リレーでつなぐ"ハート"の話

このページは、リレー形式でそれぞれの人に“愛”をテーマに、恋愛や家族愛、人間愛、パートナーシップ、コミュニケーション、大切な人への想い…などを自由に語っていただくページです。それぞれの方に半月に１回、計３回ずつご執筆いただき、その方から次にご執筆いただける方を紹介していただく形をとっています。順々に人と人とのつながりの輪が広がっていきます。

2014.06.01（第79回）

♪今回の執筆者♪
国府田利明さん（１回目）
（国府田さんの詳しいプロフィールはページ下にあります。）

前回の執筆者佐東界飛さんから国府田利明さんに対するメッセージ

国府田様へ
今回は公務の合間にバトンを受け取って頂き有難う御座います。
私自体、あまり人を信用していないので、信用できるしっかりした人間関係のある方を何人かバトンを振る候補に思いついた時、一番若く、一番地域に根付いた職務にある国府田さんにこのようなバトンを渡し、若い意見を知ることが、今後の世の中の吉凶を占う為にも必要かと思い、バトンさせて頂きました。
今回は愛がテーマですが、愛以外にも、焦げ付いた日本の悪しき風習に若い意見を見聞きすることは、改革や変化の一歩だと私は思います。
その改革できる職務にある国府田さんの「愛」については大変興味深いと考えたのです。
この、何も変わらない、むしろ悪くなる一方の日本に、本当の愛を持っている人は何人いるのでしょうか？
古き悪しき風習多いこの世の中で、若く意欲のある日本人は何人いるのでしょうか？
私はいつも考えます。無駄に老害ばかりで次の若い世代にとって、何も日本にいる利点がないのではないかと。
そんな世知辛い時代である今の日本を生きる、意欲ある数少ない改革を望む若い世代の意見として、国府田さんのコラム楽しみにしています。

と、言う訳でバトンヨロシクね！

支える愛

　今回、佐東界飛さんに紹介して頂いた国府田利明です。
　このサイト上で、愛をテーマにコラムを３回書かせて頂くことになりました。
　普段書いている文章とは内容が異なるので、乱文誤字脱字などありましたら、笑って何卒ご了承くださいませ。
　今回１回目は
［支える愛］について書かせて頂きたいと思います。

　僕は４年前に障害者スポーツ指導員の資格を取る機会に恵まれ、取得することができました。
　この資格を取得するにあたり、きっかけとなった一つの出会いがありました。
　僕の母親は民生委員の活動をしており、［障害者の生活改善］の項目に取り組んでいて、様々な障害を持っている人達の生の声を聞かせて頂いていました。
　そんな母が、視覚障害の方と話している時に、手伝いで僕も同席したときのことです。　彼は１５歳位で、生まれつきの視覚障害の方でした。
　母が普段何か困った事がないか訪ねてみると……
その彼は、普段家族が色々手伝ってくれているので大丈夫です。
　でも、色々不自由なことより諦めていることの方が多いんで……と、悲しいそうな顔をしました。
　母は、諦めていることは何かと彼に尋ねると、彼は「一度、友達とサッカーや野球がしたい。皆、テレビでワールドカップだ！ユニホームかっこいい！なんて話題が出るけど、サッカー自体したことないし、どんなユニホームでどんなカラーなのかもわからない。
　カラーやデザインを聴いたところで生まれつき見たことないから、何が青で何が赤なのかすらわからない。わからないことだらけだから少しはわかりたい。でも、お母さんにサッカー手伝ってとは言えないし、お母さんサッカーできないし（笑）」

と、返していました。

　ちょうど、僕はサッカー指導の資格があったので、サッカーがどんなものかを説明してあげて、後日ドリブルを教えてあげることを約束して、その日は終わりました。
　後日約束の日、視覚障害の彼は楽しみにしていて、彼の母親と一緒に、近所にある施設に出向いて来てくれました。
　しかし目の見えない彼は、ボールを蹴る以前の問題で、ボールの位置を把握できないのです。
　地面に置いたボールを探す作業からスタート、そしてボールを動かさず蹴る。この普通なら単純な動作にすごく時間がかかる。ボールを蹴って走る以前に、ボールを蹴ること自体が大変。
　自分は愕然としました。

　サッカーを教えると簡単に言ってしまった自分自身にすごくショックを受けてしまったのでした。
　様々な障害、様々な病気。
　それに合わせてサッカーの指導と言えど、様々なパターンが必要になり、そして、様々な支え方が必要になると理解したのでした。
　その日、彼はボールを蹴っては喜び、また蹴っては喜んでいましたが、ドリブルまでには至りませんでした。

　お兄さんまたサッカーしようね！

　そう言われて別れた日の夜、僕は障害者スポーツ指導員の資格があることを知ったのでした。
　翌日、早速講習会の問い合わせをして申し込み、受講することになり、受講日当日になりました。
　受講の内容で一番思い出深いのは、障害者にスポーツを指導するにあたり、自ら障害の疑似体験をしながらスポーツをしてみるという講義でした。
　普段の何気ない動きが全くできないことに加え、過度に介助してもらうとかえって危険度が増すということがわかりました。
　障害を持つ人に過度に手助けしようとすることはあまり良くない、障害を持つ人が必要なとき、必要な程度支えることが本当に大切なことだと学びました。

　与えすぎると自己満足になりかねないことがあること、必要な時、的確に支えることができるかどうかは、相手を知らなければできないこと。
　そして、相手を知るためには、相手を受け入れ、共感する愛情が必要なこと。
　それができてはじめて、支えることができるのでしょう。
　受け入れ共感する。

　なかなか自我が邪魔してできない場合もありますが、できる限り、様々な目線に立ち、必要か不必要かを見分け、様々な立場の人を支えることができる人間になりたいと思った次第です。
　資格取得後に、先の視覚障害の彼とサッカーをしたとき自分の立ち振る舞いは、前より格段にスムーズでした。
　それは、彼が望むものをそっと支えてあげられたのでしょう。