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船井幸雄注目の “本物”に携わる人たち

このページでは、舩井幸雄が注目していた、医療、経営、農業、未来予測、占星術などあらゆる分野で活躍する“本物”と言っていい方々を紹介します。それぞれの方に毎月1回、3回ずつコラムを書いていただき、順番にいろいろな方を紹介させていただきます。

2013.05.10(第29回)
★今回の執筆者★
綾の自然と文化を考える会代表 他 
郷田 美紀子さん(2回目)
(郷田さんの詳しいプロフィールはページ下にあります。)
綾からの発信 〜その2 本ものへの道のり〜

 船井先生、今の時代は、どうも言葉だけが先行しているように思えてなりません。絵にかいたように理想を唱えることは誰にでも簡単に出来ます。しかし、それに至るまでのそれこそ血のにじむ努力が出来ていない。こつこつと寡黙に働く日本人の姿が少なくなりました。
 「本もの」とか「こだわり」とかいう言葉も長い間、日本人の心の奥に眠っていました。
 戦後の消費、浪費こそ美徳だという考えが、その土壌を消したのです。そして、最近になり、本ものであることが求められるようになりました。やっと、そういう時代がやってきたのは喜ばしいことです。しかし、突然に本ものを豪語する人達がふえました。限りなく本ものに近い偽ものもあるように思います。

 私は、およそ半世紀前に、“本もの”とは、地球の環境を汚さず、人を騙さないもののことだと云えた父を、今、心から尊敬します。そう断言できるには、どれ程の時間と労力を要したかを知っているからです。
 前回は、高度経済成長の時代に命がけで自然の山を守りぬき、今、その山は日本一の広さで残る貴重な照葉樹の山として国際的にも評価されるようになった話をしました。

 今回は、我が国で初めて、綾の町が「有機自然生態系農業(略・有機農業)の町」として進むことになった経緯(いきさつ)と取り組みをお話ししたいと思います。
 父は、国を相手に、山を守り残す運動を成功させるために、自然の姿、土のこと、水を通し森から海へと様々ないのちの循環があること等を独学で学んでいましたから、人間優位ではなく、自然本来の摂理を大切にした、あるべき農の姿は父の心の中にありました。
 理念にそった農業こそが本ものの野菜づくりにつながるという信念を持っていたのです。しかし、世の中は機械化、除草剤をはじめとする様々な農薬、化学肥料が広まって、農家は肉体的にやっとラクになったと思う時代でした。 
 私もその後の農業体験(自然農)で、機械や化学肥料、農薬を使えば農業労働はどんなに簡単になるか理解できます。しかし、それは目先のことを短いスパンでみた考えです。
 農業や化学肥料を繰り返すと、やがて地力が落ち、さらに多くの農薬、化学肥料が必要になり、また、よりラクであるためにさらなる機械を投入し、結果的に農家は多大な借金に悩まされることになるのです。
 しかし当時は、ラクな農業方法に一息ついている農家の人にとって、父が提案する、自然の生態系に沿ったやり方で地力をつける農業など受け入れられるはずはありません。父の考えは綾のほとんどの農家の人に疎まれました。
 しかし、父は、本ものの野菜でしか人の体は健康にならない。やがて必ず健康を求める時代がくる。本ものが求められる時代が必ずくる。その時に本ものの野菜をすぐに提供できるようにと、半ば強引に有機農業の町づくりを押しすすめました。
 「町長、“本もの”ばっかり言うが、一体、その“本もの”とは何か。偽ものとどう違うのか?」
 町民にそう揶揄された時に父が答えたのが、
「“本もの”とは、人を騙さず、自分中心でなく、地球の環境を汚さずに作ったもののことだ」でした。
 「自分は少々苦労してでも、相手の立場に立ってもの作りをする。それがこれから求められるもの作りだ。」
 日本人の中にあった、あたり前の考えが、経済優先、合理性中心の考えで崩されそうになる時代に、父が云った言葉は、当時には時代錯誤であったかも知れません。しかし、この頃、手にする本や、学者先生からお聞きする話の中に、50年前の父の言葉と重なることが多々あります。自然の摂理に沿った真実の言葉はどれ程の時を経ても変わらず、色あせず、いぶし銀のように光っているのだと思います。

 さて、有機(自然生態系)農業の町をめざす綾が、まず取り組んだのは、まだ我国に手本のなかった土壌認証制度と、それを支える行政の条例づくりでした。この条例を作るだけに十年の歳月がかかりました。また、土作りの後押しとして、生ゴミや家畜、家庭の糞尿による自給肥料供給施設をつくりました。どれも国に前例のないことであり、どれも自然を手本にして行ったことでした。先日、当時の資料をみました。驚くことに、町内の全域の土を徹底的に調べ、土壌の状態を色分けし、その土地毎に細やかな土づくりの指導を行っていました。そして金、銀、銅の有機農産物のグレードを作ったのです。
 金は、化学肥料、農薬を三年以上使用しないで栽培したもの。銀は、二年間、慣行農業を80%減らしたもの。銅は、70%(ただし、除草剤はいずれの場合も使用しない)。
 このように、生産者が正直に消費者と向き合う姿勢は信頼関係を作っていく上でとても大切だと思います。
 一方で、なかなか十分な野菜が作れない農家には町が、最低価格を補償し、確実に綾が有機農業の町として定着できるように行政は手助けを惜しみませんでした。
 また、販売ルートを作るために、県内外のデパート、マーケットはもちろん、都会の市場、グリーンコープ、あらゆるところを開拓していきました。時にはテントで寝たこともあると当時をなつかしげに旧職員の方が言っておられました。今や、引く手あまたの綾ブランドの野菜ですが、私の子供をはじめ、綾のほとんどの人が、こんな昔話、苦労話は知りません。
 父を失って久しい綾で、私が強く思うことは、本ものであり続けることの難しさです。
 本ものであり続けるためには執拗なまでの本ものへの「こだわり」が求められます。
 このこだわりの大きな要素は「理念」だろうと思います。哲学とか信仰に近いものです。
 「理念」は深く掘れば、どんな世界とも、どんな時代ともつながります。本ものとは不変のものだと思います。
 こう考えると大企業といわれるところは別として、もしかしたら本ものは小さな現場で芽ばえ育つものかも知れません。大ざっぱな広い世界でより、ひとつひとつを大切にして、心配りが行き届く、小さな深い世界で生まれるものではないかと思います。
 そして、大切に真剣に取り組み続けた結果、それを感じとれた他者から評価を受けるのが「本もの」と言われるものでしょう。
 私は、学生時代を除くほとんどを、綾で生きてきました。そこで父や母や祖母を通してみてきた世界が、私の知る実学の真理です。私は今、65才。今までも、そしてこれからも、私の後ろ姿で見せてきたものが私の子供の知る「何か」でしょう。それが何かは、私の生き様を通して、後に解ることと思います。ただ日々、母として、薬剤師として、何より人として真剣に生きたいと思っています。

Profile:郷田 美紀子(ごうだ みきこ)

郷田 美紀子さん
綾の自然と文化を考える会代表
綾の森を世界遺産にする会代表
まちづくりコーディネーター・薬剤師・百姓

宮崎県生まれ。薬剤師。1993年長男の希望を機に農業を始める。1997年薬膳茶房オーガニックごうだ開店。
1998年綾の自然と文化を考える会代表。2000年から草や虫を敵としない「自然農」を実践する賢治の学校・綾自然農生活実践場「食養講座」の講師を8年務める。2003年綾の自然を守る運動の流れから綾の森を世界遺産にする会代表となる。著書『結いの心―子孫に遺す町づくりへの挑戦』評言社(2005年)は父・郷田實さんが他界された後、美紀子さんが加筆し復刊された。
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