気味になっていました。

　私が相談を受け、改善計画を説明してゆくのですが、いつも最初は業者に対する不信感を取り除くことから始まります。住宅を建てる時に的確な地盤調査と補強工事を施工店が行っていれば発生しない現象なので当然なのでしょう。
　病気の人が医者を信頼できなければ、十分な治療が行えないのと似ていますが、沈下修正工事は、建物を直すだけではなく、安心して生活をしてゆけるように不安を取り除かなければならないと思っています。

　たいていの流れとして、住宅の施工業者への不満を聞くことに始まり、大きな地震が来た時の倒壊などの不安を聞きます。それから、御施主ご夫婦、御爺さん、御婆さん、御子さんとも色々な話をします。
　私が彼らを理解することができないと、私を信用してもらえないと感じるので、ここが一番重要な時だと毎回思います。

　建物を基礎の下から持ち上げて床を水平にする頃には、仕事とは関係のない相談までされるようになっています。床が水平になると皆さんが「気持ちが落ち着いた」と言ってくださいます。

　改善計画を信頼してもらうまでも１、２ヶ月は掛かりますが、工事が始まってから終了するまでに約２、３ヶ月掛かります。長いと半年くらいの付き合いをすることになります。最後に終了の報告と説明をしに行く時は「家族がそろっている時に来てくれ」と、ほとんどが言っていただけます。

　人に感謝されることを実感できる時ではありますが、妙な寂しさもあります。身内が増えたような感覚です。実際にその後もお付き合いしている方もかなりいます。
　そのご家族の人命もそうですが、誠心誠意“心のケア”をすることもひとつの「愛」なのだろうなと感じます。

　第１回目のまとめとすると、「愛」がなくては、本当に良いと満足できる仕事はできない。ということだと思います。

　私の仕事内容が、皆様が知らないであろう業種なので、解りにくくて申し訳ありません。それでも、読んでいただいて感謝しています。ありがとうございました。