「“女船井”と呼ばれる経営者」の幸せになる生き方

このページは、船井本社グループのイリアール株式会社の代表取締役を２００６年から務める（※2022年退任）乗附なほみによるコラムページです。
舩井幸雄が経営術を実践的に教え、“女舩井”と呼んだ唯一の女性経営者です。
経営者として、女性として、舩井幸雄の教えを活かした生活をお伝えしていきます。

前回、このコラムでドバイについてご紹介してから、早４年。
先日、久しぶりにドバイに行ってきました。
日本とドバイは共に、２０２０年に節目を迎えます。
資源も土地も産業もないのに発展し続けるドバイの姿は、
日本にとって、最も参考になるのではないでしょうか。

４年前、４回にわたり、ご報告しました。基本情報として、一旦、↓をお読みください。
１回目　ドバイの今
２回目　ドバイの世界一戦略
３回目　ドバイの商業施設とリゾート、ビジネスチャンス
４回目　乗り遅れる日本

２０１８年のドバイは、世界中のクレーンの１／４がある、と言われるほどの建設ラッシュが継続中。
ますます世界中からお金と人を集め続け、発展スピードを増しています。

左が２０１８年のドバイマリーナ。２０１４年（右）とは撮影場所が少し違いますが、 ビルが増え、運河沿いにカフェができ活気に溢れています。

世界一の高さブルジュ・ハリファ 下には世界一のショッピングモール

◆住みたい国Ｎｏ．１のドバイとは
絶対君主制の下、砂漠の海側に、超高層ビルによる都市を作り、
世界一の建造物によって、世界中の富裕層を集め
不動産・観光・運輸・貿易・金融業により、
この２０年で急速に発展した国です。

７つの首長国から成るＵＡＥ（アラブ首長国連邦）の１つで
面積は、ＵＡＥが北海道、ドバイが埼玉県くらい。
Ｎ．Ｙ．のマンハッタンが山手線の内側ほどなので、
このまま発展を続ければ
マンハッタンのような高層都市が、できあがるかもしれません。

人口は、ＵＡＥ　９５８万人、ドバイ　３００万人
（男女比は女性が少し増えて３：１）。
ドバイは、８３％が外国人労働者。
生粋のドバイ人は１７％で、大卒初任給が年１０００万円と超高所得な上、
所得税・住民税、大学までの教育費、医療費、水道代、エアコン代が無料。
名君と言われる父と、３男で現在の首長が、世界一戦略を打ち立て
金融と外国人を巧みにコントロールし、国民を幸せにしていると言えます。

４年前に比べて、街に緑が増えました。
人工的で無機質な街に、一気に生命力が漲った感じです。
根元を見ると水道管が細かく張り巡らされています。
砂漠で緑を保つのは、とても贅沢ですが、こうした整備によって、
より住みやすい街が作られているのです。

治安も抜群。
犯罪者は国外追放ですし、国民が豊かなので浮浪者もいません。
ドバイ警察は、フェラーリ、ランボルギーニ、アストンマーティンなどの
超高級パトカーで有名ですが、こうしたパフォーマンスで
存在感をアピールするだけでなく、私服警官や準警官も多くいて安心です。

◆成長戦略
世界中からお金を集めやすい環境は、このように治安が良く
政治経済が安定していることによって築かれました。

急成長を遂げた鍵は、首長による強烈なリーダーシップです。
（世襲式の絶対君主制で、議会選挙もないので、一歩間違えば大変な国になってしまいますが）
現在の首長は、幼少期から文武に優れ、イギリスに留学し、士官学校を首席で卒業、
１９６８年には、アブダビとの連邦形成に向けた会談に１８歳で出席し、２２歳で国防大臣となり、
軍事や政治で手腕を発揮、発展の元となる建設プロジェクトの総指揮・監督者として
２００９年のドバイショックなども乗り越え、アブダビの援助も受けながら、陣頭指揮を執ってきました。
現在もドバイの主要な事業を担う会社の株の大部分を持っています。
また馬主や古典アラビア語の詩人としても有名で、慈善事業にも尽力し、パレスチナやアフガニスタンの
難民などに多額の寄付をし、中東の平和にも貢献しています。

その首長が描く、次の発展地図は、２０２０年にあります。
東京でオリンピックが開催される年に、ドバイでは万博が開かれます。

２０１６年に、観光客が使った金額で世界１位（３兆４６２７億円）になりましたが
もうすぐ観光客数でも世界１位になることでしょう。
その旅客を運ぶ要が、エミレーツ航空。
１９８５年に開業した時は、パキスタンから借りた中古の機体２機だったのが
今では小国の国家予算並みの発注をするほど大きくなりました。
それはもちろん、民間機過去最高額です。
９５０００人の従業員のうち、日本人ＣＡは２００人ほどだそうですが、
今後はもっと増えそうです。

不動産は、東京には無いほどの高額物件もありますが
世界一の高さのブルジュ・ハリファ内のレジデンスが２億円台から、
ヤシの木の形をした人工島、パームジュメイラの豪邸も２〜３億円台から
と、想像より安く感じました。

パームジュメイラの先端のホテルから内陸を望む　遠くに摩天楼

地震がないのでマンハッタンと同じく、ビルの耐用年数がありません。
メンテナンスをすることで逆に価値が高められるため
景気に関わらず購入金額より高く売ることが可能。
（そのためか、ビルの外も中も、まるでディズニーランドのごとく頻繁に、
清掃や修理が行われています。）
賃貸不動産利回りもよいそうで、建設ラッシュは続きそうですね。

◆４年経って　−ハードからソフトへ−
個人的な感想としては、この４年の間に、建物が増えただけでなく、
ソフト面の充実を感じました。
たとえば、前述の通り、街に緑が増えたこと。
そして観光客が増えた事で、労働者（外国人従業員）が増え、
ショッピングモールに店や品物が増えていること。
人工的な街に生気が宿り、経済循環がうまく回っているように見えました。
日本も、世界目線で、観光を軸にすれば、発展が見込めるのではと思います。
そのための施策は……次回にまた。