(写真撮影:泉浩樹)
「天律時代」の到来に向けて
このページは、(株)船井本社社長で「にんげんクラブ」を主催する船井勝仁によるコラムページです。船井勝仁は「これから“天律時代”が来る。そして一人ひとりが“うず”を作っていくことが大事になるだろう」という思いを持っています。それをベースにおいた日々の活動の様子や出会い、伝えたいことなどを語っていきます。
また、「船井幸雄の息子」ではなく、“船井勝仁”の独自性をさらに打ち出していくこともテーマに、これまで父に寄せてきた思いや、「二代目社長」としての方針も語っていきます。
こんにちは。船井勝仁です。
3年ぐらい前、船井本社に来たばかりの頃、30代中心の一橋大学のOBの人でやっている異業種交流会でお話をさせていただいたことがあります。みなさん銀行や商社、外資系などの一流企業でバリバリ働いておられ、頭も良い人ばかりで、話をしていてとても楽しくて私の話も弾んでいきました。ところが、最後に「百匹目の猿現象」の話をしたらみなさんキョトンとした顔をされました。
そこで、この言葉を聞いたことがある人に手を挙げてもらったら、ひとりだけでした。仕方がないので、宮崎県に幸島という島があって京大の霊長類研究所が野生猿の観察をしていたこと、イモちゃんという若いメス猿がある日もらったイモを小川で洗ってみるとおいしかったのでそれから洗って食べるようになったこと、それを見た周りの猿たちもまねをしてイモを洗うようになったことから説明をはじめました。
そして、イモを洗う猿の数がある閾値(仮に百匹とする)に達した時、遠く離れた高崎山の猿もイモ洗いをしたことを言う現象です。このことをイギリスの動物学者ライアル・ワトソンが『生命潮流』(工作舎)という本で紹介し、ニューエイジの世界で広く知られるようになりました。また、このような現象のことをイギリスのルパート・シェルドレイクが別途、シェルドレイクの仮説(形態形成場の仮説)として発表し、より認知されるようになったのです。
このコラムを読んでいただいている皆様には、いまさら説明する話ではありませんが、社会の第一線でバリバリ働いている男性の大半は知らないというか興味がないことです。もし興味を持ったとしても、彼らの行動パターンとしてはまずWikipedia等を使って調べます。そうすると、百匹目の猿現象は作り話だと載っていて、ワトソンやシェルドレイクもオカルト科学者というレッテルが張られていると解説されています。そして、信じられない話というか信じてはいけない話だという結論に達するというわけです。
しかし大切なのは人間の思いが集合意識となって社会の規範を決めているということです。山本七平氏の『「空気」の研究』(文春文庫)に代表される考え方と言えば、Wikipediaで調べても受け入れてもらえる範疇に入ると思いますが、この世の中で起こることは、結局は人々の意識が決めており、こうあるべきだという常識ができてしまえばそれは不文律になって人々の行動を制約するようになるのです。
正直に言うと、上記のエピソードが起こった3年前は私も世間の、本当はあまり意味がない常識に縛られて生きていました。「百匹目の猿現象」のことを話す前に意気投合していたのは、私が参加者の皆さんと同じ常識(例えば、怪しげな話を信じていることが分かったらバカにされる)を持っていたからです。
しかし、いよいよ世の中は本格的に大激変を迎える時期になりました。今までの間違った常識や過去に縛られていると、サバイバルすることが難しい時代になってきたのです。
このコラムでは3年前の私が納得できるように、見えない世界のことを説明していくことにしますので、今までの社会概念でがんばっている人にこのコラムを読むように紹介していただければと思います。
幸島で最後までイモを洗わなかったのは年を取ったオス猿だったそうです。皆さんの周りの大切な人が世の中の流れに取り残されないようにしたいので、恐縮ですがよろしくお願いします。
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1964年 大阪生まれ。1988年 (株)船井総合研究所 入社。1998年 同社 常務取締役。同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。2008年 (株)船井本社 代表取締役社長就任。父・船井幸雄の「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築くことが本来の自分の役割だ」という思いに共鳴して、持ち株会社である同社の代表取締役社長として父をサポートすることを決意した。 著書には、『中堅・中小企業のためのIT化時代の「儲け」の決め手』(船井幸雄らとの共著 2003年 ビジネス社)、『天律の時代が来た! 生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)などがある。