「“女船井”と呼ばれる経営者」の幸せになる生き方

このページは、船井本社グループのイリアール株式会社の代表取締役を２００６年から務める（※2022年退任）乗附なほみによるコラムページです。
舩井幸雄が経営術を実践的に教え、“女舩井”と呼んだ唯一の女性経営者です。
経営者として、女性として、舩井幸雄の教えを活かした生活をお伝えしていきます。

今回は舩井幸雄会長のご逝去に際し、謹んでご冥福をお祈りすると共に
これまでに戴いたＦＡＸを読み返しながら、
私達に残してくださった、たくさんの恩恵と教えに感謝し
（私自身まだ整理でききっていないので、うまく書けるかわかりませんが）、
今、感じるままをお伝えしたいと思います。

２月１４日の本葬にあたり、
お付き合いのあった方々の名簿やお写真を拝見しましたところ、
日本を代表する企業の創業経営者は全て、というほどお名前が連なっておりました。
時々おっしゃっていた
「多くの企業や経営者を見てきて、
成功の法則、ツキの原理、自然の摂理、正しい生き方がわかるようになった」
という言葉を思い出し、重く感じました。

また、こうした多くの優秀な創業者の方々のご相談を受けながらも、
偉ぶった所は一切なく、常に謙虚で、
ご自身が著されたことを、全て率先垂範されていらっしゃいました。

誰にでも対等で、相手の言葉を良く聞き、アドバイスはしてくださいますが、
相手を不安に陥れたり、押し付けるようなご発言は一切なさらず、
物事を無理に進めることもない、お人柄でした。
ですから私達は、いつも守って下さっている安心感を持って過ごすことができました。

私が申し上げるのは何ですが、今思えば、２００８年に始まった会長の終活は、本当にお見事でした。（『ザ・フナイ』７７号と、１月１４日に発売になった『未来への言霊』（徳間書店）をお読みいただければよくお分かりになられると思います。）

ザ・フナイ

◆２００９年
２００９年の終わりに、突然、
『舩井幸雄.com』の「いま知らせたいこと」と、『ザ・フナイ』の巻頭言以外はもう書かないから、皆で知恵を出し合って頑張りなさい、とおっしゃり、グループ経営者・社員を驚かせました。
船井総研の社長を退任された時も同じようにされたと後でお聞きし、社員と各社の経営者を育成するためなんだな、と思いましたが、ソフトランディングすることで、グループ各社の経営に影響がないように準備を始められたのです。

そして、私共、イリアールで発行している通販誌「ほんものや」の巻頭対談も、２０１０年の１月の掲載まで、となりました。
もちろん売上にも影響があり、どうしたものかと悩みましたが、年末には、何とか前年を上回って終えることができました。

当時くださったＦＡＸには、

「人は経営の基本であり、
　�@よく働く
　�Aよく稼ぐ
　�Bよく学ぶ
　�Cよく考える
　�Dムダをしない
　�Eバランスをとる＝協力して助け合う

うちの�Aと�Dを教える前に（これはクセ付けが必要です）
私が病気になったので�A�Dができません。
�Aや�Dの上手なあなたがみんなに教えてほしい……と思います。
よろしく。」

と書かれてあります。
（褒めてくださっているのは、舩井会長流の人材育成法です。）

FAX

また、私には、「トップで９９％決まる。だから、トップは命がけで仕事をすること」
と、よくおっしゃいましたが、誰よりもそれを実践されておられたのは、舩井会長ご自身です。

◆２０１４年
お正月は、お酒を薄めて２杯ほどお飲みになられたほど、お元気になっていらっしゃいました。そして、皆様ご存じの通り、この『舩井幸雄.com』の「いま知らせたいこと」の２０１４年１月６日用の原稿、『ザ・フナイ』７７号の巻頭言と、命を削って最期まで執筆されていらっしゃいました。他にも書きかけの原稿があったそうです。

そして、１月６日、気管支の数値がよくなかったので、午後、（すぐ退院する予定で）入院されました。私が最後にお会いしたのは、入院する直前でした。（テレパシー？で呼んでくださったのかなと思い、感謝しております。）

１月１０日、８１歳のお誕生日を迎えられました。
その翌日、１１日は、４５０冊くらい著書がおありになる舩井会長としては初めての出版記念パーティーが都内のホテルで催されました。
ご縁のある方々が３００人近く集まり、会長に愛と感謝を捧げ、ご快復をお祈りしました。
１４日に、『未来への言霊』が徳間出版から発刊されました。

未来への言霊

この本が、大変残念なことに遺作となってしまいましたが、
舩井会長の生き方やお考えの集大成と言える、経営者必携の一冊です。
経営者として人間として、頂点を極めた舩井会長人の回答書。
全ての疑問への答えは、この一冊にあります。
幸せに生きる方法や、経営者としての在り方、経営戦略と幅広い内容で、会長の死生観も記されています。
とてもわかりやすいバイブルで、私にとっては「人として経営者としての指南書」、「人生の教科書」となりました。

今すぐにでも舩井会長に教えを乞いたい、ご相談したい事がたくさんありますが、その大半は、この本の中に答えを見つけることができます。きっとこの先も、読む度に違う見方ができ、毎回新しい発見があることでしょう。

この回答書を世に出し、１月１９日の２２時１分に旅立たれました。
でも不思議な事に、最近の方がむしろ会長の存在を身近に感じている毎日です。
丸の内や品川や、此処、代官山までを飛び回っているかもしれません。
いっそう、怠けることはできなくなりました。