(写真撮影:泉浩樹)
「天律時代」の到来に向けて
このページは、(株)船井本社社長で「にんげんクラブ」を主催する船井勝仁によるコラムページです。船井勝仁は「これから“天律時代”が来る。そして一人ひとりが“うず”を作っていくことが大事になるだろう」という思いを持っています。それをベースにおいた日々の活動の様子や出会い、伝えたいことなどを語っていきます。
また、「船井幸雄の息子」ではなく、“船井勝仁”の独自性をさらに打ち出していくこともテーマに、これまで父に寄せてきた思いや、「二代目社長」としての方針も語っていきます。
著書『出現する未来』よりの資料(クリックすると拡大して見られます。) |
こんにちは。船井勝仁です。
いよいよU理論の具体的な手法について説明していきたいと思います。まず、最初のアプローチは保留です。保留とは現実に起こったことを、バイアスをかけることなくきちんとみることです。我々は実は思い込みや既成概念や(間違った)常識、さらには個々の組織特有の不文律やタブーによって、起きている現実をそのまま見ていることはほとんどありません。その既成概念を保留することによってはじめて現実をしっかりとありのまま認識することができます。
保留を実現するためには、本音で話し合うことが必要になります。日本人が得意な本音と建前を使い分けて会議の場では当たり障りのない結論を出しておき、本当の意志決定は根回しによって実現させるという方法論も悪くはありません。しかし、ごく一部の人の意志で組織の方向性が決まるのではなく、みんなの意志が反映されるようにならなければ本当に強い組織ができないことを考えると、会議という公の席で本音をぶつけ合うことが重要になってきました。
静岡県の富士宮市に木の花ファミリーというエコビレッジがあります。70人ぐらいのメンバーが自給自足の集団生活をしています。完全無農薬無化学肥料の農業を実践しており、最近は有機肥料すら使わない自然農法で自給率800%を達成しています。
この木の花ファミリーに1泊させていただいたことがあるのですが、ファミリーをうまく運営できている秘密が設立以来十数年間毎日欠かさず開かれている大人ミーティングの存在です。毎日の夕食後、全員が集まって会議をします。翌日の農作業の割り振り等、必要なことを話し合うのですが、大きな特徴がどんな小さな問題であっても必ずこの会議でその日のうちに解決することにあります。ごまかしではなく、本当に問題を解決するまで続けますので、時には会議の時間が4、5時間になることもあります。
自然農法を実践しているとやることは山ほどあります。だから、会議には各々の作業をしながらの出席になります。体調の悪い人は寝転んでいてもいいですし、特に自分に関する問題がない場合や年長者は途中で退席することも自由です。そして、会議の場では議論をするのではなく、それぞれが自分の意見を本音で言い、他人の意見を尊敬の念を持って受け入れていくことを基本としています。直接民主主義が実現していることに興奮した事を覚えています。
ただし、建前でなく本音を話すことはとても厳しい面も持っています。つらいことや嫌なこと、本気で話していると例えば過去の自分の感情等もおのずと明らかになってくるので、他人というよりは自分との葛藤に苦しみます。その自分の隠している感情を認め、赦(ゆる)し、それを表明していくことで、はじめて保留が実現していくのです。
そして保留ができると次のステップは転換になります。保留をすることで真実が明らかになるのですが、他人事として事実を見ているだけではまだ十分ではありません。それを自分の問題に転換できてはじめて問題の本質が意識できるようになるのです。
会議で出てきた問題を第三者的にとらえて評論家のような立場で発言しているだけでは、本当の意味で会議にコミットしていることにはなりません。これまたつらい作業になりますが、その問題に対して自分はどんな原因をつくっているのか、そしてどう関わっていくのかを明確にしていくことではじめて本当に参加していることになるのです。
自分の周りで起きていることの責任は全部自分にあります。自分以外の要素、例えば環境や他人等に責任を押し付けている限り、本質的な問題は何も解決しません。変えられるのは自分だけだということを認識して、自分以外は全部完璧でどんな難しい問題であっても自分が変化することを前提にすることで、はじめて本当の関与が実現していきます。
保留と転換の過程を経て、Uを降りていくことができ、底にある本質に近づいていくことができるのです。次回は底にある本質をものにするための具体的な方法について解説していきたいと思います。
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1964年 大阪生まれ。1988年 (株)船井総合研究所 入社。1998年 同社 常務取締役。同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。2008年 (株)船井本社 代表取締役社長就任。父・船井幸雄の「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築くことが本来の自分の役割だ」という思いに共鳴して、持ち株会社である同社の代表取締役社長として父をサポートすることを決意した。
著書には、『中堅・中小企業のためのIT化時代の「儲け」の決め手』(船井幸雄らとの共著 2003年 ビジネス社)、『天律の時代が来た! 生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『いま明かされるコトダマの奥義』(2011年1月 新日本文芸協会)などがある。
★船井本社の主宰するにんげんクラブ:http://www.ningenclub.jp/
★船井勝仁.COM:http://www.ilir.co.jp/funai_katsuhito/