「“女船井”と呼ばれる経営者」の幸せになる生き方

このページは、船井本社グループのイリアール株式会社の代表取締役を２００６年から務める（※2022年退任）乗附なほみによるコラムページです。
舩井幸雄が経営術を実践的に教え、“女舩井”と呼んだ唯一の女性経営者です。
経営者として、女性として、舩井幸雄の教えを活かした生活をお伝えしていきます。

舩井会長に教えていただいた事は、とてもたくさんあり、
身に付いたクセも、ありがたいことに、たくさんあります。
精神面や物の考え方もそうですが、
即時処理、読書、物を大事にする、など行動面のクセも。

そして、どこのお店に行っても、つい、してしまうのが、レジを見るクセ。
店内には人がたくさんいるのに、会計をしている人はいない……
殆どの人は、ウインドウショッピングで、実際に購入する人は、ごく僅か。
実は、話題のスポットで人があふれていて繁盛しているように見えても
物販店では、こんな現象がとても多いのです。

たとえば、東京ミッドタウン日比谷や、GINZA6で。
飲食店は大行列でも、物販のお店はどれだけ売れているか？
それはレジを見ていると分かります。

舩井幸雄会長は、瞬時に、
お店の立地と面積から家賃や人件費などの費用を割り出し、
商品の陳列状態やレジの様子から、売上を予測して
利益まで読んでいました。
そして改善ポイントも、こっそり解説してくださいました。

仮に月の経費が１００万円で、仕入れる商品の掛け率が５０％であれば
ざっくり２００万円以上の売上が必要ですから
定休日なしで、毎日、店を開けているならば、
最低でも、1日あたり６〜７万円の売上が必要ですよね。

これを個数でみると、
商品の平均単価が３万円であれば、１日に２〜３個売れればいい。
３千円なら、１日に２０〜２５個、千円なら６５〜７０個になります。
でも平日に３０個しか売れなければ、土日は１５０個売る必要があります。

これを１年通してできなければ、店の継続が難しくなるので
経費を削るか、粗利の高い商品を入れるか、
店舗以外の販路を開拓するなど、何かの施策を講じなければなりません。
商品はそのままに店（売り場）の面積を狭くするという「圧縮付加法」も有名ですね。

イリアールは代官山にあります。
代官山・恵比寿エリアでは、毎月、閉店するお店があります。
客の立場では、とても良いお店が閉店することも多く、残念なのですが
お客が「コストパフォーマンスが高い」と感じる店は、
繁盛していても利益が少なくて、続けられなくなるのかもしれません。
閉店した所には、次に新店がオープンしますが、
長く生き残るのは簡単ではありません。

経費が少なく見えるネットショップも、価格比較サイトや大手サイトの出現で
競争が激しく、他に無いオリジナルの商材やサービスを提供する必要があります。
またネット上で、いかに告知をするか、宣伝も必要なので、
当初の想像よりも経費が掛かるかもしれません。
仕入れのないサービス業でも同じ。
売上計画は厳しく見て、初期投資を抑え、世の中の変化に
臨機応変にあたることが求められます。

定年が近付いて、起業を考えている方や、
子育てを終えて趣味を生かした仕事を考えている方からのご相談が多い昨今、
上記のような説明をすると、「夢が破れる〜」と、言われてしまうのですが
実際、事業を軌道に乗せるのは、想像より難しいことで、
舩井会長がおっしゃっていた通り、命懸けで経営にあたらないと成功はできないようです。