「“女船井”と呼ばれる経営者」の幸せになる生き方

このページは、船井本社グループのイリアール株式会社の代表取締役を２００６年から務める（※2022年退任）乗附なほみによるコラムページです。
舩井幸雄が経営術を実践的に教え、“女舩井”と呼んだ唯一の女性経営者です。
経営者として、女性として、舩井幸雄の教えを活かした生活をお伝えしていきます。

軍艦島に上陸してきました。
2015年7月に、世界文化遺産に登録されたことや
2012年公開の映画「007 スカイフォール」、
実写版「進撃の巨人」のロケ地などで注目された長崎県の島です。

軍艦「土佐」に似ている事からこの名で呼ばれるようになりました

「日本初の近代都市」とも言えるこの島は、
1974年4月20日に無人島となってから、刻々と壊れています。
台風の度に大きく崩れ、廃墟となった姿には胸を打たれました。
海上都市　巨大な地球のゴミ　SFの世界・・・
サステナビリティ（持続可能性）という点で、学ぶものが多々あります。

上陸したいとお考えの方は、早く行くことをお勧めします。
高波で倒壊が激しくなったら、いつまた閉鎖されるかわからないので。

どんな島？
長崎港から18.5km沖、（クルーズ船で40分くらいの所）
正式名称は端島（羽島とも書かれた）
東西160m　南北480m　一周1.2km
面積6.3ha　東京ドーム1.3個分の小さな島。

元は東西120ｍ　南北320mの岩礁に
1897年（明治30年）〜1931年（昭和6年）の、6回に亘る
埋め立て工事で、拡張されました。
地下1000mの深い海底の周囲2km四方以上の範囲に
何本もの坑道が造られました。

この島の歴史
1810年に石炭が発見され、良質の石炭が産出されることから
三菱の2代目総帥、岩崎弥之助が1890年（明治23年）に
当時の所有者から買収し、翌1891年から採掘開始。
北九州市の八幡製鉄所などの原料炭として使われ
1974年に閉山するまでの84年間
日本の近代化に貢献して行きます。

世界一の人口密度でも住民は「幸福な生活」
島の埋め立て工事もですが、当時の技術には驚き！
1916年に日本初の鉄筋コンクリート(RC)造の高層マンション
（当初4階建て、増築して7階建て）が建設されました。
それが「30号棟」で、145世帯が入居していました。
今でいえば、三菱の社宅という位置づけ。
島では水が貴重であったためトイレやお風呂は共同でしたが
間取りは6畳一間で、三種の神器「ＴＶ・洗濯機・冷蔵庫」を完備。
1958年、TVは現在の100万円くらいしたため
普及率が日本全体で7.8％でしたが、ここでは100％

30号棟

1960年には、東京ドーム1.3個分の面積に
約5300人が住んでいたため、
人口密度は83,600人/km2となり、現在まで世界一。
（居住地域だけでみれば、14万人/ km2）

植物が無い島でも、人々の暮らしは豊かで平和。
警察（派出所）もありましたが暇だったそうです。
というのは、殆どが三菱の従業員で
収入は、当時の一般世帯の 10 倍。
今の年収に換算すると、6000万円ほどだったそう。
何年か稼いで本土へ帰るという感覚だったようです。

世界文化遺産
「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」
長崎・山口・福岡・佐賀・熊本・鹿児島・岩手・静岡の
8県23の資産の1つとして、2015年7月に登録されました
が登録対象は、島全てではなく、明治時代に作られた岸壁と
廃墟建物の地下にある海底坑道（石炭の掘削坑）です。

岸壁内側

岸壁外側

岸壁は天川（あまがわ）という接着剤を用いた石積み工法の堤防。
コンクリートの堤防は台風で決壊したが、天川の堤防は残っていました。

日本初の近代都市　→　捨てられた都市
1902年に発電所が建設され、さらに1917年には高島炭鉱の
発電所からの送電海底電線ケーブルでの送電を受け
ほぼオール電化！

1957年に日本初の海底水道が敷設され、水も確保されました。
幼稚園、小中学校、病院、商店街、郵便局、神社、お寺、
映画館、旅館、美容院、パチンコ、ビリヤード場、スナック、遊郭、
そして日本初の屋上庭園、青空農園などがある
コンパクトな都市でした。

かつて、5000人が豊かに暮らした島は
一気にそこから退去したことで廃墟となり
壊れた残骸は海に流されていきました。

くしくも今、TBSドラマ「日本沈没」が高視聴率を取っていますが
私達が造り上げた高層ビルは、地球の大きなゴミとも言え
いつか地球の限界が来るのでは・・・と考えざるを得ません。
この先、地球の限りある資源や自然環境を壊さず、
ずっと人間が快適に暮らしていくためにどうしたらいいか
みんなでこうした廃墟に学べればと思います。

映画館やお寺

赤レンガは総合事務所

船着き場ドルフィン桟橋

選炭機方向

崖上は幹部職員住宅、奥は小学校、手前は浮選機室跡

海底水道の取込口