写真
2010年にんげんクラブ全国大会ステージ上にて
(写真撮影:泉浩樹)

「天律時代」の到来に向けて

このページは、(株)船井本社社長で「にんげんクラブ」を主催する船井勝仁によるコラムページです。船井勝仁は「これから“天律時代”が来る。そして一人ひとりが“うず”を作っていくことが大事になるだろう」という思いを持っています。それをベースにおいた日々の活動の様子や出会い、伝えたいことなどを語っていきます。

また、「船井幸雄の息子」ではなく、“船井勝仁”の独自性をさらに打ち出していくこともテーマに、これまで父に寄せてきた思いや、「二代目社長」としての方針も語っていきます。

左上 「うず」のイメージ(画:西口貴美)
2011.4.11(第12回)
出現する未来F 4種類のアプローチ

 こんにちは。船井勝仁です。
 3・11大震災により、いよいよ大激変の時代がはじまりました。資本主義が極まって、競争や策略によってモアアンドモアを追求する時代は本格的に終わり、共生と助け合いによって手を携えながら生きていく時代です。3・11以前には2度と戻れないことを心から感じることが当面私たちに求められる大切なことなのです。

 そして、この出現する未来シリーズでお伝えしてきた手法も個々人で本質に到達するアプローチだけでなく、組織やプロジェクト、会議体などのメンバー全員で本質に到達するアプローチでもあることをシリーズの最後としてお伝えします。
 会議を例に取ると、U理論では会議の運営手法を4つのアプローチに分類します。

 1つ目のアプローチはダウンローディングです。これは過去のパターンを機械的にダウンロードしてきて、何の疑問もはさまずにただそれをこなすアプローチです。前例がなければ何もやらないというアプローチですし、会議の前にすべて根回しが終わっていて会議は単なる決定機関としてあるという位置付けです。日本に多いパターンですが、これではまったく新しいものは何も生まれません。
 2つ目は討論(ディベート)や議論を通じて行うアプローチです。日本以外の先進国、特に欧米で主流の方法で、自己主張と瞬発力が要求される手法です。日本でこの手法を採用すると声の大きい人の意見だけが通ることになり、本来の組織の持っているダイナミズムは生まれてきません。また、感情的になって無用な対立を生んでしまう原因にもなります。欧米のように、討論が終わってしまえばわだかまりが全くないという文化ができていないと採用できない手法になります。
 3つ目が対話(ダイアログ)によるアプローチです。これは、互いの意見を尊重し、他人の意見を批判しないで受け入れながら、自分の言いたいこと、言うべきことを発言していく方法で、日本では寄り合いと呼ばれていた手法です。ブレーン・ストーミングに近い手法ですが、アイデアを出すことに重点を置くのではなく、互いの気持ちを完全に理解し合うことが主な目的になります。カウンセリングやコーチの手法を会議全体で使うようなイメージで、前田先生の言葉で言うと以前に解説したゼロ・サイクルを回すことになります。
 最後の4つ目が、本質に到達するための裂け目を共創して一緒にそれに飛び込む手法です。
なかなか解説が難しいので、私が体験した具体例の説明をさせていただきます。3月に高知で行った1泊2日の岩戸開きツアーの時でした。初日の夕方、ホテルでセミナーをさせていただきました。20人弱の参加者に、この4つ目のアプローチについて話をしていたのですが、ほとんど言いたいことが伝わって行きませんでした。
 原因は色々あるのですが、参加者の中に1歳の赤ちゃんがいて、私や参加者の皆さんがその子のことが気になって仕方ないことが大きな原因でした。私が、前田先生の心のデトックスのセミナーでは子供が自由に走り回っていて、それでも雰囲気がとてもすばらしいことを思い出して、お母さんに子供を無理やり静かにさせておくのではなく、子供のやりたいように自由にさせてあげることを提案しました。
 会場に合意の雰囲気が形成され、お母さんがホッとして赤ちゃんを放してあげました。そうするととてもうれしそうにキョロキョロしていたのですが、自分の意志が受け入れたことに満足した彼は、次の瞬間お母さんの胸の中に戻ってスヤスヤ眠り始めました。子どもは好奇心の趣くまま自由に行動するという当たり前のことを受け入れた瞬間、大人達が求めていた理想の未来が出現したのです。この小さな貴重な体験を通じて、本質にアプローチするための裂け目を参加者全員で見ることができたのです。
 3つ目や4つ目のアプローチに繰り返しトライすることで、集団で本質に近づいていくことができ、4つ目のアプローチが実現した時の感動や感激は、あるべき理想の未来を共創造するための大きな力になって行きます。
 5月21日のにんげんクラブ関西大会で「寄り合い」の実践をして、参加者全員でこの裂け目を見ることに挑戦したいと思っていますので、ご興味がある方はぜひご参加ください。よろしくお願いいたします。

★にんげんクラブ関西大会についての詳細はコチラ→ http://www.ningenclub.jp/nct/

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Profile:船井 勝仁(ふない かつひと)

1964年 大阪生まれ。1988年 (株)船井総合研究所 入社。1998年 同社 常務取締役。同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。2008年 (株)船井本社 代表取締役社長就任。父・船井幸雄の「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築くことが本来の自分の役割だ」という思いに共鳴して、持ち株会社である同社の代表取締役社長として父をサポートすることを決意した。 著書には、『中堅・中小企業のためのIT化時代の「儲け」の決め手』(船井幸雄らとの共著 2003年 ビジネス社)、『天律の時代が来た! 生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『いま明かされるコトダマの奥義』(2011年1月 新日本文芸協会)などがある。
いま明かされるコトダマの奥義
★船井本社の主宰するにんげんクラブ:http://www.ningenclub.jp/
★船井勝仁.COM:http://www.ilir.co.jp/funai_katsuhito/

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