(写真撮影:泉浩樹)
「天律時代」の到来に向けて
このページは、(株)船井本社社長で「にんげんクラブ」を主催する船井勝仁によるコラムページです。船井勝仁は「これから“天律時代”が来る。そして一人ひとりが“うず”を作っていくことが大事になるだろう」という思いを持っています。それをベースにおいた日々の活動の様子や出会い、伝えたいことなどを語っていきます。
また、「船井幸雄の息子」ではなく、“船井勝仁”の独自性をさらに打ち出していくこともテーマに、これまで父に寄せてきた思いや、「二代目社長」としての方針も語っていきます。
こんにちは。船井勝仁です。今回は、以前私が社長をさせていただいていた(株)船井情報システムズの、西山社長から最近聞いて、少し気になった情報がありますので、それをみなさんにお伝えさせていただきます。
みなさんは中小企業金融円滑化法案、通称モラトリアム法を覚えていらっしゃいますか? 一昨年(平成21年)の12月4日に当時の亀井静香金融担当大臣がリーマンショックの影響を受けて、資金繰りが逼迫している中小企業が年末に向けて倒産することを防ぐために急遽成立させた法律です。
亀井元大臣が当初、債務の返済を法律で一定期間猶予させるモラトリアムを提唱していたので通称モラトリアム法案と呼ばれるようになりました。結局は返済のスケジュールを変更するリ・スケジュール(リスケ)や当面は元本の返済を猶予して利子のみ支払うと言った融資条件の変更に、金融機関ができるだけ応えるという努力義務になりました。
金融庁の5月30日の発表によると、速報値ですが施行日から今年の3月31日までに貸し付け条件等変更を受けた中小企業の案件の件数は158万7,999件にのぼります。銀行がこれだけの条件変更に応じたことで、倒産を防いできたという側面もあれば、安易に貸し出し条件の変更を認めたことはモラルという点で大きな問題を抱えてしまったことになるという側面もあると思います。
この法案は、平成23年3月末で期限が来る時限立法でしたが、延長法案が成立し来年(2012年)3月31日まで期限が延長されました。しかし、それ以降の運用に関してはまだ決まっていないことが多く、昨今の混乱する政治の状況を考えると、何が起こるか分からない状況にあることを認識しておく必要があります。
また、本来の趣旨では「経営計画改善書」の提出が中小企業には求められているのですが、実際に提出している企業数は執行の恩恵を受けている企業数の40%程度に止まっているという声もあるそうで、政治状況にもよりますが、来年の3月末の期限が来た時に経営改善計画書の提出ができていなければ、いわゆる貸し剥がしにあう可能性がささやかれるようになってきました。
この制度の適用を受けている経営者の皆様や財務担当者の方で経営改善計画の策定に関しては、金融機関や商工会議所、商工会等に相談したり、税理士さん等の助けを借りる等早急な対応が求められていることを認識していただければと思います。
船井総研でも、私も船井本社に来る前に関わっていた100%子会社、(株)船井情報システムズが中心になって簡易的に「経営改善計画書」を作成できるツールの提供を行い、そのためのセミナーを8月5日(金)の夕方から東京の船井総研五反田オフィスで無料で行うことにしているそうです。
詳細を載せておきますので、関心のある方はお問い合わせをしてみてください。民主党政権になった、良くも悪くも大きな成果のひとつですが、その継続性が不透明なことをしっかり認識し、お上に頼ることなく、自分の力でしっかり生きていく覚悟が必要なことを思い出させてくれた事例なので、今回はこの件について取り上げさせていただきました。
★(株)船井情報システムズ主催「経営改善計画書の作り方」セミナーの詳細はコチラ
→「経営改善計画書の作り方」セミナーPDF
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1964年 大阪生まれ。1988年 (株)船井総合研究所 入社。1998年 同社 常務取締役。同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。2008年 (株)船井本社 代表取締役社長就任。父・船井幸雄の「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築くことが本来の自分の役割だ」という思いに共鳴して、持ち株会社である同社の代表取締役社長として父をサポートすることを決意した。
著書には、『中堅・中小企業のためのIT化時代の「儲け」の決め手』(船井幸雄らとの共著 2003年 ビジネス社)、『天律の時代が来た! 生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『いま明かされるコトダマの奥義』(2011年1月 新日本文芸協会)などがある。
★船井本社の主宰するにんげんクラブ:http://www.ningenclub.jp/
★船井勝仁.COM:http://www.ilir.co.jp/funai_katsuhito/