「“女船井”と呼ばれる経営者」の幸せになる生き方

このページは、船井本社グループのイリアール株式会社の代表取締役を２００６年から務める（※2022年退任）乗附なほみによるコラムページです。
舩井幸雄が経営術を実践的に教え、“女舩井”と呼んだ唯一の女性経営者です。
経営者として、女性として、舩井幸雄の教えを活かした生活をお伝えしていきます。

１２００年前、平安時代の初めに、弘法大師（空海）によって密教の道場として開かれた
世界遺産としても有名な、日本仏教の聖地、「高野山」。

高野山は８つの山に囲まれた標高１０００ｍほどの盆地で、全体が宗教都市。
「総本山金剛峯寺」と言う場合、１つの建造物ではなく、
高野山全体を指し、１１９ものお寺があるそうです。

この度、その１つである、高野山真言宗別格本山「金剛三昧院」の
久利康暢ご住職にお導きいただく、「阿字観」に参加してきました。

「金剛三昧院」は、源頼朝の正室　北条政子の発願により創建され、
源頼朝と源実朝の菩提を弔うための多宝塔（国宝）を有する寺院です。
（高野山にある国宝は、この他にもう１つ、壇上伽藍の不動堂のみです。）
三昧とは、サンスクリット語のサマーディの音写だそうで
仏教やヒンドゥー教における瞑想で、精神集中が深まりきった状態のこと。
まさに「阿字観」という瞑想法で、行き着く状態のことかもしれません。

◆「阿字観」（あじかん）とは
真言密教の教典である「大日経」に基づき
無限の宇宙に、心を解き放って、宇宙との一体感を感じる瞑想法……

「あ」に始まり、「ん」で終わるので、
ひらがな５１文字の無限の可能性と、創造性を象徴するとも言われます。

元々は僧侶が気持ちを落ち着かせるために行っていたものが
近年、一般の私達も受けられるようになりました。
高野山で、阿字観や授戒、写経などを体験されたという方も、
多くいらっしゃると思いますが、久利ご住職は、毎月、東京でも行ってくださいます。

久利ご住職は、次のようにおっしゃいました。
「無という境地は、むりやり作る物ではないんです。
雑念や煩悩は人間あって当たり前。
それらを含めて、いろいろ考えていることをコップに入れていき
そのうちにコップが満たされると、自然に、自分の中に心地よい状態ができる、
それが無、です。」

◆まずは塗香（ずこう）を
塗香は、身を清め、邪気を近づけないために用いる、粉末のお香です。
・この塗香を右手の人差し指と親指でつまみ、左手の掌に載せます。
・両掌、両手の甲をすり合わせて、全体に香りを付けます。
・拝む時のように掌を胸の前で合わせます。
・左右の中指同士が離れないように

指をふわっと広げ、体全体に香りを広げます。

◆姿勢
「半伽趺座（はんかふざ）」で座れなくても、お好きな姿勢で。
寝っ転がってもいいですよ。
瞑想とはいえ、雑念が湧いても構いません。」
と、久利ご住職。

なんと！　寝っ転がってもいい？
それなら誰でもできますね。

「どんな姿勢でも、手はお腹の前で
法界定印（ほっかいじょういん）に。
左手の上に右手をのせ、親指と親指をつけて
卵形にしてお腹の前に置きます。」

◆数息観(すそくかん)
阿字観には段階があり、その第一段階が「数息観」です。
呼吸に意識を集中させ精神を安定させる、ヨガやマインドフルネスのような瞑想法です。

背骨を意識して体を真っ直ぐにして姿勢を正し、
息を鼻から大きく吸って、口からゆっくり「ハア〜〜〜〜〜〜っ」と吐きます。

法界定印に組んだ手から息を吐き出すイメージで
体中の気を入れ替えるように、
ゆっくりゆっくり、何度も息を、吸って〜吐いて〜行くうちに
穏やかな……
まさに体中の細胞が生まれ変わったような気持ちになりました。

◆阿息観（あそくかん）
「数息観」を１０分位した後、「阿息観」へと導かれました。
「阿息観」は、月輪（宇宙を表す）にサンスクリット語で
梵字のア（大日如来を表す）が書かれた掛け軸に向かって
「ア〜〜〜〜〜〜」と声を出します。
こうして声を唱えることで、天地と呼吸を通わせ、
宇宙の大生命を感じる瞑想法です。

周りの方々の「ア〜〜〜〜〜〜」という声と、
自分の声が共鳴していく時に
大日如来と一体化できたかどうかはわかりませんが、
自分を取り巻く全てと一体になる、奥深い快感と言いますか
とても不思議な感覚になりました。
その時には、雑念は消えて「無」になっていたと思います。

◆月輪観（がちりんかん）
この後、さらに、「月輪観（がちりんかん）」をして、「阿字観」終了。
「月輪観」は、月輪を瞑想し、全てのものを映すスクリーンを感じる瞑想です。

こうして「阿字観」を受けて、私の中で何かが大きく変わりました。
心が落ち着き、広い宇宙に繋がる……やがて芯からスッキリする……
ここで行き着いた感覚は、体験しないとわからないことですし
ご住職に教えていただいたことは、とても奥深く、
ここに書ききれないほどの情報量で、とても勉強になりました。
扉を開けて、新しい世界に飛び込んだような気持ちです。

◆瞑想で寿命を伸ばせる
さらに、「阿字観」をお薦めする理由があります。
それは、先日、健康長寿の鍵を握る「テロメア」について、
第一人者のビル・アンドリュース博士のセミナーを受講した際、
テロメア（つまり寿命）を伸ばす方法は、「１日１２分の瞑想である」
と実証されている、ということを聴いたからです。

まだ瞑想を体験されていない方や、
ヨガやマインドフルネスの瞑想をしている方にも、
「阿字観」を、お薦めしたいと思います。
高野山、または、毎月、東京でも高野山東京別院などで開かれていますので
ぜひ体験してみてください。
きっと何かが変わるはずです。