(写真撮影:泉浩樹)
「天律時代」の到来に向けて
このページは、(株)船井本社社長で「にんげんクラブ」を主催する船井勝仁によるコラムページです。船井勝仁は「これから“天律時代”が来る。そして一人ひとりが“うず”を作っていくことが大事になるだろう」という思いを持っています。それをベースにおいた日々の活動の様子や出会い、伝えたいことなどを語っていきます。
また、「船井幸雄の息子」ではなく、“船井勝仁”の独自性をさらに打ち出していくこともテーマに、これまで父に寄せてきた思いや、「二代目社長」としての方針も語っていきます。
心配されていたギリシャの総選挙は緊縮政策を継続して、ヨーロッパ諸国からの支援を受けながらユーロに留まろうという勢力が過半数を取ったということで、これを執筆している18日(月)段階では、市場にはひとまず安心感が流れていて、ユーロ高、株高の局面になりました。ただ、日経新聞のサイトなどをみていますと、専門家の見方としては、これで景気やマーケットの本格回復につながるわけではないというコメントが主流で掲載されているようで、景気の先行きは予断を許さないという状況は変わっていないと思います。
落合莞爾著『金融ワンワールド』(成甲書房)という本を読んで、今回のギリシャのニュースもそうですが、目の前のニュースに一喜一憂するのではなく、もう少し大局的な物の見方をしなければ、いま現実に何が起こっているのかが分からない様な気がしてきました。
矛盾した言い方になりますが、ユーロから離脱するかどうかという中途半端な問題ではなく、現実にギリシャでは年金生活者のおじいさんや公務員をクビになった若者が抗議の自殺をしていることが現実で、それとユーロ離脱問題を同じ目線で追うことは間違っているように感じています。なぜなら、普通であれば世界を動かしている勢力にとって都合の悪いことを絶対に報道しない日本のマスコミがギリシャの庶民が苦境に陥っていて自殺をしているというニュースを一生懸命報道している理由を考えるべきだと思うからです。
逆に、大きな流れでいうと、詐欺のように銀行(金融機関)が利子を取って、自分たちだけが儲かるというシステムが機能しなくなってきました。だから金融を握っている勢力は、まず日本で1999年からゼロ金利政策を実施して、その問題点を分析してアメリカでも2008年のリーマン・ショック以降、ゼロ金利政策を続けています。これも、だからソブリンリスク(国家破綻の危機)が大きくなっているので、やがて国債が暴落し、金融破綻がやってくるという単純な論旨に結びつけるのは間違っているような気がします。
世界の金融勢力はゼロ金利政策を恒久的に導入しようとしているのではないでしょうか。
そして、「泣いている赤ん坊からミルクを取り上げてくる」というナニワ金融道の世界(※第51回当コラム参照)を終わらせようとしているのではないかとも思えます。泣いている赤ん坊のミルクを取り上げなくてもいいようにするには借金をチャラにする、つまり徳政令を出すしかありません。そして、実際に日本では消費者金融に対して法定金利以上の過払金を返還させる命令を出すという画期的な最高裁判決が2006年にあり、これが流れを変える大きなきっかけになりました。
ナニワ金融道の世界では払った利子を取り戻すことなどありえず、実際に大手の消費者金融や商工ローンが次々に倒産に追い込まれています。これは、一種の徳政令の準備というか実験をしているという風に見ることもできると思います。そして、世界的な徳政令の第二弾がギリシャ危機に端を発するユーロ危機の解決なのではないでしょうか。紆余曲折は経るでしょうが、抗議自殺しているおじいさんの姿を見せつけられて、それでも「借りた金は返せ」と世界の世論は強く迫ることができるのでしょうか。
金融勢力が何を考えているのか、いまの時点で私には分かりませんが、ゼロ金利政策が続き、お金を貸したり投資したりするという単純な金融業に対しては、街金の高利貸しから、ギリシャを含めたPIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)諸国などのソブリンに投資する巨大金融機関に至るまで儲からないようにするぞというサインは確実に出している気はしてきました。
まずは、先週の読売新聞の記事を引用します。景気は回復しているのに、ゼロ金利政策を続けるというのは、一昔前の教科書なら間違った政策です。そういう政策を堂々と日銀の政策委員が全員一致で認めるということの意味を考えていきたいと思います。
(引用開始)
「ゼロ金利」政策を維持……日銀が決定会合
日本銀行は15日の金融政策決定会合で、追加金融緩和を見送り、金融政策の現状維持を政策委員7人の全員一致で決めた。
国債や社債などを買い入れる基金(70兆円)の増額などは行わず、政策金利も「年0〜0.1%程度」に据え置き、実質的なゼロ金利政策を維持する。
堅調な国内経済を踏まえ、現状の金融緩和の効果を浸透させる。ユーロ圏離脱問題を抱えるギリシャの再選挙を17日に控え、欧州の財政・金融危機の動向を見極める必要もあると判断したとみられる。
会合後に発表した声明では、景気の現状について「復興関連需要などから国内需要が堅調に推移するもとで、緩やかに持ち直しつつある」とし、前月の判断を上方修正した。
(2012年6月15日12時44分 読売新聞)
(引用終了)
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1964年 大阪生まれ。1988年 (株)船井総合研究所 入社。1998年 同社 常務取締役。同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。2008年 (株)船井本社 代表取締役社長就任。父・船井幸雄の「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築くことが本来の自分の役割だ」という思いに共鳴して、持ち株会社である同社の代表取締役社長として父をサポートすることを決意した。
著書には、『中堅・中小企業のためのIT化時代の「儲け」の決め手』(船井幸雄らとの共著 2003年 ビジネス社)、『天律の時代が来た! 生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『いま明かされるコトダマの奥義』(2011年1月 新日本文芸協会) 、『未来から考える新しい生き方』(2011年9月 海竜社)などがある。
★船井本社の主宰するにんげんクラブ:http://www.ningenclub.jp/
★船井勝仁.COM:http://www.ilir.co.jp/funai_katsuhito/