スピリチュアル・エナジー-ほおじろえいいち氏-
このページは、科学ジャーナリストの
ほおじろ えいいち氏によるコラムページです。
ほおじろ氏は、先端科学とスピリチュアリティの統合を目指した内容の執筆をされています。
前世療法なるものがあるのをご存知でしょうか。この療法はアメリカの精神医学者ブライアン・ワイス博士によって1980年代に発見されたものですが、彼の前世療法に関連する本は世界的なベストセラーとなりました。あまりに驚くべきものなので、そして素晴らしい効果があると考えられたので、彼のやり方は世界に広がっていきました。最近では同じような療法を行い、効果を上げているセラピストたちも多くいるようです。
この療法を簡単に要約すると、こんなふうになります。精神症状などの悩みをかかえるクライエントに催眠術をかけトランス状態にしてから、問題の過去世に退行させます。現在の問題を生じさせた過去世の時点にまでさかのぼり、その苦しい状況を思い出してもらうのです。そして、その状況の中で自分の知っている人を探したり、自分の症状に対する答えを誘導していきます。トランス状態から戻ったクライエントはそれをとてもよく覚えていて、現在の問題の原因がわかったということで、許しや癒しが起こります。実際に精神症状が改善され、人生が幸せの方に好転していくようです。
たとえばワイス博士の本『前世療法2』(PHP文庫)にこんな例が載っていました。
ダン(男性)とメリールー(女性)は恋人どうしです。しかしダンはメリールーのふるまいに対していつも激しい怒りを覚えるのです。なぜなら、パーティーなどの席上でお酒が入ると彼女は見境なく他の男性に対してきわどいセクシャルなアピールをするからです。他の男性との肉体関係にまでは及ばないのですが、度が過ぎます。
怒りがおさまらない事態が幾度となく重なるので、ダンはワイス博士の前世療法を受けました。そうしてわかったのは、彼は何回もの過去世でメリールーを殺しており、あるいは悲惨で危険な状況で見捨てるという行為をしていたということでした。これを知ってダンの彼女に対する怒りは消えていったのです。しかも彼は彼女にこの過去世の所業を打ち明け、彼女を解放してあげようと努めたのでした。その結果、ダンの怒りはおさまり、二人の仲はとても良くなって、ゴールインしたというのです。
またこんな例も載っています。ダイアナという名前の母親が、自分の娘タマルが生まれてから彼女をどうしても愛することができませんでした。それで20年近くこの母娘は激しくいがみ合って暮らしてきたのです。ダイアナは他の子供たちをとても愛することができるのに、タマルだけには怒りや嫌悪感、反発を感じて、どうしても愛することができなかったのです。ワイス博士に前世療法をしてもらうと、彼女はその娘と前世で、同じ今の夫をめぐる恋敵どうしだったことがわかったというのです。つまり、この二人の女性は前世から引き続いて恋愛の宿敵として戦っていたというわけです。これを理解した母親と娘は仲の良い親子に変わることができたとあります。
どう思いますか? この2つの話を聞いただけでも、前世療法って素晴らしいと思ってしまいませんか? しかし、ちょっと冷静になって、これらの事例をカルマ的に解析するとどういうことになるかを考えてみましょう。
ダンとメリールー、そしてダイアナとタマルの例はいずれも「夫婦・親子・兄弟がお互いに生命力や運気を傷つけあう」カルマのようです。ダンとメリールーはいずれは結婚したでしょうが、結婚しても夫のダンの方が妻のメリールーを殺してしまうほどに、生命力を傷つけてしまいかねないカルマをもっているようです。また二人とも「男女間のトラブルに巻き込まれる」カルマをもっている可能性もあります。結婚して、これらのカルマが動くと、妻のほうに浮気沙汰が起こって、それに怒った夫が妻を殺してしまうという悲劇も起こりかねない気配です。
また、ダイアナとタマルは、とくに親子どうしで生命力を傷つけ合うカルマを持っているようです。ダイアナが他の子供たちとはうまくいっているところから察すると、娘のタマルのカルマの方が重たいのかもしれません。二人のカルマがそのまま解消されないで発動され続くと、親子の縁が切れてしまうかもしれません。タマルが家を出て、二度と母親のところに戻らないことも考えられます。
そういうふうに考えると、前世療法で出てくる(クライエントに見えてくる)という過去世は、もしかするとネガティブなカルマが潜在意識の中に投影する幻のような映像かもしれないとも思えます。つまり、その映像が示す前世はその人のカルマを映したものであって、ほんとうの前世ではないのかもしれないということです。 私がなぜそう思うかというと、ある方法で、ネガティブなカルマを消してしまうと、問題となった前世が出てこなくなることがあるからです(詳細はこちら)。
私たちが現実に肉体という実体をもって生きているのは今であって、過去ではありません。過去世で何回も肉体をもっていたとしても、その肉体は今はもうありません。あるとすれば、それは過去世の記憶のようなもの(カルマ?)でしかないでしょう。しかし、それでも前世療法で問題の過去世を理解し、今まで悩まされていた精神症状が改善され人生が好転していくのなら、癒された人たちにとってそれは素晴らしい「救い」になるでしょう。この問題はとても興味のあるものなので、もう少し研究してみたいと思います。
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1974年埼玉大学理工学部生化学科卒業。東京医科歯科大学医用器材研究所にて約3年間、「ホルモンの生体制御学」なる先端科学に挑戦。1980年に詩集『心的惑星圏』を自費出版。その後短編小説や詩を書いていたが、1993年、光文社より『脳に眠る「月のリズム」』を出版し、科学ジャーナリストとしてデビュー。以来、先端科学とスピリチュアリティ統合を目指して執筆活動を続けている。シェルドレイクの仮説を紹介する『なぜそれは起こるのか』(1996年)はベストセラーになった。
『魂の記憶』(2003年)を出版後は生きる意味に取り組み、ヒーリング・エナジーの研究を始めて、『幸せの進化形』 『ヒーリング・エナジー』(いずれも2005年)を出版。また、2006年12月にロシアのベストセラー本の邦訳版『「振り子の法則」リアリティ・トランサーフィン―幸運の波/不運の波の選択』、続いて2007年7月に『「願望実現の法則」リアリティ・トランサーフィン2―魂の快/不快の選択』ともに
(ヴァジム・ゼランド著 ほ
おじろ えいいち監修 徳間書店刊)を出版。2008年2月に『スピリチュアルの世界がよくわかる本』(中経の文庫)、2009年10月に『ポジティブ思考では、なぜ成功できないのか?』(学習研究社)を出版。2006年に無限波動技術株式会社(Q-Wave
Technologies Inc.)を創設し、Q‐WaveヒーリングDVDなどを提供し始める。2009年12月に『人生を変えたいときに観るDVD』(発売・発行:無限波動技術)を出版。
公式サイト:http://www.eiichihojiro.jp