「“女船井”と呼ばれる経営者」の幸せになる生き方

このページは、船井本社グループのイリアール株式会社の代表取締役を２００６年から務める（※2022年退任）乗附なほみによるコラムページです。
舩井幸雄が経営術を実践的に教え、“女舩井”と呼んだ唯一の女性経営者です。
経営者として、女性として、舩井幸雄の教えを活かした生活をお伝えしていきます。

先日、封切られたばかりの「スキャンダル」という映画を見ました。
2017年からの「#Metoo」運動の前年である2016年に、アメリカで
実際に起こった女性キャスターへのセクハラ事件の映画化です。
主演のシャーリーズ・セロンの特殊メイクをカズ・ヒロ（辻一弘）氏が担当し
アカデミー賞の「メイクアップ＆スタイリング賞」を受賞したことでも話題になりました。

アメリカで視聴率No.1を誇るケーブルテレビ局FOXニュースでの
実際の出来事なので、登場人物も、ほぼ実名で出てきます。
こんなに早く、大女優を競演させて映画化した事はもちろん
先の大統領選挙でのトランプ氏を始め、実際のニュース映像を
多用できるなんて、ハリウッドは、やっぱりすごい！

内容は、人気ニュースキャスターのグレッチェン・カールソン
（映画ではニコール・キッドマン）が、TV業界の帝王と呼ばれた
FOXテレビのCEOをセクハラで提訴、次第に他のキャスターも立ち上がり
2016年9月、約20億円で和解に至るまでの経緯が描かれています。
メディア王ルパート・マードックの下、FOXニュースを立ち上げた
CEOは、44億円といわれる多額の退職金をもらって辞任、
実際には翌年、77歳で死去したそうです。
（昨年、彼の最後の10年を描いたTVドラマも放映されたのでそれも見たい）

映画の現代は「BOMBSHELL」
この意味と映画のレビューについては、検索していただくとして
私が驚いたことを書きたいと思います。

1890年頃、サラリーマンだった私が、アメリカへ出張した際
現地法人のCEOがガラス張りの会議室で、「たとえガラス越しでも
女性を5秒以上見つめると訴えられるので気を付けている」
とおっしゃったことに、とても衝撃を受けました。
実は当時、日本ではセクハラ・パワハラが横行していたため
さすがアメリカ！と感じたからです。

私の場合は、男女雇用機会均等法で、男性と同じ仕事をする
タイミングに恵まれ、女性として初の課長職にしていただき、
仕事はやりがいがありましたが、本当に認めてもらうためには
たくさんのハードルがありました。
仕事の成果の前に、女性ゆえの、いろいろな面倒があり
まずはそれを乗り越えないと、先に進めない。
管理職になっても、うまく受け流したり、部下や後輩を庇ったり。
まあいろいろな事がありました。
その後、上層部が変わり、会社も大きくなったため、
ハラスメントをなくそうという動きになったと聞きましたが、
2016年に、アメリカで、しかもそういったことを報道する側の
ニュース番組の現場で、このようなハラスメントが起きたなんて！

昨今の日本では、「女は腰掛け、女は仕事ができない、
若く可愛いうちは職場の華として必要だけれども、年を取ったらお局」
というイメージも変わり、
パワハラ・セクハラはダメ、という社会になってきたと感じていましたが
この映画を見る限り、アメリカですら、こんな風潮とは、がっかりしました。
FOXの事件を風化させてはならないと映画化した
脚本家チャールズ・ランドルフ、偉い！
聡明で美しく強い女性達も、凄い！
ぜひ皆様にご覧いただき、女性が働きやすい社会になって欲しい
と心から思います。

日本においては、産休・育休などの制度も進み、
働き方改革もされているところですが、
今週は、新型コロナウイルス対策として、小中学校が休校に。
家に子供だけを置いておくわけにいかないため
やむなく休みを取るお母さんも多いと思いますが
心の負担にならないことを願うばかり。
おりしも、3月8日は43年前に国連で制定された記念日である
「国際女性デー」です。
「日本は働く女性を増やすことには成功したが、その裏で、
女性が子育てをしながらキャリアアップすることをほぼ不可能にする
差別的な文化が存在している。」という記述は、
ニューヨーク・タイムズ・マガジンの指摘です。
2019年12月17日に発表された
「ジェンダーギャップ指数（男女間格差を測った指数）」において
日本は153カ国中121位（2018年は110位） だそう。
SDGsの目標にあるジェンダー平等が早期に実現され
男性にわからない女性ならではの悩みが減りますように。