スピリチュアル・エナジー-ほおじろえいいち氏-
このページは、科学ジャーナリストの
ほおじろ えいいち氏によるコラムページです。
ほおじろ氏は、先端科学とスピリチュアリティの統合を目指した内容の執筆をされています。
先日、縁があって的中率日本一とも評されている易の先生のお話を聞く機会がありました。博覧強記のその先生が、石田梅岩の『都鄙(とひ)問答』にいいことが書いてあるというので、さっそく岩波文庫から出ているその薄い本を買ってみました。ところが江戸時代中期に書かれた日本語なので、理系出身の私にはとても読みづらいのです。そこでインターネットという文明利器の助けをかりながら、ようやくその要旨を理解することができました。
梅岩の教えは「石門心学」と呼ばれ、「士農工商」の封建社会にあって、広く庶民に「商い」の基本を説いたもので、儒教や仏教、日本古来の神道の思想を取り入れたものです。その真髄は、「われ(当方)が儲かり、さき(相手)が損をするというのは本当の商いではない」ということにつきるようです。また、お客様に喜んで納得して買ってもらおうとする心を持つこと。そして、商品には常に心を込めて気を配り、売買すること。そうすれば経済原則にふさわしい適正利潤を得ることになり、「福を得て、万人の心を案ずることができる」というのです。
ここで私の心に浮かんだのはよくいわれる「ゼロサム」と「ウィン・ウィン」です。
「ゼロサム」は世界の利益を合計すればゼロになってしまうというものです。単純化していえば、たとえば同業大手2社が競争して1社が大きな利益を得たのにもう1社が大きな赤字を出してしまったとすれば、全体として儲けはゼロ。サムは合計という意味ですから、合計すれば利益はゼロということ。これはあたかも勝者が敗者の利益を奪ったから、合計してゼロになっているという感じです。要するに、全体としてはプラスのものは何も生んでいなのです。ここには勝つか負けるかの競争原理が働きます。勝ったものだけが生き残るというルールが厳然として支配しているわけです。
これに対して、「ウィン・ウィン」は2社が競争するというのではなく、お互いに長所を出し合いながらお互いが利益を生み出すやり方で、全体としても利益が生まれるというものです。つまり、そのようなやり方によって世界全体が何らかのプラスを生み出すというポジティブな行き方です。
さて、ロバート・ライトというアメリカの科学ジャーナリストがいます。彼は何人かの科学者の説から、生命の神秘は遺伝子(DNA)現象にあるのではなく、一方の利益が他方の損失に結びつかない「ノン・ゼロサム・ゲーム」を演じることにあると言うのです。ノン・ゼロサム・ゲームとは、双方がメリットを得て、全体がポジティブとなるウィン・ウィン・ゲームです。彼は、そのウィン・ウィン・ゲームを好む固体が優勢となるように生物は進化している。また全体がポジティブとなるように向かっている。それが生物の際立った特徴であると言うのです。たいへんおもしろい考え方です。
生物ばかりではありません。ライトは、人類の歴史、世界の政治的変遷も同じような経過をたどるというのです。もちろん、歴史はそう単純ではありません。乗っている馬が言うことを聞かずに突発的に暴れたり後ろへ戻ったりするように、ホロコーストやテロなど極端にネガティブな出来事も起こります。しかしそれでも人類の歴史の大きなうねりは、全体としてウィン・ウィンに向かっているというのです。なぜなら人類も、結局はウィン・ウィン・ゲームを好む生物だからというわけです。
進化論が正しいとすればのことですが、人類にとって進化のはじめの段階では、生存競争によって生き延びるか滅ぶかの二者択一しかなかったのでしょう。その時重要な役割を担ったのがネガティブな感情です。滅んでしまうという思いが深刻であればあるほど、そこから生ずるネガティブな感情は強く、絶望感さえいだかせました。したがってそこから生まれたのは競争原理に基づいたネガティブな文化であったといえるのではないでしょうか。
しかしロバート・ライトの説に従えば、これからは違います。これからはウィン・ウィン・ゲームを中心としたポジティブな文化をつくりあげたものが生き残ることになるのです。彼はいいます。「私たちは今、静けさの前に吹き荒れる嵐の終わりに生きている。インターネット、グローバリゼーション、非核への流れは偶然ではない。それらもまたウィン・ウィン・ゲームのシナリオが選択した、人類の必然的な産物なのだ。そこを過ぎると人類の未来は、過去よりももっと幸せになるはずだ、そういう曲がり角に立っているのだ。」
彼のこの考え方はポジティブ過ぎて根も葉もないイリュージョンに過ぎないといわれてしまいそうですが、とても魅力的な考え方だと私は思います。
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★ほおじろえいいちのサイエンス&スピリチュアル ショートエッセイはこちら。
→ http://www.eiichihojiro.jp/blog/category/essay
★本コラムの著者・ほおじろえいいち先生は、月刊『ザ・フナイ』3月号にもご寄稿くださいます。『ザ・フナイ』もぜひお読みください!
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1974年埼玉大学理工学部生化学科卒業。東京医科歯科大学医用器材研究所にて約3年間、「ホルモンの生体制御学」なる先端科学に挑戦。1980年に詩集『心的惑星圏』を自費出版。その後短編小説や詩を書いていたが、1993年、光文社より『脳に眠る「月のリズム」』を出版し、科学ジャーナリストとしてデビュー。以来、先端科学とスピリチュアリティ統合を目指して執筆活動を続けている。シェルドレイクの仮説を紹介する『なぜそれは起こるのか』(1996年)はベストセラーになった。
『魂の記憶』(2003年)を出版後は生きる意味に取り組み、ヒーリング・エナジーの研究を始めて、『幸せの進化形』 『ヒーリング・エナジー』(いずれも2005年)を出版。また、2006年12月にロシアのベストセラー本の邦訳版『「振り子の法則」リアリティ・トランサーフィン―幸運の波/不運の波の選択』、続いて2007年7月に『「願望実現の法則」リアリティ・トランサーフィン2―魂の快/不快の選択』ともに
(ヴァジム・ゼランド著 ほ
おじろ えいいち監修 徳間書店刊)を出版。2008年2月に『スピリチュアルの世界がよくわかる本』(中経の文庫)、2009年10月に『ポジティブ思考では、なぜ成功できないのか?』(学習研究社)を出版。2006年に無限波動技術株式会社(Q-Wave
Technologies Inc.)を創設し、Q‐WaveヒーリングDVDなどを提供し始める。2009年12月に『人生を変えたいときに観るDVD』(発売・発行:無限波動技術)を出版。
公式サイト:http://www.eiichihojiro.jp