(写真撮影:泉浩樹)
「天律時代」の到来に向けて
このページは、(株)船井本社社長で「にんげんクラブ」を主催する船井勝仁によるコラムページです。船井勝仁は「これから“天律時代”が来る。そして一人ひとりが“うず”を作っていくことが大事になるだろう」という思いを持っています。それをベースにおいた日々の活動の様子や出会い、伝えたいことなどを語っていきます。
また、「船井幸雄の息子」ではなく、“船井勝仁”の独自性をさらに打ち出していくこともテーマに、これまで父に寄せてきた思いや、「二代目社長」としての方針も語っていきます。
正直に言いますと、ここ最近書き続けてきたお金の話のネタもかなり尽きてきてしまいました。そろそろ別の話題に変えていきたいと思うのですが、金融の話は興味がある人が多いらしく、この「「天律時代」の到来に向けて」のコラムのアクセス数が伸びているということで、編集長からは引き続き金融の話を続けるように指示が来ています。
月に1回は私が読んで参考になった本の紹介をすることになりましたので、これからも勉強を続けながら、月に2回のペースで金融についての話を引き続き書いて行きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
そして、今回の編集長からもらったリクエストが「税金」についてでした。
消費税の増税が話題になっています。消費税増税と原発の再稼働とTPP問題が、これからの日本の行末を決する3大問題であることは、どちらの立場を支持するに関わらず共通認識になっていると言えるのではないかと思っています。私は、明確に原発の再稼働とTPPには反対の立場にあります。
福島の事故の原因は何も解決されていないと思いますし、TPPは、外需主導で日本の経済を活性化させることはこれからはほとんどあり得ないので、アメリカにむざむざと日本市場をかなり強引な手法を使って明け渡すことにしかならないと思っているからです。
前原前外相がGDPに占める割合がたった1.5%の農業のために他の産業を犠牲にしてTPPに参加しないという議論はおかしいと言いましたが、TPPで恩恵を受けると思われる自動車と家電の輸出がGDPに占める割合も2%強にすぎないので、ほとんど同じ理屈を返せることになります。
日本は内需の拡大で経済の活性化を図るしか経済発展をする道はないのです。しかし、デフレ経済が続き、ゼロ金利の状態が十何年も続いている日本の現状を見ていると、資本主義後の金融社会主義とも呼べるような政策の実験を日本でしていると見てもいいのではないかと考えるようになってきました。つまり、日本は内需も外需も拡大しない中で、金銭的なものさしでは割り切れない自己実現という発展を目指して行かなければならないのかもしれないということです。
このように考えると、私は増税に関しては賛成とも反対とも言えない立場にあります。
経済評論家の森木亮先生が10年以上も前からおっしゃっている通り、日本政府の負債依存率はいまやGDPの2倍に迫ろうとしており、常識的にこれを解決していこうと思えば、増税をして収入を増やし、同時に支出も抑えて財政健全化を図らなければならないのは当たり前の理屈です。しかし、デフレで苦しんでいる日本経済の現状を考えると、ここで増税をしてますますデフレの進行を進める政策を取ることの愚かさにも頷いてしまうのです。
増税がどうこうということではなく、税金に対してどう考えればいいかというと、私は上智大学名誉教授である渡部昇一先生の「所得税は一律10%で、相続税はなし」という暴論(?)に賛成です。
これは、税の常識とはまったく違う議論ですが、複雑な税制を引いているために、税理士や税務署の職員、それに多くの金融機関の職員という一番優秀な人たちの労力が税金を安くするためか、税金を少しでも多く徴収するために取られてしまっています。税金をシンプルにすることで彼らの仕事をなくしてしまい、その優秀な能力を生産性がアップするものか、もしくはみんなが幸せに生きるためにはどのような新しい制度を作っていけばいいかを考えるようにし向けていけば、それだけでもすばらしい社会が生まれてくるのではないかと思うからです。
所得税が一律10%なら、だれも税金をごまかそうとしたり、節税をすることに血道を上げることはなくなります。船井総研の株式を父が死んだ後も売りたくないので、そのために父と私は相続税を下げるためにいろいろ努力をしていくことに最近合意しました。そして、様々なそのための具体的な施策を始めています。およそ、こんなことに労力を使うのがもっとも嫌いな父と私でも、父が創業した船井総研のそれほど大きくはない持株割合を守るためには、そんなことを考えざるを得ないという、いまの相続税の仕組みはおかしいと思います。
消費税を引き上げた方がいいかどうかという目先の小さな話よりも、もっと根本的な税金の話を書いていきたいと思います。でも、取りあえずタイトルにさせていただいた熊谷亮丸著『消費税が日本を救う』(日経プレミアシリーズ新書)と三橋貴明著『増税のウソ』(青春新書)が、私が読んだ本の中では、消費税の増税に賛成派と反対派のもっともまとまった意見を紹介していると思いました。それぞれの言い分を分析してもあまり意味がないので、ご自分で読んでいただいて、自分独自の意見を作っていただければと思います。
ほとんど同様の論点を別の視点で紹介している点が多く、賛成派も反対派も冷静に互いの言い分を聞き合えば、一緒になってすばらしい日本を作るにはどうすればいいかが考えられるのになあというのが、私の両書を読んでの素直な感想です。
『失敗から学ぶ』 |
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1964年 大阪生まれ。1988年 (株)船井総合研究所 入社。1998年 同社 常務取締役。同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。2008年 (株)船井本社 代表取締役社長就任。父・船井幸雄の「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築くことが本来の自分の役割だ」という思いに共鳴して、持ち株会社である同社の代表取締役社長として父をサポートすることを決意した。
著書には、『中堅・中小企業のためのIT化時代の「儲け」の決め手』(船井幸雄らとの共著 2003年 ビジネス社)、『天律の時代が来た! 生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『いま明かされるコトダマの奥義』(2011年1月 新日本文芸協会) 、『未来から考える新しい生き方』(2011年9月 海竜社)、『失敗から学ぶ』(2012年7月海竜社)などがある。
★にんげんクラブ:http://www.ningenclub.jp/
★船井勝仁.COM:http://www.ilir.co.jp/funai_katsuhito/