リレーでつなぐ"ハート"の話

このページは、リレー形式でそれぞれの人に“愛”をテーマに、恋愛や家族愛、人間愛、パートナーシップ、コミュニケーション、大切な人への想い…などを自由に語っていただくページです。それぞれの方に半月に１回、計３回ずつご執筆いただき、その方から次にご執筆いただける方を紹介していただく形をとっています。順々に人と人とのつながりの輪が広がっていきます。

2016.04.01（第113回）

♪今回の執筆者♪
片山さやかさん（２回目）
（片山さやかさんの詳しいプロフィールはページ下にあります。）

家族からの愛　繋がっている愛

　前回から書かせていただいているハートのお話。このテーマについて考える時にどうしても、切り離せないのが家族の愛。

　アメリカ人の父と日本人の母との間にニューヨークで生まれ、３歳の時に日本に移り住み、東京で１１歳まで過ごしました。その後沖縄、兵庫、マレーシア、兵庫と引っ越しを繰り返しました。異なる土地での体験は楽しい事も辛い事もありましたが、今振り返ると愛に包まれ、愛に守られてきた日々だったなと感じます。

　私は７歳の時に父を亡くし１２歳まで母子家庭で育ち、その後母は再婚。新しい父と新しい弟が家族になる事がとにかく嬉しかったことは覚えています。
　父との思い出はほとんどありません。７歳まで一緒だったなら記憶もあるのではと思うのですが、覚えているのは母が夜居ない日には寝室にテレビを持って行って、寝ながらテレビを一緒に見た事と、私が家の目の前で交通事故にあった時に心配そうに駆け寄る姿。大鹿村に遊びに行った時にふざけて熊の糞や鹿の糞を父に投げつける私から笑いながら逃げる姿。この三つの記憶だけ。
　母は父は立派な人だったと言う。誰よりも私達子どもを愛していたし、これからも愛し続けていると。父が亡くなった後も私はずっと父は立派な人で世界一の父だったと今でも思っています。
　そのせいか父がいない事を寂しく思う瞬間は何度もありましたが、それ以上に父からの大きな愛情に包まれていた。いつも近くに感じていられた。
　その愛情を伝えてくれていたのが母です。母がいなければ私は父の愛情に気づく事も出来ずに寂しい思いをしていたかもしれない。

　母の再婚相手の義父。彼を父と呼んだ事はありません。しかし大切な家族ではあります。肌の色の違う私を受け入れ、慣れない仕事をしながら大学まで入れてくれた。確かに感じてたよ父の愛。

　私には二人の弟がいます。
　上の弟は私の４歳年下で母は自宅で出産をしました。当時４歳の私は弟が産まれる瞬間を見たくて心待ちにしていましたが、睡魔に負けて寝てしまい……。とても残念な思いをした事を覚えています。小さい頃から喧嘩もしたけどとにかく仲良し！私が経験してきた事のほとんどはこの弟が一緒に体験している。私がしんどい時や辛い時はいつもそばに居てくれ、いい事も悪い事も全部一緒に体験してくれる。私が姉として支え、引っ張っていってたつもりが、いつの間にかお兄ちゃん的な存在で私の前で守ってくれている（笑）。自分では抜け出せない泥沼から手を差し伸べ、引き上げてくれるのはいつもこの弟。

　一番下の弟が産まれる時も母は自宅出産をしました。その時私は１３歳だったので、母の出産を手伝いました。四つん這いでいきむ母のお腹に手を当てて、弟がお腹からぐぐーっと下に降りてきて産まれ出てくるのをこの手で感じました。
　決して私が産んだわけではないのですが、その時は頑張る母の横で自分もいきみ、呼吸を合わせ、そして産まれてきた弟を抱き、この子は私が守る！と強く思った事を覚えています。いつもそばに居るという感じではありませんが、いつも少し離れた場所から見守っていてくれて、体調が悪い時やピンチの時は誰よりも早く駆けつけてくれているのがこの弟。普段ほとんど音信不通なのに、助けが必要な時にひょこっと顔を出してくるから不思議。

　そして私には母違いの姉がいます。純アメリカ人の姉とは日本に住み始めてからは３回しか会った事はなく、英語の喋れない私はコミュニケーションすらとるのが難しい。それでも遠い海の向こうに姉がいるという事がものすごい安心と支えになっている。そして姉にとって私もそういう存在なんだと変な自信もある。
　その繋がりや変な自信が父や母が与えてくれた愛なのかなと最近感じる。
　離れていても会えなくても繋がっている。
　何で繋がっているか、それが愛なんだろうな。