「“女船井”と呼ばれる経営者」の幸せになる生き方

このページは、船井本社グループのイリアール株式会社の代表取締役を２００６年から務める（※2022年退任）乗附なほみによるコラムページです。
舩井幸雄が経営術を実践的に教え、“女舩井”と呼んだ唯一の女性経営者です。
経営者として、女性として、舩井幸雄の教えを活かした生活をお伝えしていきます。

前回に引き続き、親友の高島礼子さんが主演した
映画「祈り　幻に長崎を想う刻」をきっかけに訪れた
ユネスコ世界遺産、上五島と長崎巡り。

キリスト教が解禁されたのは、明治14年（1881年）のことですが
この映画にも出てくる通り、キリシタン弾圧は
徳川家康による禁教令が敷かれた江戸時代よりも
鎖国を解いた明治になってからの方が厳しかったそうです。

1865年、長崎の大浦天主堂での信徒発見以降、
長崎や五島で隠れキリシタンが信仰を表明する動きが出たため、
発足まもない明治政府は組織潰しに掛かります。
1897年浦上四番崩れ、1868年（明治元年)「五島崩れ」が起きます。
（崩れとは、隠れキリシタンを大規模に摘発、弾圧したこと）
久賀（ひさか）島の牢屋の窄（さこ）では、たった12畳の牢屋に
200人のキリシタンを8ケ月も閉じ込める拷問がありました。
横になれずトイレにも行けず朝夕に一切れのサツマイモ。
42人が殉教したそうです。なんてひどい・・・

長崎にある「大浦天主堂」に併設されている博物館に。
この博物館では、日本のキリシタンや大浦天主堂の歴史を学べます。
12畳に200人というのがわかる展示もあります。
私は無宗教ですが、同じく無宗教であった舩井幸雄会長が
思想は自由でなければいけない
と常々おっしゃっていた事を思いながら見学しました。

博物館の建物は重要文化財の「旧羅典神学校」と
長崎県有形文化財「旧長崎大司教館」。
国宝である「大浦天主堂」と共に、建物も素晴らしいので
長崎に行かれたら、ぜひ訪れてみてください。

大浦天主堂

◆キリシタン洞窟（キリシタンワンド）とハリノメンド
上五島では、「五島崩れ」から逃れて、陸路では行けない
断崖の洞窟に生活用具や物資を持って隠れた3家族がいました。
しかし4ケ月後、朝食を作る焚火の煙が漁船に見つかり
役人に通報され捕えられて棄教させるための拷問を受けたそうです。
1967年、その場所に4ｍの十字架と3.6ｍのキリスト像が建てられ
毎年11月にミサが行われています。

私も船をチャーターして行ってきました。
エメラルドグリーンの美しい海ではありましたが、
かなり南下した所に、その場所はありました。
好条件の時にしか上陸すらできない、こんな岩場にまで
逃げて来なければならなかったとは・・・
想像するだけでも様々な思いが込み上げてきます。

キリシタン洞窟

途中の美しい海

洞窟に行く途中に、ハリノメンドと呼ばれる岩穴があります。
上五島の方言で、メンドは穴のことなので、針の穴の意。
マリア様が幼子のイエス様を抱いているシルエットに見えるということです。
今の世の中の幸せに感謝し、安寧を祈りました。

ハリノメンド

行ってみて初めてわかる・・・上五島と長崎は、そんな旅でした。
命よりも大切にした神への想いを貫いた人々。
それを奪おうとする人々。
その背景には、時代が、土地がありました。
戦争、迫害・・・この悲しい歴史は二度とあってはなりません。
平和を守るのは一人一人の気持ちです。