(写真撮影:泉浩樹)
「天律時代」の到来に向けて
このページは、(株)船井本社社長で「にんげんクラブ」を主催する船井勝仁によるコラムページです。船井勝仁は「これから“天律時代”が来る。そして一人ひとりが“うず”を作っていくことが大事になるだろう」という思いを持っています。それをベースにおいた日々の活動の様子や出会い、伝えたいことなどを語っていきます。
また、「船井幸雄の息子」ではなく、“船井勝仁”の独自性をさらに打ち出していくこともテーマに、これまで父に寄せてきた思いや、「二代目社長」としての方針も語っていきます。
ここしばらくは仙酔島、高知の不動岩やアースキーパークリスタルPちゃんそれに伊勢神宮などのパワースポットに行く機会をいただきました。
それに伴い瞑想をする時間をたくさん取るようになりましたので、最近は本をあまり読んでいません。だから、今回はいろいろなご縁で巡りあった知り合いの方の本を中心に紹介させていただきたいと思います。
1.吉越浩一郎著『結果を出すリーダーの条件』(PHPビジネス新書)
早朝会議、デッドライン、残業ゼロ等の日本の企業では非常識とされている経営手法でトリンプインターナショナルジャパンを19年連続増収増益に導いた辣腕(らつわん)経営者のいまの日本の経営やリーダーシップのあり方に対する警告の書です。
本物研究所の佐野社長から勧められて読んだのですが、佐野社長は自分の経営のやり方と正反対の吉越氏の経営をとても意識しており、その著書は全部読んでいるそうです。私は同氏の著書ははじめて読ませていただきましたが、私の考え方ともぜんぜん違う外資系のやり方がとても新鮮に映りました。
9月21日の当欄で紹介した『JAL再建の真実』(講談社現代新書)という本にある通り、稲盛和夫氏の経営手法も利他の心を説く一方で、アメーバー経営で徹底的に数字にこだわっていく事で奇跡的なJALの再建を実現しました。
いま、目の前の現実で利益を出すことに四苦八苦している会社は私の『未来から考える経営』(ザメディアジョン)に行く前に、結果に徹底的にこだわる現実的な経営をやり遂げる必要があるのだと思います。
例えば、「仕事の与え方を見直そう」という小見出しの後は以下の様に続きます。
(引用開始)
思うように部下が育ってくれないと嘆いている人は、もしかしたら部下に対する仕事の与え方が間違っているのかもしれない。
(中略)
このとき大事なことが二つある。
ひとつは、必ずデッドラインを決めるということ。「できるだけ早く」のような曖昧な言い方ではなく、「明日の朝十時までに文章にして私のところに提出せよ」というように具体的に期限を区切るのだ。
(中略)
もうひとつは、報連相を求めないこと。やれ報告だ、相談だ、連絡だなどと上司からうるさく言われたら、結局その部下の仕事のスケールは、上司が思い描いている範囲の中から出られないことになってしまう。ましてや自分で考え抜くことをせず、鍛えられないので、その部下の実力は上司以上のものにはなりえない。
それは仕事ではない。どうしたら課題を解決できるか、どういうやり方をすれば最も効率的か、そういうことを自分の頭で考えるのが仕事なのである。
(中略)
おかしな平等主義を持ち込むことはない。会社というのは生存競争の場なのだから、力と意欲のある人間には遠慮なくチャンスを与え、そうでない人にはそれなりの処遇をすることは、きわめて正しいマネジメントだ。
(引用終了)
資本主義化では会社は生存競争の場であることは、間違いのない事実です。日本的なマネジメントの良さを確立していくことも大切ですが、この厳しさに対する対処法も分かっていることもとても大事なのだと思います。
2.城繁幸著『若者を殺すのは誰か?』(扶桑社新書)
著者は東大法学部卒業後、富士通に入社して人事部に配属になりました。富士通を退職後に著した『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』(光文社)という本が2004年に出版されており、私もとても興味深く読んだことを覚えています。その後、2006年に『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(光文社新書)が40万部の大ベストセラーになったそうです。
私は最初のペーパーバックスで出た本は衝撃を持って読んだのですが、その後の著者の活躍は不勉強でよく知りませんでした。本書を読んでみての感想は、私の意見とは大分違うが、問題意識は共通しているものがあるというものです。
著者は年功序列制度が日本の若者に閉塞感をもたらしている最大の原因であるという立場にあります。定年の65歳への延長など、いまの政府が打ち出す制度は高齢者を優遇することばかりで、その結果として若者の就労の機会を奪っているという考えです。私は世代間格差があることは合意しますが、日本の終身雇用、年功序列という制度はすばらしいものであるという自説をやはり『未来から考える経営』で述べさせていただきました。
それは、成果主義は日本的な風土に合わないし、ましてや簡単に従業員の首が切れる欧米流の制度は日本で運営するのは無理だろうと思うからです。著者の処女作では、実際に人事部として勤務していた経験から失敗した事例を紹介していて、日本的経営からの決別は簡単にはできないことを学ばせていただきました。
ただ、その解決策として著者はアメリカ流のグローバルスタンダードをより明確に導入する手法を取ろうとしています。私は、年功序列制度を守りながら年配者が若者に自分たちの既得権益を譲っていくことで、世代間格差の解消を目指す立場を取ります。
高齢者と若者が対立するのではなく、共生するシステムの完成を目指したいと思うのです。そのためには、まず高齢者が若者世代の就労の機会をシステム的に奪っているという現実を直視して認識する必要があります。そういう面では本書は大変参考になりました。
本書の中で一番共鳴できた著者のメッセージを最後に紹介させていただきます。
(引用開始)
ちょっと考えてみてほしい。若者に限らず、現役世代であれば、日々の暮らしのなかで必ず目に見えない壁にぶつかっているはず。例えば、「なぜ子育てをしながら働いちゃダメなの?」とか、「なんで社会保障給付って高齢者ばっかりに使われているの?」とか、「定年延長は義務化するのに、なぜ学生と失業者は無視するの?」とか・・・・。
それらの根っこをたどっていくと、すべては今から50年ほど前の高度成長期につくられた一連の制度に行き着く。
終身雇用という世界でも類を見ないシステムも、現役世代で高齢者を支え続けるという社会保障制度も、先進国どころかイランにも負ける女性の社会進出の遅れも、すべてはこの時代に形作られたシステムが根っこにあり、そのせいで今の日本人はずいぶんと息苦しい思いをしているのだ。団塊世代はもちろん、我々の世代の多くも、生まれたときから当たり前のように信じ、受け入れてきたそれらのシステムをぶっ壊さない限り、日本は変わらないということだ。
(引用終了)
システムをぶっ壊すことをハードランディングでやるかソフトランディングでやるかの違いですが、やっぱり競争で闘争しないと壊れないとするとちょっと悲しい気がしてしまいます。
3.ロッキー・リャン著『すごい! 人生逆転の法』(三笠書房)
著者は台湾の出身で、中国で活躍するアジア1の講演家であり実業家です。日本人の感覚では講演家という職業が成り立つのが理解できないような気もしますが、著書を読ませていただいて、予想とは違ってとても素晴らしくバランスのとれた方であることがよく分かりました。
今月の下旬に著者の講演に誘われているのですが、ぜひ行ってみたいと思っています。日本人は謙虚であることを美徳と考えますが、世界標準で考えると自己主張ができなければ成功は考えられません。私はとても日本人の壁は超えられないと思っていますが、若い人たちにはどんどん壁を越えていくというか、世界的な自己主張が大事だという考えと、日本的な謙遜の美徳を融合するような人が現れることに期待しています。
著者は本書の中で成功の秘訣を惜しげもなく公開しています。それは明確な目標を具体的に101個立てることです。そして、それはなるべく高級車を買うというような物的な目標ではなく、自分の人生を高めてくれるような元気になる目標を立てることです。
(引用開始)
20年以上に渡って成功者達から学び、そして実践した結果、見えてきた成功法則があります。成功者達には、共通点があった。
成功者達は共通して「目標を設定」していたのです。
私自身、このことに気づいてから誰よりも目標設定を大切にしてきました。
常にもっともスケールの大きな目標を立てるようにし、一つ一つを達成してきました。そして、今、さらに大きな目標を立てています。
もちろん、私が成功できたのは、スケールの大きな目標を立てたからだけではありません。スケールの大きな目標を達成してきたからです。
(中略)
けれど、「目標を設定して、言葉に(リスト化)し、一つ一つを達成していこう」と決めたときから、私の人生は輝き始めたのです。
人生を逆転させるには、まず「目標を設定して、書き出すこと」です。「目標を持って生きよう」と決意すれば、それだけで「自分の人生に積極的に関わろう」というエネルギーがわいてきます。
目標設定は夢実現の第一歩です。難しいことは何もありません。
必要なのは紙とペンだけです。どれほど小さな目標でも構いません。小さな目標を一つずつ達成していくうちに、やがて大きな目標が見えてくるはずです。
(引用終了)
著者は、セミナーのチケットを誰よりもたくさん早く売ることや、タクシーの中で何万冊も自著を手売りする才能があるのです。この様なことが得意のタイプでない方は、少し冷静に著者の励ましを受け止めてもいいのかもしれません。
4.盧在洙(ノジェス)著『日本の和心』(ピースプロダクション)
著者は韓国人ですが、1996年に福岡で宇宙自然を成り立たせている究極の実在に対する答えを得る体験をしました。それで、日本を第二の誕生をした祖国と考えていて、日本の侍の文化や千利休や織田信長が生み出した茶道の文化と韓国の熱い自己主張の文化を融合させることで、ヨーロッパや日本のやり方が行き詰まっている現在の状況を打破する活動を主に日本で展開しています。
私はメキキの会の出口光さんの紹介で一度短い講演を聞かせていただき、本書をいただきました。著者は上記の福岡で得た悟りを「観術」という体系にまとめあげています。光さんにはそれが見えているようですが、残念ながらその段階で私はよくわかりませんでした。
しかし、改めて今回本書を読ませていただき、少しだけその本質が理解できたように思います。それは、3で紹介したロッキー・リャンさんの本と5で紹介するヒマラヤ大聖者である相川圭子師の本を足して2で割ったもののようだと理解したのです。そうすると、現在の私たちというかこのコラムを読んでいただいている読者の方や私にとってちょうど必要なアプローチであるという可能性が理解できたからです。
お会いしたときにお話したところ、最低限数週間のプログラムを受けなければ、観術を理解することはできないという事でした。確かに、ここまでの悟りを開くプログラムはそれぐらいの時間は必要だと思いますが、いまの私にはその時間は取れないと思います。ご縁は必要必然で実現するものなので、必要なタイミングがくればそれが実現しているのだと思いますし、本書を読まれてタイミングが来ていることを感じられた人は先に進まれたらいいと思います。
少しだけ難しくなりますが、観術の基本的な考え方だと私が感じたところを引用します。
(引用開始)
これを数式で表現すると、物質の宇宙は「1」、宇宙の意識は「∞(無限大)」、物質の宇宙も意識の宇宙もないは「0」となり、「0=∞=1」となります。観術で提唱しているこの数式は真理の方程式であり、人間の固定観念を越えて、心の秘密、力の秘密、さらには宇宙の秘密を解き明かす究極の鍵なのです。
(引用終了)
さらに、以下のように続きます。
(引用開始)
絶対世界と相対世界を自由に往来でき、シンプルと複雑の両方を可能にする絶対真実世界を「1」と表現すると、相対世界は、相反するものが存在する「2」の世界です。今まで人類が使ってきた「2」の相対世界の暗記言語による帰納法的思考方式で、真実の「1」を規定することはできません。
すべての基準点である「1」に対する規定ができる水準まで、今までの人類の集団知能及び理性は進化していないのです。
その限界を突破して、「1」に対する規定を明確にすることができるか否かが、人類の認識能力・精神能力を進化させる究極の鍵なのです。「1」を規定できない状態では、教育も遠回りしてしまいます。
このように、「1」から出発する演繹的思考方式は、宇宙論を含めた既存のあらゆる分野の情報知識を大統合することができ、さらに再解析・再構築することを通して、新しいコンテンツや価値を無限に生み出すことができるのです。
(引用終了)
そして、この「1」を確立することができ、さらには「2(相対 錯覚 現実世界)」から「1(絶対 真実世界)」にいたるほどけ方と、「1」から「2」を作り出す結び方をマスターすれば、新しい時代の生き方が明確に分かるというとてもシンプルなものなのです。すごいと思いませんか。
5.相川圭子著『心を整えるともっと楽に生きられる』(中京出版)
最後は日本人女性でありながらヒマラヤ大聖者である相川圭子師の著書を紹介させていただきます。私は2年前にヨグマタジ相川圭子師からイニシエーションを受けさせていただきマントラ(真言)をいただきました。これが、私がスピリチュアルのことが感覚的に理解できるようになった大きなきっかけになりました。
大学生のときにインドの瞑想法TM(超越瞑想)をすでに習っており、瞑想に関してはそれなりの経験がありましたが、やはり大聖者自ら受けたイニシエーションは大きな気づきをもたらしてくれました。
著者はかなりのハイペースでヒマラヤ聖者の教えを紹介する著書を出版されており、書店でも大きく展開されて販売されていますので、本書に限らず書店で手にとっていただき、自分のフィーリングにあったものを読んで見られることをおすすめします。
ロッキー・リャンさんや盧在洙さんの手法のもっと根本的な究極の悟りを分かりやすく、しかもヒマラヤ聖者とふれていくという簡単な方法論で実現させてくれるものです。どの方法論がいいかは、人やタイミングによって違うと思いますので今の自分にあったものを自分の感性を信じて、自己責任で選んでいただければと思います。もちろん、どれも選ばないという選択もあるのですが、この混迷の時代を生きていくにはよほど強い人でない限りは本質をしる何らかの方法論を使うことはメリットがあると思います。
少し、シンプルな教えを本書から紹介させていただきます。
(引用開始)
古来ヒマラヤ聖者たちは、深い瞑想とサマディによって人間の内側を探求し、宇宙を創造した知性とひとつになって、人間と宇宙の知識を得てきました。そして、人間は小さなひとつの宇宙であることを見いだしました。
科学は「客観」により、外から謎を解こうとします。ヒマラヤの叡智は「主観」により内側から発見していきます。それは単なる分析の心の思い込みの理解ではなく、実践をして、体験するものです。謎だらけの心と体に気づき、変容し、すべてのエネルギーと、心と体を創った源へと還ってそれと一体となっていき、真理を知るのです。心と体は宇宙そのものです。
創造の源の存在につながり、やがてそれと一体となっていく、その具体的な実践の教えが、ヒマラヤの叡智なのです。ガイドによって、心の中のさまざまなエネルギーに気づき、すべてをクリアにして混乱を鎮め、神経系統と体を浄化して純粋になり、自らを完全に変容させて生まれ変わることができるのです。
(引用終了)
(引用開始)
大切なことは、揺れることのない平和な心を形成することです。そして宇宙の無限の豊かさを信頼することなのです。それがいつも自分に開かれているということを信じることです。
そのための一番簡単な方法は、宇宙根源の力とひとつになっているシッダーマスターと出会い、信頼でつながることです。マスターが無限の豊かさと自分とを橋渡ししてくれることを信頼し、感謝の気持ちをもち続けていきます。そしてみんなで瞑想をし、祈ることで、宇宙空間と社会の想念が癒され、浄化され、クリエイティブに、慈愛あふれる方向に変化していくのです。
(引用終了)
とてもシンプルです。日本人的感覚ではシッダーマスターである自分にすべてを頼りなさいという教えてに違和感を覚えるかもしれませんが、この手法はこれが究極の方法であり、それが嫌でない方にはおすすめです。私も正直に言うと少し抵抗がありますが、それをも自分で見つめなおして手放していければと思います。
『未来から考える経営』 |
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1964年 大阪生まれ。1988年 (株)船井総合研究所 入社。1998年 同社 常務取締役。同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。2008年 (株)船井本社 代表取締役社長就任。父・船井幸雄の「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築くことが本来の自分の役割だ」という思いに共鳴して、持ち株会社である同社の代表取締役社長として父をサポートすることを決意した。
著書には、『中堅・中小企業のためのIT化時代の「儲け」の決め手』(船井幸雄らとの共著 2003年 ビジネス社)、『天律の時代が来た! 生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『いま明かされるコトダマの奥義』(2011年1月 新日本文芸協会) 、『未来から考える新しい生き方』(2011年9月 海竜社)、『失敗から学ぶ』(2012年7月海竜社) 、『未来から考える経営』(2012年10月 ザメディアジョン)などがある。
★にんげんクラブ:http://www.ningenclub.jp/
★船井勝仁.COM:http://www.ilir.co.jp/funai_katsuhito/