(写真撮影:泉浩樹)
「天律時代」の到来に向けて
このページは、(株)船井本社社長で「にんげんクラブ」を主催する船井勝仁によるコラムページです。船井勝仁は「これから“天律時代”が来る。そして一人ひとりが“うず”を作っていくことが大事になるだろう」という思いを持っています。それをベースにおいた日々の活動の様子や出会い、伝えたいことなどを語っていきます。
また、「船井幸雄の息子」ではなく、“船井勝仁”の独自性をさらに打ち出していくこともテーマに、これまで父に寄せてきた思いや、「二代目社長」としての方針も語っていきます。
最近、内容が落ちつき過ぎているというご意見をいただきましたので、思い切ってあまり客観的にはなりませんが、お金の問題について取り上げたいと思います。
お金については、安部芳裕さんと佐々木重人さんの対談本『金融崩壊後の世界』(文芸社)を読めば、それに必要なことはすべて書いてあると思っています。まず、紙幣や中央銀行の仕組みが詐欺的なシステムであることが書かれています。
私も全く同感なのですが、あまりにもシンプルなのでこの本を読んでピンとくる人は少ないようです。この本に書かれていることを多くの人が理解できれば、ハイパーインフレが来て、金融システムが崩壊したときに何をすればいいのかが、簡単に分かります。私のような浅学非才な人間でも感覚としては理解できたので、このコラムの読者の皆様にも論理的に理解してもらうのではなく感覚的に分かってもらうことを目指してみたいと思っています。
お金の話は論理的に理解しようとすると、わけが分からなくなるという側面があるようです。安倍さんの他の本も陰謀論として読むと面白いのですが、肝心の金融の仕組みについては、実はあんまり伝わっていないのではないかと思います。それが通貨論、貨幣論の奥の深さで、だから1694年に世界で最初の中央銀行であるイングランド銀行が開設された年に今のお金の仕組みが始まったと考えてもすでに300年以上も私たち一般人をだまし続けることができたのです。
簡単に言ってしまうと、現在の中央銀行制度を中心とするお金の仕組みは、金融部門が庶民から搾取するための体制を確立するための気の長い試みであり、もっと簡単に言うと王侯貴族が持っていた権利を金融セクターに移行させるための300年〜400年近くの年月をかけての壮大な取り組みだということです。
本来のお金の機能は価値の交換尺度でした。物々交換の世界では不便で仕方がないので、誰もが同じ価値を認める通貨が生まれたのです。交換尺度の役目だけではなく、劣化しないというお金の特性を使って貯蓄機能が生まれてきました。貯蓄されたお金が銀行という金融セクターに蓄積され、それを元手に銀行は企業に対して貸付をするようになっていったのです。
一生懸命使うのを我慢して貯めたわけですから、そこに利子がつくことになります。これは一見すると当たり前のことと思えますが、こういう概念を持っていたのは中世以前には金融業を得意とするユダヤ人だけでした。資本の蓄積がないと資本主義は発展しませんので、禁欲主義で資産を貯めることをいいことだとする宗教改革が起こり、敬虔なプロテスタントは一生懸命にお金を貯めるようになったのです。これが、産業資本の元手となって資本主義が発達していくわけです。
マックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(岩波文庫)に詳しく解説されているように、カルバンの禁欲主義が資本主義を発展させる基盤になり、この考えがユダヤ人だけのものであった利子という考えを広く欧米社会に通用させるものになっていったのです。
でも、実は利子という考えは、そこに詐欺的な要素がすでに含まれています。お金は経済の血液ともいえるものなので、景気を良くしようと思えば、利子を付けずにお金をどんどん消費してくれるシステムを作るべきです。お金はなるべく早く流通してくれると、その機能を一番発揮します。貯蓄として退蔵されてしまうことが一番困ることなのです。だから、わざわざ利子を付けてそれを促すような仕組みには裏があるのです。
タンス貯金は良くないが、銀行に預金されるとそれが集まって、産業資本として企業に貸し出され、それが流通することによって景気が良くなるのだから、利子を付けて貯蓄を奨励することはいいことだというのが経済の授業で習ってきたことです。一見、もっともなように見えますが、銀行の機能を交換尺度の維持という最低限の機能に制限し、自然物である他の商品と同様、減価させるシステムを作った方がはるかに早くお金が流通することがすでに証明されているのです。
そして、極めつけの詐欺が、貯蓄の額とは比べ物にならない巨額の貸し出しを可能にしている現在の銀行システムです。預金の準備率が1%ということは預金の100倍までのお金を貸し出すことが可能ということですし、現在の日銀の法定準備率は0.01%なので、なんと預金の1万倍の貸し付けが可能ということになります。それで、経済が順調にまわるのだからいいではないかということになりそうですが、その1万倍のお金に利子がついています。よく考えると、1万倍に膨れている元本には調達コストがほとんどかかっていません。銀行システム自体が他のセクターの利益を金融部門に移行させるための詐欺的なものであることがこれだけでも分かっていただけると思います。
簡単なことですが、企業がお金を借りて活動しているわけですから、その金利のコストは私たちが支払っている製品やサービスのコストに計上されていることになります。もし、利子がいらないお金が実現されれば、金融部門に移行される利益分が製品価格から引かれることになり、私たちの暮らしは楽になります。そして、何よりも企業の経営が格段に楽になることは明らかなことなのです。
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1964年 大阪生まれ。1988年 (株)船井総合研究所 入社。1998年 同社 常務取締役。同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。2008年 (株)船井本社 代表取締役社長就任。父・船井幸雄の「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築くことが本来の自分の役割だ」という思いに共鳴して、持ち株会社である同社の代表取締役社長として父をサポートすることを決意した。
著書には、『中堅・中小企業のためのIT化時代の「儲け」の決め手』(船井幸雄らとの共著 2003年 ビジネス社)、『天律の時代が来た! 生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『いま明かされるコトダマの奥義』(2011年1月 新日本文芸協会) 、『未来から考える新しい生き方』(2011年9月 海竜社)などがある。
★船井本社の主宰するにんげんクラブ:http://www.ningenclub.jp/
★船井勝仁.COM:http://www.ilir.co.jp/funai_katsuhito/