(写真撮影:泉浩樹)
「天律時代」の到来に向けて
このページは、(株)船井本社社長で「にんげんクラブ」を主催する船井勝仁によるコラムページです。船井勝仁は「これから“天律時代”が来る。そして一人ひとりが“うず”を作っていくことが大事になるだろう」という思いを持っています。それをベースにおいた日々の活動の様子や出会い、伝えたいことなどを語っていきます。
また、「船井幸雄の息子」ではなく、“船井勝仁”の独自性をさらに打ち出していくこともテーマに、これまで父に寄せてきた思いや、「二代目社長」としての方針も語っていきます。
あけましておめでとうございます。本年も1年間、月に3回のペースで「「天律時代」の到来に向けて」のコラムを書かせていただこうと思います。いろいろな方向に話しは飛んでいくと思いますが、私たちの集合意識の力ですばらしい世の中を作っていくという、船井幸雄の考え方が皆様にご理解いただける一助になればと思いながら書いていこうと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本年がどんな一年になるかの見通しは、次回にさせていただき、今回は父の最新著の話を書かせていただきます。今の時代を生きていくのにとても参考になると思うからです。できればお正月休みを利用してお読みいただければと思います。
私の場合は、にんげんクラブのセミナー等で沖縄に行った帰り、休日だったのですが品川の事務所に荷物を取りに寄ったら、『素晴らしき真言(マントラ)』(青萠堂)が、私の机の上に置いてありました。社内で回覧されていたもので、急いで帰る必要もなかったので読み始めたのですが、とても面白かったのでそのまま読了しこの原稿まで書き始めることになりました。
私にとって特に勉強になったのは、なかなか理解ができなかった七沢賢治先生の「構文の五階層」がとても分かりやすく解説してあり、そのことが分かったことでした。ましてや、それで自分オリジナルの真言(マントラ)が作れるというのには目からウロコが落ちてびっくりしています。
構文の五階層とは、自分が思った感情を以下の五階層の構文にしていくことで、感情に振り回されてしまう「矛盾論」の状態から、「実践論」「存在論」にステップアップしていくことができ、この構文を作っていくことで、自分自身で状況を変えていく力を持てるようになる方法論で、これをマスターすれば強力なツールになると思います。私もこの原稿で挑戦してみたいと思います。
それでは、実際に五階層の構文を作っていってみようと思います。ある知り合いの経営者から、自分達の事業資金を集めるためのセミナーをしたいので、船井幸雄に講演してもらうように頼んでほしいというリクエストをいただきました。これに対する私の感情を例に構文を作っていきます。この作り方は同書のP.70・P.75を参考にしました。
・第1ステップ=「一人称構文」の作成
最初は、自分が置かれている状況下で、あなたがどのような心情を持っているかを記述します。
「何で、あなたの事業の資金集めのために父や私が、その背景も分からないで協力することができるのか、さっぱりわからない。」(かなり強い怒りの感情)
・第2ステップ=「他人称構文」の作成
問題に関係している相手の心情を記述する。相手の気持ちがわからないときは想像でもかまいません。
「彼は、いつも何を言っても聞いてあげているから、何を頼んでもいいと思っている。」
・第3ステップ=「複合一人称構文」の作成
続いては、第1ステップで作成した自分の文章を読み返してみて、どんな心情を抱いたかを記述します。自分をもう一人の自分がみている、つまり自分自身を客観視する視点で書くのが複合一人称構文です。
「無茶なリクエストに腹を立てているが、いつも八方美人的な態度の私に問題があるのかもしれない。突然怒り出してびっくりしているだろう。」(かなり冷静になりました)
・第4ステップ=「優先構文」の作成
ここは、第3ステップで得た客観的な視点に基ついて「では、自分はどうすべきか」を考える段階です。問題となっている状況において、自分はどうあるべきかをなるべく具体的に記述します。
「八方美人的な態度をやめて、日頃から本音で言うべきことは言うようにしよう。」
・第5ステップ=「自在構文」の作成
ここまでに作成した4つの構文を踏まえたうえで、人間とは何か、人生とは何かといったことへの、自分なりの理解を文章にします。
「自分の意見を持たずに相手に合わせてばかりいると、いらぬ誤解を招くことになるので、相手に対する愛情を持ちながら、言うべきことは日頃から言えるようにしなければならない。」
第3ステップから第4ステップへの展開が一番重要で、これができれば具体的な何をするべきかが分かります。そして、第5ステップに到達すると、私からすればこの問題はもう解決しており、それが真言(マントラ)になって、それを繰り返し思うことでいつの間にか同じような間違いはしなくなっているのだと思います。
すこし難しいですが、左脳で論理的に考えたい人にはお勧めしたいと思いますし、そうでない方でも感情的になったと自分で自覚したときにはぜひやってみてください。目からウロコが落ちることは間違いないと思います。
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1964年 大阪生まれ。1988年 (株)船井総合研究所 入社。1998年 同社 常務取締役。同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。2008年 (株)船井本社 代表取締役社長就任。父・船井幸雄の「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築くことが本来の自分の役割だ」という思いに共鳴して、持ち株会社である同社の代表取締役社長として父をサポートすることを決意した。
著書には、『中堅・中小企業のためのIT化時代の「儲け」の決め手』(船井幸雄らとの共著 2003年 ビジネス社)、『天律の時代が来た! 生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『いま明かされるコトダマの奥義』(2011年1月 新日本文芸協会) 、『未来から考える新しい生き方』(2011年9月 海竜社)などがある。
★船井本社の主宰するにんげんクラブ:http://www.ningenclub.jp/
★船井勝仁.COM:http://www.ilir.co.jp/funai_katsuhito/