「“女船井”と呼ばれる経営者」の幸せになる生き方

このページは、船井本社グループのイリアール株式会社の代表取締役を２００６年から務める（※2022年退任）乗附なほみによるコラムページです。
舩井幸雄が経営術を実践的に教え、“女舩井”と呼んだ唯一の女性経営者です。
経営者として、女性として、舩井幸雄の教えを活かした生活をお伝えしていきます。

「清浄明潔」
春の光を浴びて、冬の間、眠っていた万物が目覚め、若返る時節、自然の力をチャージするべく、京都へお花見に出掛けました。
この時期の京都は、ライトアップしている所も多く、朝から晩まで桜を楽しめます。

まず向かったのは、「日本さくら名所１００選」に選ばれている嵐山と、真言宗御室派「仁和寺」。
儒学者・貝原益軒の京都ガイド本『京城勝覧』や、川端康成の『古都』に記された「仁和寺」の御室桜は、樹高２mほどで、畑のように１３０本も、まとまっています。

世界文化遺産　仁和寺の御室桜と五重塔

桜の根元すぐの所から美しい花が咲いているので、視界いっぱい桜の花に囲まれて、まさに『桜の園』。夢の世界に入りこんだようでした。

この時期だけ特別に行われる法話「桜布教」では、おかげさまの気持ち、支え合って生きることについてのお話があり、今、ここに在ることに感謝しながら御室桜と広い境内のあちこちを彩るしだれ桜を満喫しました。

次に訪れたのは「二条城」。桜のライトアップ、二の丸御殿台所（重要文化財）の公開と筝曲の演奏、唐門でのプロジェクションマッピングが行われており、夕闇が訪れると、ライトに照らされた２００本以上の桜が浮かび上がって、華麗な光景が現れました。

世界文化遺産　二条城　プロジェクションマッピング

現在の二条城は、１６０３年に徳川家康が京都の宿舎として築き、三代家光が増築したもので、家康と豊臣秀頼との会見場、大阪の役の本営、徳川慶喜が大政奉還を発布した城として歴史を刻んできましたが、先日、国宝の二の丸御殿に、油のような液体がかけられた痕跡が１９ヶ所も見つかりました。貴重な文化財を守りたいという思いで、わずかですが、一口城主募金をさせていただきました。

二条城のしだれ桜

次に向かったのは、平安遷都１１００年を記念して、１８９５年（明治２８年）に第５０代桓武天皇をご祭神として創建された「平安神宮」。「紅しだれコンサート」を楽しみに苑内に入ると……
あまりの素晴らしさに言葉を失いました。
左右に３６０度、そして天空を覆い尽くし、降り注ぐように夜桜が視界いっぱいに広がる南神苑。
水面が鏡のように八重紅しだれの夜桜を映し出す、おとぎ話の舞台のような東神苑。

「平安神宮」約１７００坪の桜の園　南神苑

幽玄の美とは、このことを言うのでしょう。
この世のものとは思えないほど、幻想的な空間。

「平安神宮」貴賓館で演奏される音楽と水面に映る桜が幻想的な東神苑

谷崎潤一郎が「……神苑に第一歩を踏み入れた所にある数株の紅枝垂、……海外にまでその美を謳われていると云う名木の桜が、今年はどんな風であろうか、もうおそくはないであろうかと気を揉みながら、毎年廻廓の門をくぐる迄はあやしく胸をときめかす」と『細雪』に記したのと同じ気持ちで、桜の美しさと優美な音楽に酔いしれました。
あちこちから、何かが飛び出すような、妖しいまでの美しさ。死ぬ前に見るべき景色です。
皆様も、来年ぜひ、訪れてくださいませ。