スピリチュアル・エナジー-ほおじろえいいち氏-
このページは、科学ジャーナリストの
ほおじろ えいいち氏によるコラムページです。
ほおじろ氏は、先端科学とスピリチュアリティの統合を目指した内容の執筆をされています。
私たちの人生の可能性の中には、だれにでもほんとうに幸せに暮らすというものがあるはずです。だれでもがほんとうの意味での幸せになる権利があるという言い方もできるでしょう。
オーストリアの精神科医だったヴィクトール・フランクルは、ナチスによるホロコーストを奇跡的に生き延び、「ロゴセラピー」という新しい心理療法を生み出した人として知られています。彼は、「私たちの人生はすでに宇宙のどこかに存在していて、私たちの人生の方が私たちに期待しているのだから、その期待にこたえるべきだ」という素晴らしい考え方を発案しました。
彼の考え方を端的に示す、こんなエピソードがあります。彼は、ナチスの強制収容所に一緒に収容されていた二人の人間の自殺を思いとどまらせました。二人は、「長い強制収容所生活で待っているものは死しかない」と絶望して、自殺をしようとしていました。そんな二人に対してフランクルは言ったのです。
「未来には、あなたによって生み出される何かが待っている。人生は、あなたがそれを生み出すことを期待している。もしもあなたがいなくなれば、その何かも生まれることなく消えてしまう。人生は、あなたがそれを生み出すことを待っているのだ」
一人には、彼に深い愛情を寄せている子供がいて、外国で彼の帰りを待っていました。その子にとって彼は、かけがえのない存在でした。それなのに彼が自殺をしてこの世からいなくなったら、その子はどんなに悲しむことでしょう。彼には、「その子と一緒に幸せな家庭をつくる」という人生がすでに宇宙のどこかに存在していて、その人生が彼にそれを実際に築いていくことを期待していたのです。
もう一人は科学者でした。彼は、ある科学の本のシリーズを書いていましたが、それは未完のままになっていました。そのシリーズにとって、たしかにその科学者は自分をこの世に生み出してくれる代替不能の貴重な存在でした。「彼がその本のシリーズを完成させて、世に送り出す」という人生が、すでに宇宙のどこかに存在していて、その人生の方から、その本のシリーズを完成させることを期待していたのです。
フランクルのこの言葉を聞いて、二人は自殺をやめました。そして、これから襲ってくるかもしれないどんな苦難にも耐えようと心に決めたのです。
私はこのエピソードを読むたびに心が洗われます。そして私の未来の人生が期待しているという私自身の人生を、そのとおりに築いていく勇気がわいてくるような気がするのです。それで本などにもたびたび紹介させていただいています（拙著『ヒーリング・エナジー』
歴史に残るような仕事をすることはなくても、私が私のなすべきことをなし、満足して、周りの人たちとともに本当に幸せに暮らしていく「私の人生」はすでに宇宙のどこかに存在していて、その人生が私にその人生を築き上げるよう、いつも期待している。そう考えると、なんとかその期待にこたえようという気持ちになるのです。
あなたには、あなたに愛情を寄せているお子様はいませんか？ あなたを頼りにしているご家族やお友達はいませんか？ あなたとともに人生を歩もうとしている恋人、夫、妻はいませんか？ あなたがいなければ一緒に仕事もできないし楽しくないから、いつもあなたとともにいたいと思っている人はいませんか？ そのような人たちと築くあなたの幸せな人生が、あなたに期待しています。その期待のとおりにあなたがその人たちと幸せな人生を築いてくれることを。
あなたは何か仕事をやりかけてはいませんか？ 仕事の方から、あなたによって完成させられることを待たれているようなものはありませんか？ そのような仕事が、そしてプロジェクトが、あなたに期待しています。その期待のとおりにあなたによってそれが完成させられることを。
未来の人生が今のあなたに期待しているもの、あなたによって生み出されることが期待されているもの、それはいったい何なのでしょう。フランクルの考え方に従って、こういったことを静かに思案してみるのもよいかもしれません。
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１９７４年埼玉大学理工学部生化学科卒業。東京医科歯科大学医用器材研究所にて約３年間、「ホルモンの生体制御学」なる先端科学に挑戦。１９８０年に詩集『心的惑星圏』を自費出版。その後短編小説や詩を書いていたが、１９９３年、光文社より『脳に眠る「月のリズム」』を出版し、科学ジャーナリストとしてデビュー。以来、先端科学とスピリチュアリティ統合を目指して執筆活動を続けている。シェルドレイクの仮説を紹介する『なぜそれは起こるのか』（１９９６年）はベストセラーになった。
『魂の記憶』（２００３年）を出版後は生きる意味に取り組み、ヒーリング・エナジーの研究を始めて、『幸せの進化形』 『ヒーリング・エナジー』（いずれも２００５年）を出版。また、２００６年１２月にロシアのベストセラー本の邦訳版『「振り子の法則」リアリティ・トランサーフィン―幸運の波/不運の波の選択』、続いて２００７年７月に『「願望実現の法則」リアリティ・トランサーフィン２―魂の快／不快の選択
公式サイト：http://www.eiichihojiro.jp
