「“女船井”と呼ばれる経営者」の幸せになる生き方

このページは、船井本社グループのイリアール株式会社の代表取締役を２００６年から務める（※2022年退任）乗附なほみによるコラムページです。
舩井幸雄が経営術を実践的に教え、“女舩井”と呼んだ唯一の女性経営者です。
経営者として、女性として、舩井幸雄の教えを活かした生活をお伝えしていきます。

先日、親しい友人の半生が、
日本テレビの「１億人の大質問！？　笑ってコラえて！」
（司会：所ジョージさん関根麻里さん）という番組で
冒頭、２０分以上にわたり、特集されました。

その人の名は、鈴木弘子さん。
２０００年に単身渡米し、現在はＬ．Ａ．在住、４９歳の独身女性です。

彼女は、私の妹の中・高・大学の同級生で、
３０年以上に渡り、家族ぐるみで仲良くさせて戴いています。
学生時代から、脳力も体力も、身長も、ずば抜けていました。
とりわけ人並み外れているのが、その行動力と根性。

シンクロナイズドスイミングの選手や、スポーツクラブのインストラクターなどで
活躍していましたが、
あるアームレスリングの大会では、男性と対戦して準決勝まで勝ち進み、
「勝った！」と思った瞬間に、なんと腕の骨が折れ、
「しまった、勝ったと思ったのに、気持ちに骨がついてこなかった。次は優勝するわ」
と語ったことなど、彼女の不屈の根性にまつわるエピソードは、枚挙にいとまがありません。

ですから、日本に２つしかない女子社会人のアメフトチーム
『第一生命レディコング』に入った時や、
チームがスポンサー会社との契約が終了し、オーナー不在となった際に
「私がチームを買って、チームオーナーになる」と言った時も、
私達は特に驚きもしませんでした。

ところが、２０００年にアメリカへ行って選手活動をする、と言った時には、ビックリしました。
「アメフトは、本場アメリカでは、野球より人気がある国民的スポーツなの。
極めるにはアメリカへ行かないとダメ。英語は全然話せないけど、
私は女子アメフト界の野茂選手になる」
と言って、プロテストを受けて入団し、
本当に、日本女子のプロ選手第１号となりました。

優秀なスポーツ選手とアメリカで認められ、ビザも取得。
毎年、シーズンが終了すると、いろいろなチームからオファーが殺到。
そんな中で、彼女が選ぶのは、優勝している強いチームではなく、
まだ優勝していない弱小チーム。その理由は、
「私が優勝に導きたいから」
そして猛暑のアリゾナや、東部のフィラデルフィア、Ｌ．Ａ．と移りながら、
昨年、ついに全米制覇を成し遂げました。

全米優勝

すごく楽しい性格で料理上手な彼女は、いつも人の輪の中心。
自宅には毎晩、（人種も職業も）実にいろいろな人が集まり、ホームパーティー。
皆が笑い転げるほどのジョークを飛ばす彼女が
他の人と違うのは、「私はこうなるの」と大きな目標を話すこと。

ミッキー・ロークさんと

そして、全て有言実行！
今年の２月に彼女のＬ．Ａ．の家に泊まりに行った時、
全米優勝記念のチャンピオンリングを見せてもらいました。
このリングを持つことは、アメリカでは大変な栄誉です。
「アメリカへ移住して全米優勝する」と言ったことを
実行してみせてくれたのです。
彼女は指輪を見せながら、「私は世界一のセンターになる！」　と言いました。

センターとは、彼女のポジション。
アメフトといったら誰もが最初に思い浮かべる
チームの真ん中で、ボールを地につけて持っている人のこと。
チーム全体を統率する役割もある重要なポジションです。
「もう全米優勝したんだから、世界一なんじゃないの？」と言ったら、
「違うの。本当の世界一になるのよ。
先月、テキサスでトライアウトを受けてきたの。
来週結果がわかるんだけど、受かれば、全米代表としてワールドカップに出られる。
もちろんアメリカが優勝するから、正真正銘の世界一になれる訳」

そう発言する裏で、４９歳の今も現役のトップ選手であり続けるために、
日夜努力を重ねていました。
夜どんなに遅くまでホームパーティーが続いても（飲んでいても！）
早朝、過酷なトレーニングに出掛け、
ランニング、マシントレーニング、チームＭＴＧ……をして
私達が起きる前に戻ってきて、朝食まで作ってくれる、超人です。
こうした、たゆまぬ努力があって、あの言葉があるんですね。
２月２０日。ついに正式な書面が届き、全米代表に選ばれました。
つまり、目標であった「世界一のセンターと認められた」のです。
このことは、日本でも新聞やニュースで、かなり報道されました。
WOWOWでも、彼女の密着ドキュメントが放送されました。

ところが……
「笑ってコラえて！」でも放送された通り、彼女にある壁が立ちはだかります。
全米代表＝アメリカ国籍
国籍を変える事に迷いはあったそうですが、
全米代表に合格したらアメリカ人になる、と決めていた彼女は、
手続きを進めていました。
が、いろいろあって結局、期限までに完了できず
６月のワールドカップへの出場はできませんでした。
（経緯の詳細は、彼女のfacebookの６月３日に書かれています。）

そして実は今年１月、放火により、
彼女のお母様が２０数年営んできた「八丁堀・牛たん助六」が全焼してしまい、
そのショックでお母様が体調を崩されていたのです。
それでも、不屈の精神で、お母様は７０代にして、７月３日に日本橋でお店を再建、
弘子は、今日も新たな夢に向けて、トレーニングを続けています。
（「牛たん助六」は、アメフト選手の娘の母とは思えない？　品の良いマダムが
接客してくださる、最高のお店です。）

一緒に旅行したセドナで

何かを成し遂げると決意した人は強い！

言葉もわからないのに、一人アメリカに渡り、
言葉、生活、環境、チームメイト……
全てが、アウェーの環境の中で、頂点を極めた弘子。

彼女の人生は、多くの人に希望や勇気を与える事でしょう。
私がいつもそれらをもらっているように。