スピリチュアル・エナジー-ほおじろえいいち氏-
このページは、科学ジャーナリストの
ほおじろ えいいち氏によるコラムページです。
ほおじろ氏は、先端科学とスピリチュアリティの統合を目指した内容の執筆をされています。
あなたは自分の前世がどういうものであったのか、考えたことはありませんか? 漠然としてでも、いったん「自分の前世とは?」と考えたからには、「人は輪廻する」という考え方を受け入れているのでしょう。合理的でそのような考えと無縁と思われるアメリカ人でさえ、最近ではかなり多くの人が輪廻や前世はあると考えているようです。
自分は前世でどこかの国の王さまだったとか、お姫さまだった、あるいは歴史に名の残る人間だったという人もけっこういます。そういうことをいうと、懐疑的な科学者たちの一笑に付されることになります。たとえば、「自分はむかし坂本龍馬だった」というと、「いったい何人の人がそう言っていると思うの? 龍馬が現代に100人も生まれ変わって来ているとでも?」ということになるわけです。
「自分は前世でこういう悪いことをしたから、今この問題で苦しんでいる。自業自得というわけさ」などというと、親身になってくれる人ならこういうでしょう。「そんなふうに考えないほうがいいよ。そんなふうに自分を責めたって仕方がないからね。だってそれがほんとうかどうかだれも証明できないじゃない」等々。
それはその通りでしょう。人の前世や輪廻の実態は、今のところ科学的にはほとんど解明されてはいないのです。一方で、眠れる予言者エドガー・ケイシーは、生前多くの人の前世を透視(リーディング)しています。たとえばある青年が14歳のとき、姉の熱心な勧めでケイシーにリーディングしてもらいました。すると、この青年は前世でフランスの王さまの衣裳係をしていたから、今世でも衣服を扱うアパレル業界の仕事をすると成功するだろうと告げられました。青年は初めは信じられず、何年もの歳月が過ぎたのですが、結局衣裳を扱う会社に就職し、たいへんな出世をしたのです。
前世研究で世界的に有名になったのはカナダ生まれの精神医学者イアン・スティーヴンソン博士です。彼はおもに前世を記憶している子供たちの例を世界各地から2500件以上集めました。その研究成果を『前世を記憶する子どもたち』、『前世を記憶する子どもたち〈2〉』(ともに日本教文社)という本にまとめていますが、そのなかにこんなものがあります。
ユーゴスラビアの少女は、ある日、病気になり、しばらく意識を失っていました。意識が回復した彼女は、周りの人々を認識できず、聞いたことのない言語で話し始めたのです。専門家たちは、彼女が話す言葉がベンガル地方の方言のひとつであることを突きとめました。少女が故郷であるインドに帰りたいと懇願し始めたので、少女を生まれ故郷であるとされる町へ連れて行ったところ、彼女は自分の生家を指差したとのことです。そして、彼女の両親も、彼女自身も、ずっと以前そこで亡くなっていたことがわかったというのです。
アメリカの精神医学者ブライアン・ワイス博士は、独特の前世療法で世界的に有名です。彼を有名にしたのは『前世療法』と『魂の伴侶―ソウルメイト 傷ついた人生をいやす生まれ変わりの旅』(ともにPHP文庫)でしょう。これらの本には、今何らかの精神症状をかかえて悩むクライエントを前世へと退行させる催眠誘導を行うと、その問題が前世のどういう事件や出来事に由来しているかがあきらかになり、それによって精神症状が劇的に改善していくことが示されています。
これらの研究成果を知ると、やはり人は輪廻する存在で、だれにでも必ず前世があるのは間違いないだろうと思えます。しかし、科学的にそれがたしかに証明された事実なのかと問い詰められると、答えに窮してしまうのです。
たとえばケイシーのリーディングで衣装関係の会社で成功した青年。ケイシーは、実際にこの青年の前世を見たのではなく、青年の適性をこのような形で言い当てたに過ぎないとの見方もできるわけです。それがケイシーの超能力だった、あるいはマスターなどの高いレベルの存在が、ケイシーにそう告げたのではないか…。
たとえばスティーヴンソン博士が報告した、前世にインドにいたというユーゴスラビアの少女。ずっと以前インドで亡くなったというその人の霊魂(輪廻する主体)が、ユーゴスラビアの少女に宿っていると思われる霊魂と同一であることを、どのように証明することができるのか? 彼女がインドでの生家を指し示すことができたのは、そこで死んだ人が彼女に憑依して教えた結果であるかもしれないことを、どのように否定することができるのか?
またたとえばワイス博士が退行瞑想することによってクライエントが認識した前世は、ほんとうにその人の前世であったかどうかはだれにも証明できない。そのクライエントが、自分が前世でこういう事件にあったから現世でこういう苦しみを受けていると認識すると、現世での精神症状や苦しみは消えるというが、それは一種の催眠効果、あるいは自分がつくりだした治癒のための作り話かもしれない…。そのような考え方をどのようにして否定することができるのか?
というようなことになって、前世や輪廻をきわめて厳格に、科学的に証明するのは、かなり困難な仕事なのです。というのがわかったのも、私がお盆休みまでに読んだ1冊の本の影響に違いありません。その本とは、ワイス博士の前世療法を参考にしながらも、独自の手法で前世療法を研究・実践している稲垣勝巳さんの書いた『前世療法の探究』(春秋社)です。稲垣さんは江戸時代中期、火山の噴火を鎮めるために人柱となって亡くなったタエという女性の例を中心に、論を展開しています。そして考えられるほとんどすべての仮説をあげて、それに対して非常に科学的な検討をしているのです。彼は、人が輪廻する科学的な証拠を何とかしてつかみたいと、研究を積み重ねられているようです。
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※最近のほおじろえいいちのブログ:
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☆環境のカルマを浄化することの意味(8月7日)
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1974年埼玉大学理工学部生化学科卒業。東京医科歯科大学医用器材研究所にて約3年間、「ホルモンの生体制御学」なる先端科学に挑戦。1980年に詩集『心的惑星圏』を自費出版。その後短編小説や詩を書いていたが、1993年、光文社より『脳に眠る「月のリズム」』を出版し、科学ジャーナリストとしてデビュー。以来、先端科学とスピリチュアリティ統合を目指して執筆活動を続けている。シェルドレイクの仮説を紹介する『なぜそれは起こるのか』(1996年)はベストセラーになった。
『魂の記憶』(2003年)を出版後は生きる意味に取り組み、ヒーリング・エナジーの研究を始めて、『幸せの進化形』 『ヒーリング・エナジー』(いずれも2005年)を出版。また、2006年12月にロシアのベストセラー本の邦訳版『「振り子の法則」リアリティ・トランサーフィン―幸運の波/不運の波の選択』、続いて2007年7月に『「願望実現の法則」リアリティ・トランサーフィン2―魂の快/不快の選択』ともに
(ヴァジム・ゼランド著 ほ
おじろ えいいち監修 徳間書店刊)を出版。2008年2月に『スピリチュアルの世界がよくわかる本』(中経の文庫)、2009年10月に『ポジティブ思考では、なぜ成功できないのか?』(学習研究社)を出版。2006年に無限波動技術株式会社(Q-Wave
Technologies Inc.)を創設し、Q‐WaveヒーリングDVDなどを提供し始める。2009年12月に『人生を変えたいときに観るDVD』(発売・発行:無限波動技術)を出版。
公式サイト:http://www.eiichihojiro.jp