(写真撮影:泉浩樹)
「天律時代」の到来に向けて
このページは、(株)船井本社社長で「にんげんクラブ」を主催する船井勝仁によるコラムページです。船井勝仁は「これから“天律時代”が来る。そして一人ひとりが“うず”を作っていくことが大事になるだろう」という思いを持っています。それをベースにおいた日々の活動の様子や出会い、伝えたいことなどを語っていきます。
また、「船井幸雄の息子」ではなく、“船井勝仁”の独自性をさらに打ち出していくこともテーマに、これまで父に寄せてきた思いや、「二代目社長」としての方針も語っていきます。
こんにちは。船井勝仁です。
前回書いたように、船井幸雄と言う人は子供心に見てもすごい人でした。手を上げられたことは一度もありませんので、怖い雷親父というわけではありませんが、とにかくその前に出るととても緊張する存在なのです。お父さんが返ってくるとテレビを消さなければいけないし、静かにしなさいと言われます。船井総研の前身の日本マーケティングセンターという会社を私が小学校に上がる前の年につくったのですが、それ以降は遊んでもらった記憶がほとんどありません。
囲碁や将棋のルールを教えてもらったような気はしますが、手ほどきをしてくれたのは1度だけだったと思います。旅行に連れて行ってもらうのは、父の出張に兼ねて行くのがほとんどで、大阪(正確には兵庫県の宝塚)に住んでいたので、末っ子である妹がある程度大きくなってからは東京に行くのが定番になりました。確か父と一緒に東京で乗った国電(今のJR)の最低料金が30円で、子供料金が半額で国鉄は切り下げだったので10円だった記憶があり、ずいぶん変なことを覚えています。
父は家にいる時もいつも仕事をしていました。何よりも時間を無駄にするのが嫌いなので、例えばご飯の用意ができて呼びに行く時も、父が席に着いたらすぐに「いただきます」と食べられるタイミングで呼びに行く必要がありました。私もそれが当たり前だと思っていたので、結婚した後、ご飯に呼ばれてから食べ始めるまでにしばらく時間がかかることに、とても違和感を覚えたのですが、よく考えればそれほど忙しいわけでもない私がそんな待遇を要求することはおかしなことです。
たまに外にご飯を食べに行っても、注文したものがすぐに出てこないと途端に機嫌が悪くなります。もちろん、子供が何を食べたいか迷っているなんてことはできませんので、あまり考えずに注文するクセがついてしまいました。これも大学生になってデートに行った時に女の子がなかなか注文を決められないことにびっくりしたことがあります。「それで、お父さんに怒られなかった?」と思わず聞いてしまいました。今から考えるととても変ですね。
でも、それだけの要求をするだけの仕事をしていることは子供心によく分かっていました。だから、お父さんの時間を取らないようにするために、最大限の注意を図るようになっていました。これは、船井総研の役員になった後や、船井本社の社長になった後もつい最近までこのマインドで接していたことに気がつきました。だから何か指示が来た時も、とにかくすぐに返事をする事を最優先し、その具体的な指示を深く考えるということができていませんでした。
つい先週のことです。父から会社宛にFAXで緊急の指示がきたという連絡を出張中に秘書からもらいました。とりあえずPDFにしてもらって転送してもらいました。具体的な指示が書いてあるのですが、その背景がよく分かりませんでした。それが金曜日のことだったので、とりあえず週末に連絡をしようと思いました。いままでの私ならとにかくクイックリスポンスをすることを優先して、わけも分からずに電話でとにかく言われた通りにやりますという返事をしていました。
しかし、たまたま週末も予定が入っていた私は、連絡ができずにいたのですが、よく考えると口が痛くて話をするのがつらい父に電話で指示の内容を聞くのは無理があることに気がつきました。こういう時こそ、コミュニケーションが大事だと思い、翌週の早いタイミングで熱海の父を訪ねることにしました。そうしたら、そのFAXの指示の背景がわかり、意図していることが良く分かりました。
畏敬の念が高じて、前に出るだけで、電話をするだけで緊張する関係になっていたのです。この気づきで、本音でコミュニケーションをすると、表面的なものの背景にある本当の意図が分かるという普通の相手なら当たり前にできていることが、父にはできていなかったことが分かりました。やっぱり、父の呪い、恐るべしです。
03/21 | |
03/11 | |
03/01 | |
02/21 | |
02/11 | |
02/01 | |
01/21 | |
01/11 | |
01/01 | |
12/21 | |
12/11 | |
12/01 | |
11/21 | |
11/11 | |
11/01 | |
10/21 | |
10/11 | |
10/01 | |
09/21 | |
09/11 | |
09/01 | |
08/21 | |
08/11 | |
08/01 | |
07/21 | |
07/11 | |
07/01 | |
06/21 | |
06/11 | |
06/01 | |
05/21 | |
05/11 | |
05/01 | |
04/21 | |
04/11 | |
04/01 | |
03/21 | |
03/11 | |
03/01 | |
02/21 | |
02/11 | |
02/01 | |
01/21 | |
01/11 | |
01/01 | |
12/21 | |
12/11 | |
12/01 | |
11/21 | |
11/11 | |
11/01 | |
10/21 | |
10/11 | |
10/01 | |
09/21 | |
09/11 | |
09/01 | |
08/21 | |
08/11 | |
08/01 | |
07/21 | |
07/11 | |
07/01 | |
06/21 | |
06/10 | |
06/01 | |
05/21 | |
05/11 | |
05/01 | |
04/21 | |
04/11 | |
04/01 | |
03/23 | |
03/14 | |
03/11 | |
03/01 | |
02/21 | |
02/11 | |
02/01 | |
01/21 | |
01/11 | |
01/01 |
1964年 大阪生まれ。1988年 (株)船井総合研究所 入社。1998年 同社 常務取締役。同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。2008年 (株)船井本社 代表取締役社長就任。父・船井幸雄の「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築くことが本来の自分の役割だ」という思いに共鳴して、持ち株会社である同社の代表取締役社長として父をサポートすることを決意した。
著書には、『中堅・中小企業のためのIT化時代の「儲け」の決め手』(船井幸雄らとの共著 2003年 ビジネス社)、『天律の時代が来た! 生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『いま明かされるコトダマの奥義』(2011年1月 新日本文芸協会)などがある。
★船井本社の主宰するにんげんクラブ:http://www.ningenclub.jp/
★船井勝仁.COM:http://www.ilir.co.jp/funai_katsuhito/