「“女船井”と呼ばれる経営者」の幸せになる生き方

このページは、船井本社グループのイリアール株式会社の代表取締役を２００６年から務める（※2022年退任）乗附なほみによるコラムページです。
舩井幸雄が経営術を実践的に教え、“女舩井”と呼んだ唯一の女性経営者です。
経営者として、女性として、舩井幸雄の教えを活かした生活をお伝えしていきます。

最近、起業の相談を受けることが多くあります。
私の世代に定年が近づいていることや、景気が回復してきたことなども要因でしょうか。

日本では、毎年、２２万人以上が、起業しています。
とはいえ、世界銀行の起業環境に関する国際比較調査で、日本は１２０位。
（１位はシンガポール、２位ニュージーランド、３位香港、４位デンマーク、５位韓国。）

またＩＴ化が進み、今ある職業のうち、２０年後には半分がなくなる、と言われています。
今はまだ、形さえ存在しないものに、ビジネスチャンスがあるんです！

日本の活性化のために、若い人にどんどん起業して欲しい。
今、事業をしている人、企業にいる人も、新しい事業を起こして欲しい。
そこで、今回は、起業のポイント、経営のポイントについて、書きたいと思います。

総務省の調査によると、起業する人の年代は、
多い順に、６０代（３０％以上）、３０代（２５％位）、残り２０代、４０代、５０代が、ほぼ同じくらい。

１９８０年代には数％と、最も少なかった６０代での起業が、ぐんぐん増えて、今では一番多いんです。健康寿命が延びたこと、自己実現、シニアライフの充実、といった前向きな理由のほか、年金問題、景気が回復してきたこととは逆に就職先がないことから、定年後に起業する人が増えているんだそうです。





男女比では、４割くらいが女性。

業種は、女性が、趣味や経験を活かした子育て・介護・美容などのサービス業や卸売・小売業が多く、６０代以上では職歴を活かしたコンサルタント・営業代行、３０〜４０代は卸売・小売業、建設業、２０代では情報系が多いようです。

殆どが前職での経験や、趣味・特技を活かした起業ですが、他社での勤務経験がなく、いきなり起業する人も１５％くらい。

その７割を占める自営業主の個人所得は、
（２０１２年の総務省データ）
　１００万円未満　　３２．４％
　１００〜２００万円未満　２０．８％
　２００〜３００万円未満　１７．２％
　３００〜４００万円未満　１０．３％
　４００〜５００万円未満　６％
　５００〜１０００万円未満　９．８％
　１０００万円以上　３．６％

個人事業主としての起業後は、半数が２００万円未満と、
起業の道は、かなり険しいことがわかります。
売上を増やすために個人ではなく、人を雇用して企業として活動するには
場所代はもちろん、健康保険・厚生年金・労働保険などが必要。
売上に関わらず固定費がかかるため、ゼロからの起業はとても大変ですね。

舩井幸雄会長は、
「儲かる仕組みとは、主導権を持てるビジネスと、お客様志向のビジネス。
注文をもらいに行くのではなく、お願いしますと言わせる。
そのためには、絶対のノウハウとオンリーワンとなるものが必要」
とおっしゃっていました。

私も脱サラ組で、１７年前に起業しました。
その時、上記の舩井会長の言葉は知りませんでしたが、
結果的に、今も続けている事業は、このお言葉通りです。
（今後もそういう商品・サービスを創ろうとしています。）

私が起業する人を見ていて思う、起業成功のポイントは、
・フランチャイジーより、フランチャイザーになれ
・いきなり大金を投資しない、借金をしない
　まずは小規模でテストマーケティングを
・タイミングの良い参入と撤退

特に男性は、形から整えることが多いように思います。
だから、初期投資額が多くなる。
立派な事務所を構えたり、社名入りの封筒やダンボール箱などを作ったり。
1ヵ月はすぐ経ってしまうので、家賃や人件費で、どんどんお金が出て行きます。
運転資金に余裕を持たずに、借金を前提で進めると、後が大変です。
ゴミとなって捨てるにもお金がかかります。最初は極力、経費を抑えましょう。

たとえば、ゴルフを始める時は、プロが使うような道具を揃える前に、
誰かの使わないクラブを譲ってもらって、試打や練習を重ねてから
自分に合ったクラブに投資したほうがいいですよね。

会社経営も同じ。
最初は、物販ならヤフオクやアマゾンで売ってみる、
サービスならWebサイト（ホームページ）で受注する、など
手持ち資金で無理なく起業し、売上が増えたら、
次の投資（人の雇用や事業所の拡大）に進めばいいのです。