img

船井幸雄注目の “本物”に携わる人たち

このページでは、舩井幸雄が注目していた、医療、経営、農業、未来予測、占星術などあらゆる分野で活躍する“本物”と言っていい方々を紹介します。それぞれの方に毎月1回、3回ずつコラムを書いていただき、順番にいろいろな方を紹介させていただきます。

2013.04.10(第28回)
★今回の執筆者★
綾の自然と文化を考える会代表 他 
郷田 美紀子さん(1回目)
(郷田さんの詳しいプロフィールはページ下にあります。)
綾からの発信 〜その1 本ものの定義〜

 船井先生、ありがとうございます。私は、「本もの」という言葉をきくと、その定義は、先生もご存知の、亡き父の言葉の中にあると思うのです。

 「本ものとは人をだまさない。自分中心でない。そして地球の環境を汚さないもののことである。我々は本ものの町をめざそうでないか。」
 これはおよそ50年前に、地方の小さな町の町づくりの基軸として、当時、その町の町長であった父が住民に語った言葉です。町の名は「綾」といいます。
 宮崎県のほぼ中央に位置し、宮崎市から九州中央山地に向かっておよそ20kmの、山あいにある小さな町です。日本一の規模で残されるカシ、シイ等の照葉樹の山々から豊かな恵みをうけている美しい町です。
 この町の数十年にわたる物語が、わたしに確固とした本ものの定義を教えてくれたと思います。それは自然環境を守るための命がけの戦いの日々でした。そしてまた、小さく弱い地方の町を守り抜く首長としての愛郷心の日々でもあったと思います。
 父はその生き方をとおして、わたしにも本ものをめざして歩く道を教えてくれました。
 昭和41年、父、郷田 實(ごうだ みのる)は、その当時、貧しく夜逃げの町といわれていた綾の町長に選ばれました。静かな山あいの町が、どうしてそこまで貧困になったかといいますと、町の総面積の80%を占める山林、その山林のほとんどが国有林で、そこで働く山林労働の方の多い町でしたが、その人達の山仕事が、戦後の機械化で激減していったのがひとつの理由です。
 もうひとつは、綾を囲むように流れる綾北川、南川という二つの暴れ川の公共事業終了とともに、ふくれあがっていた人口が半減し、商店が次々につぶれていったことです。

 どこを見ても、綾を立て直す道はありませんでした。何もない綾に唯一あるもの。
 それは壮大な自然林の山でした。綾にはその奥山から切り出した九州一の貯木場がありました。この森を基に、木工の町づくりでもしようかと考えていた矢先、営林署の署長が、あの山を全伐採すると報告に来られたのです。
 その時のことを書いた父の文章が残っています。

                    *   *   *   *   *

 村づくりの道標として「照葉樹林都市・綾」「手づくりの里」「有機生態系農業の町」を掲げて、「本ものをつくる町」をすすめているが、これらをこの日本でいち早く取り組むようになったのは何故か? どうしてそんな何十年も前に、そんなことを唱えることになったのか? 
 こんな質問をよく受けます。私が、自然とか自然生態系とかに頭を突っ込んでしまったのは昭和41年9月頃のことであったろう。綾営林署長が役場に来られた。町長に就任して間もない頃だった。署長は常になく丁重に“あの山”をある商事会社の山と交換し、伐採することになったので承知して貰いたいと言ってきた。
 “あの山”とは、照葉樹の大自然林であり、最も人家に近い、里山的存在のものであった。私は断固としてこれに賛成できないことを決意した。
                         (中略)
 あの山を残すのは実に孤軍奮闘だった。その頃、世を挙げて所得倍増、近代化、合理化、消費は美徳と謳歌していた。山の神祭り、十五夜祭りなど何もかもが合理化されていった。町にあった多くの指物大工さんも姿を消してしまった。
 味噌、醤油、籠、箒(ほうき)はおろか、おやつに至るまでお店やさん任せとなった。
 いつの間にか家庭生活もすっかり変り果てている。テレビ、電話、ピカピカ光る家財道具が並んでいる。
 農業基本法の教えはというと、合理化された主幹作物中心主義(ひとつの畑でひとつの作物しか作らない)で、農家の主婦が野菜類を購入するありさま、あれよあれよという間に、すっかり近代病に罹ってしまった。

                    *   *   *   *   *


 そういう世の中の状況で、杉やひのき(当時はすぐに使えるこれらの木が重宝されていた)でない、当時は誰もが、何の役にもたたない自然林を残すなんてどういうことだ、と思っていたのです。国はもちろん、まわりの反応はとんでもなく父に反発的だったのです。
 しかも、仕事が少なくなった綾の人々にとって、国の山林伐採事業は、大きな工場が誘致されるようなものでしたから、それに反対する父がどのように憎まれたかは私にも想像がつきます。家には斧をもって押しかける人、石を投げる人、ガラスを割る人がおしかけました。

「それは、町長である自分が誰よりも解っていることだった。しかし、森林伐採の仕事は続いて二年。その後、残るのは、はげ山だけではないか。それよりも、あの山を残して、あの山を宝に町づくりをするべきだと考えた。」

 あの山を残そう、そして本ものをめざす町づくりをしよう。この小さな町が生き残るためには、本ものであり続けるしか道はない。父の決意は固かった。時代の流れに逆らった綾の町づくりは、父の孤軍奮闘の中に始まったのです。

 この季節、綾の森を歩くと、若葉が繁り、もくもくとまるでブロッコリーのようです。それが春の優しい陽ざしにキラキラと光ります。照葉樹とよばれる所以(ゆえん)です。
 たくさんの木々の花の香りがします。虫が生き、小鳥たちも、動物たちも棲んでいる森です。豊かな森が美しい水と空気を産んでくれます。この水が、やがて海とつながり、そこに豊かな海藻の森が育つのです。海のいのちの循環が始まります。
空を見上げると、綾の森の象徴といわれるクマタカがゆっくりと大きく円を描いて飛んでいます。
 私は森に行き、その姿を見かけると、父に会えた気持ちになります。

 「ありがとう。あなたがあの時、命をかけてこの森を守ってくれたから、今の綾があります。」
 父はこの森を守るために、自然に関する様々を学び、自然の摂理の多くを知っていきました。その理念に沿って、本ものの町づくりをひとつひとつ大切に、一徹に、行っていきました。

「小さな町が生き残るためにできること
それは、本ものであり続けること。」


 わたしが父に学んだことです。

Profile:郷田 美紀子(ごうだ みきこ)

郷田 美紀子さん
綾の自然と文化を考える会代表
綾の森を世界遺産にする会代表
まちづくりコーディネーター・薬剤師・百姓

宮崎県生まれ。薬剤師。1993年長男の希望を機に農業を始める。1997年薬膳茶房オーガニックごうだ開店。
1998年綾の自然と文化を考える会代表。2000年から草や虫を敵としない「自然農」を実践する賢治の学校・綾自然農生活実践場「食養講座」の講師を8年務める。2003年綾の自然を守る運動の流れから綾の森を世界遺産にする会代表となる。著書『結いの心―子孫に遺す町づくりへの挑戦』評言社(2005年)は父・郷田實さんが他界された後、美紀子さんが加筆し復刊された。
バックナンバー
2017.04.10:出会いと気づき (伊藤 好則(いとう よしのり))
2017.03.10:光冷暖への歩み6 (二枝 たかはる(ふたえだ たかはる))
2017.02.10:光冷暖への歩み5 (二枝 たかはる(ふたえだ たかはる))
2017.01.10:光冷暖への歩み4 (二枝 たかはる(ふたえだ たかはる))
2016.12.10:光冷暖への歩み3 (二枝 たかはる(ふたえだ たかはる))
2016.11.10:光冷暖への歩み2 (二枝 たかはる(ふたえだ たかはる))
2016.10.10:光冷暖への歩み (二枝 たかはる(ふたえだ たかはる))
2016.09.10:老いと死を意識して“いまを生きる力”を最大限に発揮する!――いのちの管理者であるあなたこそ人生の主役 (篠原 佳年(しのはら よしとし))
2016.08.10:生死同源 (篠原 佳年(しのはら よしとし))
2016.07.10:レット・イット・ゴー(あるがままに) (篠原 佳年(しのはら よしとし))
2016.06.10:「イメージパワー」で世界を変える! (山岡 尚樹(やまおか なおき))
2016.05.10:「気」で潜在脳力を引き出す! (山岡 尚樹(やまおか なおき))
2016.04.10:「音」で右脳を目覚めさせる! (山岡 尚樹(やまおか なおき))
2016.03.10:新生地球を創るのは私たち (山内 尚子(やまうち なおこ))
2016.02.10:新生地球を生きるためのクリーニング (山内 尚子(やまうち なおこ))
2016.01.10:新生地球を楽しくスタートするために (山内 尚子(やまうち なおこ))
2015.12.10:未来の光エネルギー (末廣 淳郎(すえひろ じゅんろう))
2015.11.10:『電磁波、農業、音響への応用』について (末廣 淳郎(すえひろ じゅんろう))
2015.10.10:次元の高い波動エネルギーの原理原則の一つ 〜『バランスコントロール』について〜 (末廣 淳郎(すえひろ じゅんろう))
2015.09.10:Enex商品総仕上げ(ナノ) (大畠 昌幸(おおはた まさゆき))
2015.08.10:舩井幸雄先生との出逢い (大畠 昌幸(おおはた まさゆき))
2015.07.10:天然鉱石をEnex特殊加工 (大畠 昌幸(おおはた まさゆき))
2015.06.10:大いなる自己が言う「現在の地球の現状」 (天野 聖子(あまの せいこ))
2015.05.10:大いなる自己との対話で学んだこと (天野 聖子(あまの せいこ))
2015.04.10:本物を求めて… (天野 聖子(あまの せいこ))
2015.03.10:“本物”のテンポは人生を変える (片岡 由季(かたおか ゆき))
2015.02.10:“本物”を創りだすテンポ (片岡 由季(かたおか ゆき))
2015.01.10:本物だけが持つテンポ (片岡 由季(かたおか ゆき))
2014.12.10:つながりを知る (政木 和也(まさき かずや))
2014.11.10:明日を知る (政木 和也(まさき かずや))
2014.10.10:自分を知る (政木 和也(まさき かずや))
2014.09.10:人生を支えてくれた、思い、知恵、感情、夢。 (近藤 和子(こんどう かずこ))
2014.08.10:元気な体づくりは、電気信号から (近藤 和子(こんどう かずこ))
2014.07.10:サクラが科学の常識を変えた (近藤 和子(こんどう かずこ))
2014.06.10:ダイエットの新常識と、脳の活性化で人生は充実したものとなる (龍見 昇(たつみ のぼる))
2014.05.10:体が若返ると病気は自然に治る。 (龍見 昇(たつみ のぼる))
2014.04.10:細胞を元気にすれば、体のトラブルの9割は改善する (龍見 昇(たつみ のぼる))
2014.03.10:徒然物語 シメククリの一話 (岡田 多母(おかだ たも))
2014.02.10:徒然物語 ツヅキの一話 (岡田 多母(おかだ たも))
2014.01.10:徒然物語 ハジメの一話 (岡田 多母(おかだ たも))
2013.12.10:カルシウム不足解消こそ健康への近道 (鹿本 剛(しかもと つよし))
2013.11.10:カルシウムは食べるように摂るのが理想 (鹿本 剛(しかもと つよし))
2013.10.10:2500万年前から現代人への贈り物 〜真空カルシウム〜 (鹿本 剛(しかもと つよし))
2013.09.10:カリカから、本物を学ぶ 〜本物を知ることで、人は・・・正直になれる (今尾 充子(いまお みつこ))
2013.08.10:科学的根拠を追求することで、“本物”とは何かを知る (今尾 充子(いまお みつこ))
2013.07.10:野性のパパイアから、本物を知る (今尾 充子(いまお みつこ))
2013.06.10:綾からの発信 〜その3 母としての一筋の道〜 (郷田 美紀子(ごうだ みきこ))
2013.05.10:綾からの発信 〜その2 本ものへの道のり〜 (郷田 美紀子(ごうだ みきこ))
2013.04.10:綾からの発信 〜その1 本ものの定義〜 (郷田 美紀子(ごうだ みきこ))
2013.03.10:世界経済はなぜ不安定化したのか (力石 幸一(ちからいし こういち))
2013.02.10:500年のサイクルで世界を見てみる (力石 幸一(ちからいし こういち))
2013.01.10:情報とメディアの切っても切れない関係 (力石 幸一(ちからいし こういち))
2012.12.10:地球生態系の循環を考慮した新しい社会構想を考える (木内 鶴彦(きうち つるひこ))
2012.11.10:現在の社会構造 (木内 鶴彦(きうち つるひこ))
2012.10.10:地球生態系の中の人類 (木内 鶴彦(きうち つるひこ))
2012.09.10:触ればわかる ― 触診 (森 美智代(もり みちよ))
2012.08.10:スピリチュアル気功 (森 美智代(もり みちよ))
2012.07.10:少食は世界を1つに、地球を天国にする (森 美智代(もり みちよ))
2012.06.10:すべては心のウチに (近藤 洋一(こんどう よういち))
2012.05.10:体の中の森 (近藤 洋一(こんどう よういち))
2012.04.10:森林王国への道 (近藤 洋一(こんどう よういち))
2012.03.10:日本が誇る「メタマテリアル」技術! (清水 美裕(しみず よしひろ))
2012.02.10:過去は変わると知っていますか? (清水 美裕(しみず よしひろ))
2012.01.10:22世紀へ続く科学を求めて (清水 美裕(しみず よしひろ))
2011.12.10:医療における死生観 (池川 明(いけがわ あきら))
2011.11.10:胎内記憶 (池川 明(いけがわ あきら))
2011.10.10:赤ちゃんと会話しながらお産する(池川 明(いけがわ あきら))
2011.09.16:念ずれば花ひらく 〜「花ひらくまで念ずる」〜(平良 和枝(たいら かずえ))
2011.08.12:外と内の世界をつなぐ大切な“お口”〜KAZUデンタルのお口の中は小宇宙〜(平良 和枝(たいら かずえ))
2011.07.10:〜はじめまして〜(平良 和枝(たいら かずえ))
2011.06.10 :EMによる原子力発電所における高濃度放射能汚染対策と使用済燃料の高度利用の可能性について
〜放射能対策に関するEM(有用微生物群)の可能性B〜(比嘉 照夫(ひが てるお))

2011.05.10:EMによる地域全体の放射能汚染対策
〜放射能対策に関するEM(有用微生物群)の可能性A〜(比嘉 照夫(ひが てるお))

2011.04.11:EMによる被曝対策
〜放射能対策に関するEM(有用微生物群)の可能性〜(比嘉 照夫(ひが てるお))

2011.03.10:発明と愛は脳が喜ぶ(矢山 利彦(ややま としひこ))
2011.02.10:船井理論は頭をよくする(矢山 利彦(ややま としひこ))
2011.01.01:脳、気功、武道、クオンタムシフト(矢山 利彦(ややま としひこ))
51コラボセミナー メールマガジン登録 舩井メールクラブ 佐野51.com 舩井幸雄のツイッター