「“女船井”と呼ばれる経営者」の幸せになる生き方

このページは、船井本社グループのイリアール株式会社の代表取締役を２００６年から務める（※2022年退任）乗附なほみによるコラムページです。
舩井幸雄が経営術を実践的に教え、“女舩井”と呼んだ唯一の女性経営者です。
経営者として、女性として、舩井幸雄の教えを活かした生活をお伝えしていきます。

ドバイは、さまざまな世界一を作ることで、世界中から富裕層を集めています。
「〇〇世界一」には、世界一の魅力があるから、人が集まります。
その結果、前回書いた通り、２０１６年に、
観光客が使った金額が世界１位（３兆４６２７億円）になりました。

日本が、真の観光立国として、観光を収入源の1つの柱にするならば、
観光客数を増やし、観光客が使う金額も増やさなければなりません。
言い換えると、「お金を使ってくれる富裕層」を世界中から集めなくてはならない。
世界中を飛び回って目の肥えた彼らに、旅行先として日本を選んでもらうには
世界基準の魅力が必要です。

まずは、世界レベルのサービスの提供。
「おもてなし日本」だから、サービスは世界最高水準と思ったら、ちょっと違う。
街中や店で、英語表記が少ない、英語で話せる人も少ない。
ハラール（HALAL）など宗教や食主義に対応した店が少ない。

また、ドバイやロンドン、パリ、N.Y.、東南アジアの超高級リゾートと比べると、
日本は、世界のセレブリティが満足するようなサービスが少ないようです。
というのは、格差社会が問題になる日本には、
いわゆる「ラグジュアリーマーケット」が殆ど育たないからです。

たとえば、外国のお金持ちに来てもらうために、一番大切なホテル。
シンガポールのホテル「マリーナベイ・サンズ」は
天空のプールに入るために、人が集まります。
ドバイのアトランティスホテルでは
１泊４００万円の部屋がありました。
巨大な水槽の中にあるような部屋です。
どんな方が泊まるのかな、と見に行ったら、
アバヤを着た女性達でした。アラブ圏の方ですね。
七ツ星と言われる「ブルジュ・アル・アラブ」は、１泊最低２５万円で
宿泊客以外は、敷地内に入れません。
宿泊客はベンツ、ロールスロイス、またはヘリコプターで訪れます。

値段だけをみると、東京にも、リッツ・カールトンとシャングリ・ラに
２００万円クラスのお部屋があるそうですが
上には上があり、N.Yのフォーシーズンズホテルは５００万円超、
スイスのジュネーブには、１泊１０００万円近い部屋があるそうです。
でも問題は、いくらかではなく、どんな金額を払っても行きたくなる
魅力があるか、ということです。

大阪の「ユニバーサル スタジオ ジャパン」には、ロイヤル・スタジオ・パス
（待ち時間が短くなり、ハリー・ポッターエリア入場など特典付きの）チケットがありますが
ドバイでは、ホテルのビーチも、ウォーターパークでも、
「特別な（料金を払った）人だけのエリア」が分けられています。
飛行機でいう所のビジネスクラス、ファーストクラスが用意されているのです。

スイートルーム宿泊者専用ビーチ スイートルーム宿泊者専用ビーチ

ベッドやハンモックがある 特別な人のためのエリア

みんなに良いサービス、という基準では、格段に優れている日本ですが
自分専用の特上サービスを欲しがっている世界の富裕層にとっては
わざわざファーイーストまで来るほどの魅力が感じられない、物足りない……

欧米の富裕層だけでなく、中東の超富裕層、東南アジアや中国で急増する富裕層、
特に中国の最近の富裕層、５０代以上の「富一代」より若い世代である「奮一代」や
２代目の「富一代」は、マナーも良く、世界中をよく知っています。
彼らにお金を使ってもらうには、日本にしかない、ダイナミックな魅力と
国を挙げたプレゼンテーションが必要と思うのです。