「“女船井”と呼ばれる経営者」の幸せになる生き方

このページは、船井本社グループのイリアール株式会社の代表取締役を２００６年から務める（※2022年退任）乗附なほみによるコラムページです。
舩井幸雄が経営術を実践的に教え、“女舩井”と呼んだ唯一の女性経営者です。
経営者として、女性として、舩井幸雄の教えを活かした生活をお伝えしていきます。

１０数年前から毎冬、母校より、中学３年生に向けた講演を依頼されています。
優等生ではなかった私が、母校で講演させていただくことに感謝しながら、
今年は、３月８日に行ってきました。

この奥に懐かしい校舎があります

内容は、社会人の先輩として、
今の仕事に対する思いや、大学を卒業してから現職に就くまでの過程など、
社会に出る（仕事に就く）ということについてお話しています。
有名人ではない先輩の話は、リアリティがあるようで、
目を輝かせながら、とても熱心に聞いてくださいます。

講演の前と後に、生徒の方々から、素敵なメッセージを戴きます。
そのお手紙は、私の宝物。フレッシュなエネルギーを戴いています。
講演後にいただく手紙には、講演の感想が書いてありますが、
講演前のお手紙には、
何かに情熱を注ぎたいが、その何かが見つからない、
はじめの一歩が踏み出せない、
どういう職業があるのかを知りたい、
自分の夢を叶えるための方法を知りたい、
将来、一流の仕事をするためには、
今、何を勉強したら、何を準備したらいいのだろう？
というようなことが書かれています。

将来の夢を具体的に描いている人は２割くらいで、
自分の将来を楽しみにし、幸せを期待しながらも、
自分や日本の未来に対して漠然とした不安を持っている方が大半です。

戴いた手紙の一部

中学３年生の時の私も、同じように思っており、
社会人の大先輩である祖父に、質問を頻繁にしていました。
「私は何に向いていると思う？」
「将来に向けて、今できる準備を始めたいんだけど、何をしたらいいかしら？」

何かに突出した才能があれば、おのずと道が開けそうだけれども、
特別な才能が見つかっていない自分は、
人より少しでも早く目指すものを決めて、
将来の仕事に結びつく勉強を早く始めたい、と考えたからです。

祖父の答えはこうでした。
「赤ちゃんの時は、３６０度、無限の可能性がある。
でも君は、オリンピックの１００ｍ走で金メダルを取れる可能性はないだろう？
人の可能性というものは、だんだんと狭まって来るものだから、
自分で可能性を狭めないほうがいいよ。
今、必要な事は、どんな方向に進んでもいいように、
いろんなことを幅広く勉強しておくことだ。」

結局、私は、苦手な教科を勉強することが苦しくて、
将来の職業を早く決め、それに必要な事だけを勉強したい、
という逃げが、少しあったかもしれません。

そして２５年が経ち……４０代になった頃、
愛犬のために洋服を作ろうと思い立ち、
（中学生の時は苦手だった）ミシンを初めて購入しました。
家庭科の授業で何度も教わったはずなのに、
型紙の作り方もわからず、初めは友人に教えてもらい、
その後、独学で服作りを研究して、
２００３年に犬や猫の服のブランドを立ち上げました。
それから丸１０年が経った今、
家庭科できちんと学んでおけば良かったなぁ、
当時は自分には必要ないと思ったことも、いつ役立つかわからないものだなぁ
と実感しています。

また化粧品会社の社長として、化学の知識は必須ですので、
好きだった化学をもっと学べばよかった、と思う事が頻繁にあります。

祖父が言った通り、「将来どんな方向に進んでもいいように、
学生時代は、いろんなことを幅広く勉強しておく」ことが大切でした。

ですから講演では、こうした経験と、
「もし“中学３年生の私”　に知らせることができるなら、
将来、家庭科の授業は必要になるよ、
化学と英語もしっかり勉強しておきなさい、と言いたいわ！」
ということを毎年、お伝えしています。

「無駄な授業は、なかったんだなぁ」と、本当に実感し、
（私学のため、一般の教科書通りのカリキュラムではなかったので、）
そうした内容を企画して下さった先生に、心から感謝をしながらお話ししています。
（先生方の狙いは、そこかも？　(^_^;)　）

そして、最後に、

「夢は叶うもの。
　夢が見つかったら、叶えるために情報収集をし、
　叶うまで努力を継続することが大切」

とお伝えします。
私たち大人は、彼らの努力を実らせられる社会作りを
しなければなりませんね。
皆様の将来が明るいものでありますように。