(写真撮影:泉浩樹)
「天律時代」の到来に向けて
このページは、(株)船井本社社長で「にんげんクラブ」を主催する船井勝仁によるコラムページです。船井勝仁は「これから“天律時代”が来る。そして一人ひとりが“うず”を作っていくことが大事になるだろう」という思いを持っています。それをベースにおいた日々の活動の様子や出会い、伝えたいことなどを語っていきます。
また、「船井幸雄の息子」ではなく、“船井勝仁”の独自性をさらに打ち出していくこともテーマに、これまで父に寄せてきた思いや、「二代目社長」としての方針も語っていきます。
テレビドラマにもなりましたが、青木雄二さんの『ナニワ金融道』というマンガがあります。バブル崩壊直後の1990年から連載が開始されたもので、総売上部数が1000万部を越えたというヒット作です。私は2000年頃にこのマンガの存在を知り、いつもベッドの横の棚に積んでおいて、何度も読み返していました。もちろん、マンガなので少し酔っぱらった時でも読めるという気軽さもありましたが、このコラムで最近書いているお金の仕組みの最前線をもっとも端的に教えてくれる教科書だと思っていたからです。
1997年に船井キャピタルというベンチャーキャピタル(VC)会社の社長になりました。VCはベンチャー企業に投資をして、投資先の会社が株式市場に上場してくれることによって、キャピタルゲイン(売却益)を得る仕事です。投資したベンチャー企業が倒産してしまうと投資金額は戻ってこないのですが、上手くいって上場してくれた場合は、投資金額が何十倍になることもあり、それこそハイリスク・ハイリターンを狙う投資業です。
船井キャピタルは船井総研が1988年に上場したときのノウハウを活かすべく、1990年に設立した会社です。都市銀行のニューヨーク支店でトレーニー(研修生)をさせていただいた経験などが買われ、まだ30歳そこそこだった私が社長に就任させていただいたのです。VCをするためには投資をしなければなりませんし、投資をするためのお金を集めてファンドを組成しなければなりません。最初の仕事が、ファンドの組成業務、簡単に言うとファンド資金を募集することでした。
1997年というと、三洋証券や北海道拓殖銀行、それに山一証券がつぶれるという金融恐慌のまっただ中でしたし、それ以前の船井キャピタルのファンドの成績が今一つでしたので、大変苦労しました。最後はある保険会社から出資をいただき、なんとかファンドができたのですが、その課程でいろいろな金融会社にファンドへの出資を頼みに営業して回りました。一番、印象に残っているのは、ある消費者金融会社のオーナーのところに営業に行ったときのことです。
そのオーナーは有名国立大学の経済学部を出ているというかなりのインテリだったのですが、私の顔をまじまじと見て、「やめとけ、金貸しはなあ、泣いている子供のミルクを取り上げてくる商売や。おまえみたいな、甘い顔してる奴がやっても絶対成功せん」と、言われたのです。当時の私は消費者金融とVCは同じ金融業でもまったく違うものと思っていたので、戸惑ってしまったのですが、実はまったくそのオーナーの言う通りでした。
ここでは、詳しくは書きませんが、『ナニワ金融道』に出てくる悪徳金融(街金と言います)でも、VCでもメガバンクでも、ニューヨークの投資銀行でもやっていることは基本的には同じで、「泣いている子供のミルクを取り上げてくる」、つまり何があっても貸した(投資した)お金を回収してくることが、金融業の成功のポイントなのです。これを一番わかりやすく買いてある本が『ナニワの金融道』だったのです。
資本主義の世の中にあって、その血液であるお金を商売にする金融業は非情になりきることができなければ絶対に上手く行かない商売なのです。だから、相手が銀行であっても経営者たるもの、絶対に気を許してはいけませんし、個人であってもお金を借りたり投資をしたりするときは、金融業の人が言うことを鵜呑みにせずに、自分で考え、自分で意志決定し、自己責任で行動することが必要になるのです。
ニューヨークでトレーニーをしているときに、銀行業は徹底的な性悪説に立っており、仕事の90%以上は行内を説得するために費やされていたことにびっくりしました。船井総研や当時のメインのお客様である小売業では逆に性善説に基づいて行動していたので、社内向けの仕事はほとんどなく、お客様に対しての業務が90%以上をしめていました。それほど、金融業は厳しい商売なのです。
『ナニワの金融道』が教えてくれるもうひとつの大きな命題は、(街金から)お金を借りる人は絶対に幸福になれないということと、豊かな暮らしをしようと思えば、マンガの主人公のようにお金を貸す側に回らなければならないということです。でも、結局どちらも幸せにならないのですから、お金との距離感を正しく保てるような新たな経済の仕組みが必要になるのだというのが、ここしばらく続けようと思っているお金に関するコラムで皆さんにお伝えしたいことなのです。お金に使われるのではなく、お金を上手く使いこなすようにならないと、絶対に幸せにはなれないのです。
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1964年 大阪生まれ。1988年 (株)船井総合研究所 入社。1998年 同社 常務取締役。同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。2008年 (株)船井本社 代表取締役社長就任。父・船井幸雄の「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築くことが本来の自分の役割だ」という思いに共鳴して、持ち株会社である同社の代表取締役社長として父をサポートすることを決意した。
著書には、『中堅・中小企業のためのIT化時代の「儲け」の決め手』(船井幸雄らとの共著 2003年 ビジネス社)、『天律の時代が来た! 生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『いま明かされるコトダマの奥義』(2011年1月 新日本文芸協会) 、『未来から考える新しい生き方』(2011年9月 海竜社)などがある。
★船井本社の主宰するにんげんクラブ:http://www.ningenclub.jp/
★船井勝仁.COM:http://www.ilir.co.jp/funai_katsuhito/