スピリチュアル・エナジー-ほおじろえいいち氏-
このページは、科学ジャーナリストの
ほおじろ えいいち氏によるコラムページです。
ほおじろ氏は、先端科学とスピリチュアリティの統合を目指した内容の執筆をされています。
本コラム67回でブライアン・ワイス博士の前世療法について、私の思うことを書きました。前世療法とは、一種の催眠術である退行催眠によってクライエントにその人の前世を見させ、苦しみの原因を悟らせると、今までどうにも解決できなかった人生上の障害や悩み、精神症状などが改善されるというヒーリングの技法です。博士の本を読むと、退行催眠にかかりやすい人にはとても効果があるようですが、私にとっての謎は、それによって見た自分の前世が本当のものなのか、カルマが投影する幻のような映像なのかがわからないという点です。
この点について、博士は近著『未来世療法』(PHP研究所)で次のようなことを述べています。
〜人を退行させるときに出てくるものが、実際のその人の過去世の記憶なのか、単にその人の想像や比喩などといったものなのかをはっきりと判定するのはむずかしい。たしかにそれは幻想(イリュージョン)であったりすることもあるでしょう。しかし、過去世のなかでその人が今までに覚えたことのない外国語を話す時、そのビジョンは本当なのではないか。いずれにせよ、過去世退行でも、未来世を見るのでも、症状が消え、病気が良くなり、不安やうつや恐怖が緩和されるという事実がある。そのヒーリング効果こそ大切にすべきであり、ここに過去世療法や未来世療法の価値がある…。〜
たしかにその通りでしょうね。しかし、私にとって過去世療法によって見る自分の過去世がほんとうのものであるかどうかは、とても興味深い問題です。これに関連してここで、新たに出てきた「未来世療法」なるものをご紹介したいと思います。これは、クライエントを過去世に誘導するのではなく、未来世に誘導する、博士の新しいヒーリング技法です。つまり、「あなたが今のままでいると、あなたの未来の人生はどうなるのか、催眠誘導によって悟らせる」というものなのです。これもまたとても興味深いヒーリング技法と言えるでしょう。次にこの本からひとつ例をあげてみましょう。
30代のエブリンという女性がいます。彼女は会社の合併や買収を仲介する仕事をして、非常に高額の収入を得ていました。しかし彼女は心の底から不幸でした。すべての喜びを失ってしまったというのです。原因は離婚でもなく、幼いころに父親がなくなっていたからでもありません。自爆テロが起きたことだったのです。彼女はイスラエルを滅ぼそうとするアラブ人を憎み、ユダヤ人を憐憫して過剰反応し、怒りや不安、恐怖などのネガティブな感情にさいなまれていたのです。
相談を受けたワイス博士は彼女に退行催眠を施しました。すると、彼女は第2次世界大戦のとき、ナチの士官(男性)としてユダヤ人を家畜用の車両に積み込む作業を監督していたことがわかりました。逃げようとするユダヤ人は、冷酷に撃ち殺しました。ユダヤ人を憎んでいたからです。そのような過去世が、彼女の現世での苦しみの原因となりました。現世では、過去世にいだいていたユダヤ人に対する憎しみが反転して、ユダヤ人を心の底からかわいそうだと思い、そういうユダヤ人を攻撃するアラブ人を憎むようになったというわけです。彼女が前世で行ったことに対する罪悪感の作用かもしれませんね。
そういう彼女の苦しみをいやすため、ワイス博士は2つの未来世療法を試みました。
1つ目はこんなものです。彼女のアラブ人に対する怒りは、彼女の未来世に対して強い影響を与えるでしょう。過去世でのユダヤ人への怒りが現世に影響を与えたように…。博士は彼女を深い催眠状態へと導き、ドイツの軍人だった前世とアラブ人に反発している現在の人生に関係している未来世へと誘導したのです。
すると彼女は10代のムスリム(アラブ人)の女の子として現れました。ベドウィン(=アラブ系の遊牧民)たちが使うようなブリキ製の小屋に生まれてからずっと住んでいて、極貧の生活を強いられていたのです。そしてそれもみんなユダヤ人のせいだとして、彼らを憎んでいました。催眠誘導でさらにその先の人生に進むと、彼女はその後すぐに病気で死んでいました。そして、その次の人生をほんのすこし覗くことができました。その人生では、彼女は東アフリカに住むキリスト教徒の男性でした。しかし、そこでも彼女は怒っていたのです。彼の住む世界にヒンズー教徒が増えているからでした。
我に返った彼女は、いつも誰かを憎んでいたことに気づきました。それは彼女の第1の癒しへとつながっていったのです。
ワイス博士による2つ目の未来世療法はこんなものでした。ドイツ軍人だった過去世と今の怒りにつながっている未来世へと誘導するのは1つ目と同じですが、今の人生で持っている偏見や差別をすべて手放し、すべての人々や魂が愛という特別なエネルギーでつながっていることを理解した自分という条件をつけました。そうすると、今度は違った未来世が現れたのです。
彼女はハワイのホテルで支配人をしていました。そこにはスパがあり、ハイビスカスの花が咲き乱れて素敵な香りにつつまれています。世界じゅうからお客様がやってきて、そこに逗留(とうりゅう)した彼らはみな癒され、元気になって帰っていきます。彼女はそんなホテルを管理して一年じゅうすばらしい幸せにつつまれているのです。
自分に関する未来の可能性はこのように複数存在し、それのうちどれを選択するかはまさに自分次第なのでしょうか。
エブリンの体験例から、私はこんなことを考えました。
ワイス博士流の催眠誘導は、催眠を誘導する出発点の条件によって、得られる過去世や未来世の様相が違ってくるのではないか。つまり、出発点の条件をそのまま反映した世界を見る。そうであるならば、誘導によって見せられる自分自身の過去世や未来世に関する映像は、やはりイリュージョンのようなものである可能性が高いのではないか…。
しかし、それによって退行の出発点の状況に含まれている自分の苦しみの原因が明確になり、それに気づくことができるので、癒されるのかもしれない。そして、ヒーリングDVDなどによって現在のカルマが浄化されていれば、催眠誘導によって問題の過去世は出てこないばかりではなく、幸せな未来世の映像が出てくることもありうるのではないか…。
ワイス博士によると、エブリンは次の人生に輪廻転生することを待たずして、自分自身と人々を癒す仕事をする決心をしたといいます。彼女は今までの会社を辞めてバーモントでベッド・アンド・ブレックファーストの宿を開きました。さらに定期的にヨガや瞑想を始めるようになったといいます。自分の未来を見ることによって、彼女は現世での幸せを手にすることができたのです。
※このエッセイは、ほおじろえいいちのメルマガ「Qウエーブ・ハッピネス通信」に掲載されたものに多少の加筆訂正をしたものです。
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1974年埼玉大学理工学部生化学科卒業。東京医科歯科大学医用器材研究所にて約3年間、「ホルモンの生体制御学」なる先端科学に挑戦。1980年に詩集『心的惑星圏』を自費出版。その後短編小説や詩を書いていたが、1993年、光文社より『脳に眠る「月のリズム」』を出版し、科学ジャーナリストとしてデビュー。以来、先端科学とスピリチュアリティ統合を目指して執筆活動を続けている。シェルドレイクの仮説を紹介する『なぜそれは起こるのか』(1996年)はベストセラーになった。
『魂の記憶』(2003年)を出版後は生きる意味に取り組み、ヒーリング・エナジーの研究を始めて、『幸せの進化形』 『ヒーリング・エナジー』(いずれも2005年)を出版。また、2006年12月にロシアのベストセラー本の邦訳版『「振り子の法則」リアリティ・トランサーフィン―幸運の波/不運の波の選択』、続いて2007年7月に『「願望実現の法則」リアリティ・トランサーフィン2―魂の快/不快の選択』ともに
(ヴァジム・ゼランド著 ほ
おじろ えいいち監修 徳間書店刊)を出版。2008年2月に『スピリチュアルの世界がよくわかる本』(中経の文庫)、2009年10月に『ポジティブ思考では、なぜ成功できないのか?』(学習研究社)を出版。2006年に無限波動技術株式会社(Q-Wave
Technologies Inc.)を創設し、Q‐WaveヒーリングDVDなどを提供し始める。2009年12月に『人生を変えたいときに観るDVD』(発売・発行:無限波動技術)を出版。
公式サイト:http://www.eiichihojiro.jp